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絶対にやってはいけない継手の欠き込み、穴あけボルトぶち込み・締め上げ柱割れ_ボルト・ナット鉄錆び腐れ70年|Never drilling and bolt nut fasenning of TSUGITE JOINTS impaired durability and strength, iron rust and screw thread rot away in 70years.|木のジョイントシステム -40.  継手論考- 1・ 続

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

前稿に続きます。

松本城天守柱組継手に入れたボルト・ナットは、ヘッド・軸・座金サイズもバラバラで市内で拾ってきたような傷んだものを使い、ひどいもんです。

不揃いボルト締めは、不適当に大工にお任せだった? 工事報告・検査記録がありません。

穴あけミスダブルに締め過ぎで木部が陥没したり、芯割れが起き、ボルト・ナットを殴り、後から締め直した形跡もみえます。不揃いの平座金はひん曲がり、ナット飛びがおき、構造割れが拡がってきました。ボルト・ナットをボコボコ殴って傷つけ、後から締め直した形跡もみえます。

動いた継手ズレを削る始末

更に、継手接合部のズレ異常が発覚しないように、近年動いた段差をコッソリ削りました。真新しい切削痕_これは、「国宝削ろう会」の仕事のようですね。

柱継手の嵌合ズレが大きくなり、段差をひそかに削る   2017/ 02/17

穴明け3ヶ傷で繊維組織が崩れ、更に上頭貫に楔を打ち込み割れ拡がり、継手破断ズレが起きました。重要な嵌合締まりを担う突起「メチ」が割裂して動いたようです。継手内部の割れちぎれ・陥没_ガクンと構造強度が落ち、緊結部の損壊が進みます。

■ 継手内部「メチ」が割裂し嵌合ズレ損壊、ボルト・ナットの経年劣化

 空気中のO2酸素や木材質に含まれる結合水、木材組織が分泌している有機酸やタンニンによる微細な複合反応により、穴明け内部でも酸化・腐蝕が進みます。自動車排ガスに含まれる腐蝕物質の影響も大きく、酸化による金属劣化が早まります。

法隆寺・薬師寺 堂塔大工の重要な教訓から「鉄製捩子ジョイントの錆腐れ」 以下に、西岡常一棟梁聞き書きから引きます。

鉄はいかに脆いか_ 焼漆防錆でも70年で錆び腐り

「木」「飛鳥に生きる」聞き書きシリーズ 西岡常一 中村昌男 / 4回連載 Vol. 9 Vol.11 通巻no.135      昭和50年  篠田銘木店発行_1975年9月-10月-11月-12月

明治三十一年の法起寺修理に使った防腐焼漆ボルト・ナットの錆腐れについて

ボルト部分はまだ大丈夫でも、捩山はボルトもナットも錆び腐り、締めると、もう利くという時にストンと元に戻る。これでは心柱がだんだん傾いてゆくので修理となった。

英国製のボルトでさえ、70年で駄目にになって日本製の粗製乱造のものが多いので、日本建築に使うということに強い不安をだいた….

 以来、柱継ぎに穴明けボルト入れ・ナット締めをしても数百年間の構造強度を保持することにならないことに気づかれ、堂塔大工の命をかけて設計監理技士の指示でもボルトを入れをやらないことに徹します。

後年、薬師寺金堂の復元造営では、現場検査に来る前にボルト・ナットを張り付け、構造損壊させることを止めたのです。やってはならない木部の損傷ダメージであり、代々大工職を受継ぎ、流儀作法・信念に従い、歴史に残る多くの堂塔を再建し、飛鳥時代の木工技術を護り伝えました。

学者と徹底議論し、実際の仕事から決して持論を譲らず、誇り高く生き抜いた人で、それゆえに突き動かす説得力がありました。現場職人を統率し名言が多く、その言説は強く響き、現在も木の仕事に携わる人々を導きます。

明治末期までは、公官庁担当職員は現場の卓越した職人技能を尊重していました。学識経験者や管理技士により、職人技術を指導し、管理支配するようになったのは、統制経済へ傾斜する昭和初期からです。

松本城柱組み継ぎ手は、ボルト端破断のまま_間違い穴明けも塞がず観光客は指入れ。更に柱組み継手損壊の兆候が現れ、ほったらかしてぶっ壊すようです。ユネスコも仰天する事案ですが、再修復する手立てもあり、天守柱組が損壊して見物人が下敷きになる前にやらねばなりません。

昭和29年 1954「国宝松本城解体・調査」から時同じく70年になります。

(国宝建造物の損壊行為は、文化財保護法109条・198条違反の重大な事案です。)

構造柱組継手・桁横架材の多くは、傷み割裂しており、世界遺産になる前に損壊が進みます。小職は、総バラシ修復作業が必須になると思料します。

春先には、耐震構造化のために鉄筋を入れる計画があるという地元新聞報道があり、気絶しそうになりました。比類なき戦国木造城閣建造の継手実測図作業から実物の継手論考が続きます。

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・絶対にやってはいけない継手の欠き込み、穴あけボルトぶち込み・締め上げ柱割れ_世界にも稀な現存戦闘型の木造 430年、松本城天守柱組継手が損壊する前に|Never drilling and bolts fasenning of TSUGITE JOINTS  impaired durability and strength, wooden pillar structure’s destruction in progress appeared the many cracks on Matsumoto Castle.|無残な修復による構造破壊  木のジョイントシステム-40. 継手論考-1. http://kurayuki.abeshoten.jp/blog/42026

・日本固有の強木最有用材「栂ツガの木」見えなかった抗体の香気分泌・抗菌防御力、樹性・優れた物性をあきらかに|TSUGA one of the most useful wood, unknown internal secretion of antiblastics and tree nature. It was a disaster, Ms. Fragrant Tsuga tree over a thousand years. in Japan. |膨大な天然林を千年以上もバッサリ_とうとう針葉樹香木類はお終い。 木の内科 -123  http://kurayuki.abeshoten.jp/blog/41363

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木の総合学研究 2024  「柱組継手ジョイントの研究・実測調査記録」「木造架構・柱継ぎの技能伝承」「継手基本構造と木の材質」「木のジョイントシステムを損なうボルト・ナット_鉄捩子の錆び腐れ限界」「堂塔大工職の技術的知見」「ジョイントに構造応力・負荷がかかると嵌合から損壊が拡がる_材料強度を担う結合要所技術」「修復・バラシ・再建・組立基幹技術としての構造架構ジョイント」「An essential comment on the JOINT-SYSTEM for the UNESCO technical committee of World Heritage Matsumoto Castle」

 

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