34. 菊の逆(きくのぎゃく)

「菊」の逆枘です。菊の花びらが両側に開いた形になり、枘先の交差部分は木部切り欠きの限界にまで達しています。 中央部先端幅(10.5mm)には、10枚の挽き線が入り、外側の斜めの枘角度は繊維方向 45度 ~ 最大 55度の挽き角で切削、極めて精密で華麗な構造になります。挽き落としの先端ははシャープな「剣先」となり、木材の組織が時間経過で変形を起こしますので梅雨の時期には仕事が出来ません。(両木口に「はな付け」)

見えない内側部分(内角)は、斜めの挽き込みが奥深く入りますので、枘先より更に拡がる切り欠き位置が枘限界寸法になり、内角の寸法を考慮しつつ墨付けをしなければなりません。極限にまで加工精度・芸術性を高めた比類なきこの組手は、超絶・究極の技ということが出来ます。