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特別講座「木と修複・保存」MoMA Conservator レクチャー後の本藍染め工房・保存桐箱師・造形木工・作陶工房を見学訪問-2

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

工人の手仕事を尋ねる際には、質問する側のレベル次第で返答は大きく変わります。専問家ならば、直ぐにシンクロして本質深淵まで立ち入るけれど、藤四郎ではとりつくことも能わず、本筋省略ありきたり。取材するのか、教導されるのか、いずれも訪問者の能力や素性が逆に問われてしまいます。

精通していれば技能は呼応し、呼び醒まされる身体記憶の世界ですから、質問する側の能力資質が逆に問われるのです。道具の使いこなし・刃物の手入れ・材料ケアー・ベテラン度が読まれ、心の毛玉・フトコロ具合まで双方のシチエーションが明らかになる。雰囲気や言葉使いで出自・キャリア親方筋が覗く。本当は恐いものです。技法を受け継ぎ、インデペンデンスで在り続けるのは大変な苦労の連続、敬意をこめて伺いました。

❹本藍壺染め 浜工房「明治から三代続く本藍型染め名工を訪ねる」

屋外天日乾燥塲から入り、藍甕塲、型糊置き染色作業塲、作品閲覧室から玄関へと作品外出のコースで見学しました。

 

生き物の藍甕の発酵栄養、酸性度調節に発色が一番良い純木灰アクを使います。広葉樹堅木主体の純木灰を毎年届けてきました。甕深さは5尺、発酵を促す暖房熱源は炭火です。

大豆糊に製麦穀物殻を併用した粘度の高い糊は、活性炭でコントラストをつけ、染めないブランク部分をガードし染まらず、最後に洗浄すると綺麗すっきりり抜けるという、自然素材の取り合わせの摩訶不思議。合成化学工業染料が発達する遙か前に完成されていた技法に目をパチクリ。特に両面染めは、型ズレのない位置合わせだけでも繰り返しが気の遠くなる熟練ベテランの見事な手際でした。

裃小紋 格式の高い江戸大名武家専用模様

空隙ブランクに補強絹ファイバーを挟む最高難度の両面型彫り(絶滅超絶技法)

小紋両面染め型渋紙 微細彫り ミクロの手仕事をみると気が遠くなります。奢侈禁令弾圧をくぐり抜けた無地のようにみせるレジスト地紋技法です。工商庶民用

MoMA Conservatorも実体験して察知する自然素材の調妙

渋紙型彫りから染め工程まで、素材や色置きも複雑で用語は通訳不能です。江戸小紋は糊置きはゆるく、染め補修職が手直しできるので、当時の量産を可能にした染色技法。本藍染は、体力・集中力・デザインセンスを要求され、微細手先仕事の連続です。おまけに手爪が染まる。両面染めは、柄あわせが精度を要するので型紙彫り幅は狭く、何度も繰り返す膨大な手間と時間が必要な難しい手仕事です。

歴代職人の伝承技法は秀逸です。本藍染めの第一人者。発表作品は秀作多く、日本伝統工芸技能を継承。創業明治44年

http://kurayuki.abeshoten.jp/blog/1577

 浜染工房  浜 完治

〒 390 – 0828  長野県松本市庄内2 – 2 -41  TEL.FAX. 0263 – 26 – 3945

 ❶保存桐箱木工所 「美術工芸品の保存桐箱制作」

現代書道の父「比田井天来」軸装

箱に入る中身は、クライアントから収納実物を預かりますので部外秘です。折良く拝見できたBritish Museum 向け収蔵美術作品桐保存箱には、ウコン染め布内包みを併用。防虫染料です。

ほかには、刀劍収納桐箱:柿渋塗布紙タトウ外箱桐箱二重構造(内部:刀装当て鮫皮貼り)掛け軸重要美術品 保存箱を拝見しました。国産桐材を主体とし、上面天板柾目詰み材は、北米優良材を選別幅矧ぎ使用。木釘打ちは千鳥で斜め「縫う」かたちとする。保存箱は脇役ですので、あくまで作品のツキモノ。作家作品になったものは、魯山人が唯一だそうです。

初代は、関東大震災から疎開して当時の貴重なミシン鋸(足踏み式糸鋸機)が活躍、糸鋸細工を「ミシン抜き」と呼ぶ由来です。ミシン機をベースにしたこの構造は、挽き肌仕上がりが綺麗で、傾斜切りができ、足踏みで調節も具合がよい。

手鉋、ハタガネ、木型、昇降盤・自動鉋盤・角鑿、サンダー、横切り盤などは、通常の木工房設備ですが、ミシン鋸SINGER、手押しは4枚刃の高精度機(KUWAHARA KP-101)で木工機械メーカーが計測にくるほどの名機です。ツースマークはつかず仕上がり、軟質材は高速回転にするか、装着刃数を増設するいずれかになります。手鉋による桐薄削りは刃を寝かせてという定説は、厚削りを基本にして削り肌を綺麗にする箱職では少し違うという印象。桐箪笥前板仕上げ削りとは異なります。椹材も薄削りでは「粉立ち」が起きる。厚目の鉋削りで仕上げると艶がでるので、軟質材特有の性格は一様ではない。

 平台鉋刃は特別な仕込みではなく刃口埋め、八分勾配・刃先角26°。丸ノコ刃は、刃先角が寝ている桐材専用刃特注仕様です。鉋刃は、ハンギレまでは荒取り用に使い、刃質が研ぎ落ち着くと仕上げ鉋にしています。大正末期の名工國弘が現役でした。

刀劍・掛け軸、宝物・美術品保存桐箱、文書保存箱オーダーメイド。附属箱制作の扱いのため、公開展示できるストック品が少なく、作品記録は手許に残らない特注制作が主体。桐材柾取りの目詰み良質材は、人形の顔彫刻にまわされます。

渡邉木工所

特注桐箱制作 Watanabe Kiri – Box Woodworks(Order made)

 〒386 – 0025 長野県上田市天神4 – 2 – 3  TEL. 0268 – 22 – 14441  FAX. 0268 -22 – 1556    watanabe_tsutomu@mte.biglobe.ne.jo

Mr. Isamu Watanabe (Second Generation)and Tsutomu  Watanabe  ( Third  generation)

Traditional  Paulownia Woodbox work  for  Japanese Sword, Kakejiku Hanging Scroll, Ancient Documents and Art Objects in Ueda City

❺造形木工・製陶工房 「小さな村にある手仕事の工房を訪ねる」

既におなじみの、柏木夫妻の仕事場を訪問しました。クラフトフェア出展参加前後は準備で忙しく、十分なプレゼンテーションやもてなしが出来ませんが、制作手法について話の華が咲きました。

作品の展示ストックが必要なんですけど、造るそばから旅たち、在庫あるなし。

因みに、ワークショップには、ゲストハウスとかギャラリースペースがあれば望ましいけれど、販売價格が立ちはだかります。才能は惜しみなく、ジャンジャン造りおきが理想ですが、現在も制作待ち首長状態。造らない作家ほど、良く熟れるといいますから目出度い。

「Arm」から「Art」へ、古代からアートクラフツ時間は、穏やかで平和な時代に流れているのです。

柏木工房・美麻製陶所

アーツクラフトマン柏木 桂 + 陶芸家 柏木千繪

〒399-9101 長野県大町市美麻8004-1

Tel.Fax. 0261-29-2363

Kai Kashiwagi Woodworker:

http://www.miasa.ne.jp/~kay/Kay_KASHIWAGI_Wood_Works

http://kurayuki.abeshoten.jp/blog/3086

MIASA Pottery:

http://www5d.biglobe.ne.jp/~ikkanjin/miasa_pottery

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木の総合学研究 2017   特別講座「木と修複・保存」講師同行のイクスカーション記録−2

「桐材保存箱木工、本藍染工房、小さな村の造形工房を訪ねて」

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