24. 天又(てんまた)
「天秤」に「又枘」を組合わせた枘型。天秤形を性器に見立て、「又(また)入れ」と結合して性的な象徴を意味する特別な顧客の要望で制作した組手の一つです。セクシュアルな意味があるこの細工は、秘められた趣向ととして特異な事例です。
堅気の人は決して使わない組手といわれ、嘗て、置屋・郭で使われていた連楽火鉢にこの枘が事例を武生の骨董店で実測調査したことがあります。
長火鉢は、江戸初期から400年以上続いた生活道具ですが、様式家具の歴史としてみると世界的にもロングセラー、ロングライフ家具の一つでした。暖房・調理・飲食のできる団欒家具というべき秀逸な日本オリジナルの木製ハンドメイド家具です。その構造部分が意匠として大きな意味をもち、身分や経済力等のプレゼンス・こだわりの形だったことは、ほとんど知られて来ませんでした。