「木」と環境「木」と芸術デザインの目修複・保存工芸環境

アート作品には「木枠」がツキモノ。「フレーミング」を知ることは上質の仕事を拡げ、専問性を高めます。「木の大学特別講座2018 」予講ガイダンス

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

私たちの暮らしは建築からファーニッシング、額縁、思考行動まで「枠」をはめ、いろいろな枠組み・フレームに囲まれています。枠無しでは、どうもサマにならない、締まらない不安定さを感じてしまう。境界となる「枠」や「辺縁」をつけると納まりがよく整い、装いや仕上がりの完成度も上がる。本体を支えながら保存もする美妙な役割ですが、とても重要な体裁です。

絵画の額装は、絵画の装いを整え、保護・保存する密接なバイプレーヤーです。

縁や枠を付けて「囲む」ことは、体裁を整えその存在を周辺から際立たせます。「枠をつける」ことで装い、重要なものを定着させる役割を果たします。イメージを強調するとともに、魅力的なものに演出することができ、額縁は絵画作品の価値を一層引き立てます。切り離せない伴奏者として。

20世紀モダンアートの傑作は、ミニチュア画、オブジェ、額・仕切り、扉・開口部・ケースのフレーム構成。

① Marcel Duchamp   Boîte – en – valise  1935 – 41    (Lather valise 16 x 15x4″)

 マルセル・デュシャン作 「ケース中ボックス」1935 – 41    in Basel Museum  Swiss,   May 07, 1989

内部に納まる絵画よりも、コンストラクション・フレームを見せる展示意図が新鮮でした。

②「natur kunst」 自然芸術  バーゼル市環境保護活動1989      Basel  Swiss

フレームを置き景観を切り取る。美しさや自然の重要な価値を気づかせるシティアートコンポジション。各フレームには、注目するシーンの解説をつけ、自然の姿をアートとして見立てるアクションプログラムです。自然観が違うため、日本では邪魔にされるかもしれません。同時期、自然史博物館(Naturhistorisches Museum)では「Waldsterben 大気汚染による森林枯れ死」が展示されていました。

③ 化粧木枠  ガラス瓶の保護と木目で年代エイジング高級感を演出します。Woodford Reserve  USA  2002   日本の高級酒は桐箱をつかう。

④ 組木格子  江戸時代の地蔵堂扉格子組木に面取り枠をつけると、手仕事の完成度や品質イメージを高め、面取りや塗装色でも雰囲気はガラリと変わります。枠・縁を変えると性格も違うものになります。部分復元 1988

⑤ 標本ケース ガラスプレートを嵌めるだけで展示・保存性が高くなり、木のケースは大事なモノが納まります。立派なモノが入っていると受け止めガチです。

⑥ ミュージアムケース    展示フレームと収納保存性を考慮したデザイン(國政流組手「天秤」による分離枠・箱体の制作 1997)

⑦ 木製サッシ・窓枠   風雨、外気の入れ替え・遮断、出入りを目的にしますが、建物の使い勝手、耐久性能、品格・性能は開口部にあります。窓も額縁の一つですが、建築・室内、家具・計装でも同じ手法を使います。

⑧ Flächen  (平面、表面、額・框組み)  家具の基本構造資料   DIE KONSTRUKTION DES MÖBELS 1949

 

基本共通構造としてのフレーミングを知ることは、アート作品の額縁から窓枠・建具框組み、収納展示ファニチャー・計装箱、ケースデザインまでつながり、仕事を拡げ、専問性を高めます。

美術館は、入ると「ワク・ワク」するところですが、額縁枠組みにタッチできるのは、学芸員と修複師のみの重要美術品。保存額装フレーミングは、高度な専問知識と技能を必要とするインテリジェントワークですが、学域・業界を超えて考究し、実際に制作するプロフェッショナルは未だ見当たりません。

本講座は、次世代が活躍できる世界最進のハイエンドコンテンツと成るでしょう。数百年先もアート作品が展示保存され、重要であり続けるために。

 

ⓒ2018 , Kurayuki Abe

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木の総合学研究2018 特別講座ガイダンス

「アート作品のための保存額装ワーク」「付け枠・額縁・フレーミングの構造ジョイント」「装飾デザイン・オーナメント」「木の保護・保存・修複」「様式家具・内装壁装飾」「文化財保存技術」

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