01. 天秤

組手(くみて)の基本型。天秤(てんびん)運搬具や秤の側面をイメージした名称で、この枘(ほぞ)の形状から多種・多彩なバリエーションが考案され、國政流では、三十六通りの系譜にまとめています。技法的には、この天秤からデザインの応用展開が始まります。

一方の部材表面に出る「まともな枘」、外側に出ない隠れた「内枘」(うちほぞ)、接合両面に枘型が出る「逆枘」(ぎゃくほぞ)があります。「まともな枘」に対して、形を変形させたものを「変形枘」と呼びます。この変形枘・逆枘の考案・発明が國政流の最も大きな特長ということが出来ます。極めて精巧な木のジョイント体系は、世界にも類事例がありません。

「天秤」は、工作手間の割りに強度が高く、力強い見栄えもする組手です。この変形枘・逆枘雛形の板厚寸法は、正7分(しょうななぶ・約21mm) が基本で、小振りのものは 5分-6分(18mm-15mm)の板厚があります。江戸指物の基本技術です。

英語名称は、「Dove tail」 鳩の尾