芯材色・養分を抜きとり、新規辺材部へ融通する柏槙ハクジの自喰い再活ダイナミックス＿木香成分の木口微細放散量検出・可視化の試み｜The removals of core-color by autophagy and resecretory accommodation in Biyakushin Hakuji, intaking saved nutrients and excuding wood fregrants from cutting end.｜再配機序＿見えない・知らないことを明らかに　木の内科 -140　

阿部蔵之｜木とジョイントの専門家

材色養分のリユースで樹体内栄養バランスや抗体生成・再分泌能力を高めるオーガニック組織の動きが鮮明です。

取り込み/受け渡し　「二層機序」

芯材色の移動・濃淡が取り込み・供給を調整するプロセスを示し、生きている「スイッチングゲート」の様相が見て取れます。

ジョイント先端部は、半導体チップの集中微細接続・ボンディング＿高密度電子回路周縁にそっくり。この樹体内での養分回収、再分泌を担うオーガニック接続組織の挙動は、精彩で想像を遥かに超える「先駆テク」でした。

多点結合・接続の原初であり、エレクトロニクス集積多層回路やゲートアレイ等の微細高密度ジョイントの基本構造が、数万年前に樹体内芯奥で出来ていたことになります。

材色の変動は、化学物質の成分移動がおきていることを語り、短時間ですが察知できます。

冬目に付随する「材色・養分回収」ロングゲート

このヒノキ科の進化した樹性は、抗体の分泌が旺盛で蓄積量を高めます。枝元から入節芯央に取り込まれ濃材色を蓄積し、木香放散質量が強まります。

材色抜けは濃色部分に不規則に現れ、滲み出したり、切り取るような「色抜け」がおきます。このように、抜き量や口開け・インテーク機序が異なる部位がありました。

中信地方の方言「ハクジ」は、芯材色が部分的に抜けたマダラ木理を端的に表現しています。学名「柏槙」ビャクシンは、葉枝・樹皮の外形由来の命名なので木の内科的命名がピッタリ。

芯材色は、生命維持化学物質の蓄積であり、生命維持のために抗菌抗体・栄養物質の生成・分泌や防御・治癒に関わる基幹組織で、斬られても細胞内生命のダイナミックな動きが残存＿芯材は、専門教科で教える「活動を停止したり、死んだ組織」ではないのです。

芯央貯留部から取り出して新規部分に材色に融通するのは、全体の栄養バランスを測り、欠陥や支障が出ない部位をコントロールする指揮機能が働いていると考えられます。

取り込みゲート（Intake gate）は、スッポリと区切り吸収している＿副作用・ダメージが起きないように切除オペレーションを行う。慎重で高等なメカニズムで運用され、樹体内組織細部の先端機序（木序）からも伺い知ることができる＿針葉樹ヒノキ科も進化しているのです。

阿部藏之プロフィール