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異邦木・北米原産「針槐ハリエンジュ」似アカシア_明治期に林野再生促成政策で渡来して拡がり、旺盛な樹性で速い生育肥大・粗脆質がハッキリ_養蜂蜜源・薪燃料の身近な用途もある外来樹種90年の放置繁殖、喬木化を辿ります。Robinie locust acasia , HARIENJU Tree imported in 90yrs. ago. 木の内科 -130 

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

和名「針槐」は、アカシアに似ているがニセ異種とされ、樹性に関する本格的な国内の調査研究や知見がなまま_立木原木の伐採から挽材・切削_抗体分泌バリアー、長期自然乾燥の材質変化を具にみることから始まります。

本稿は、数十年間に出会った原木玉切りサンプル材に関する少ない知見です。自然災害現場の倒木伐採作業や原木の挽材切削、山野の立木を経年観察_北米原産のマメ科 Robinie locust tree acacia ハリエンジュ属落葉高木は、「ニセ」ものではなく「似アカシア」にします。リアルな姿を捉え、未知の事象を明らかにし、曖昧な通説伝聞をただしたい。

本稿のコンテンツ:

①木材市場に出回りはじめた原木86yrs. 59yrs.の挽き材から

② 針槐の材質の違い_ハード:目粗硬質の赤 ソフト:緻密軟材質の白

③ 割裂補強と外皮からの伝達を担う筋違楔状・向芯組織

④ 抗体分泌・入節元の抗菌バリアー、埋め塞ぎ

⑤ 燃焼火力が強く、高熱遠赤外線をだし良質な薪

⑥ 針槐の幹外皮・葉・花・実

⑦ 植栽地から河畔へ谷筋ギャップへと拡大侵入する樹勢が目立つようになりました。

以下、原木の挽材から木地材質感、内部組織の抗体分泌、生育樹勢までを記載します。

❶ 木材市場に出回りはじめた原木86yrs. 59yrs.の挽き材から

素材に関する知見がなく、材質感、長期自然乾燥・切削から樹体内部の抗菌分泌、防御の動きを捉えます。刃物アタリ切削良好

❷ 針槐の材質の違い_ハード:目粗硬質の赤 ソフト:緻密軟材質  

厚板挽き材 中杢・木口

❸  割裂補強と外皮からの伝達を担う筋違楔状・向芯組織

国産広葉樹木には見られない特異な差し筋補強と外部感知を兼ねる(相貫部位)

著しい若木肥大成長 淡褐色の芯央境は黄緑色で均質肥大層が連続

枝折れが起き、肥大が速く、芯央材は粗密で割裂し易い

❹ 抗体分泌・入節元の抗菌バリアー、埋め塞ぎ

 

❺ 燃焼火力が強く、高熱遠赤外線をだし良質な薪

油気があり、火力が強く持続し、高温燃焼します。木灰は石炭を彷彿ホウフツさせます

工芸・パルプ用材には見向きされませんでした。

2016年 雨氷災害木の伐採片付けでサンプルカット薪造り

蘖ヒコバエ再生力が旺盛です。

❻  針槐の幹外皮・葉・花・実

木曽山域に繋がる茅野圏、元塩尻林業試験場内に当時の立木が現存しています。

垂れ下がるマメ科特有のさやの実

良質アカシアハニー蜜源ですが、高価で養蜂業者が助かります。この地方では、激しい花粉放散によるダメージで林檎果樹に影響するため利害相反が起きました。花房は、野趣食用になります。

❼ 植栽地から河畔へ谷筋ギャップへと拡大侵入する樹勢が目立つようになりました。

持ち込まれてから90年の歳月_日本の風土に適応して拡がり、迷惑な外来種が蔓延る 河畔林から谷筋へ拡がります。当時は、地質・植性・環境への影響を慎重に検証しないまま導入されて現在に至ります。アカシア科は、東欧・オーストラリアの樹種は多く、樹性・材質の比較研究はこれから。

「似アカシア」のテーブル仕立てには、どこか異国の素材感が漂います。本来の「槐エンジュ」に比較すると繊細なイメージはなく、似て非なるもの_本来のエンジュさんはご迷惑でしょうね。ダンダン

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木の総合学研究 2025  「外来種似アカシア樹木の樹勢・材質・抗体分泌ガード」

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