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「美しい線をひく烏口名作 剣先面取り研ぎ上げ・洗練されたエッジの造り・木軸柄の品格  ハンドメイド世界最高製図機器 HAFF Reißfedern Germany(1835 – )

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

刃先ヘッドの絶妙なバランスで指先がふわっと載り、自在に動かせる。この烏口を使ったら他のメーカー製品は使えなくなります。無機質な先端金属部に自然素材をジョイントした見事な出来映え、本場ドイツ型烏の嘴。トレースや図案・製図のプロが愛用した逸品ベストツール。庖丁と同じように、観るだけで良い仕事が出来そう。

木軸部は精密木工技術で仕上げられ、完成度が高いマイスター品質は別格です。名工品は、磨き・メッキも極めて上質で、使い易く姿も美しい。道具刃物の本質です。

作品が映える図面になり、製図の醍醐味を味わう時間でした。手にしっとり、直ぐ使い。現在は製造されていませんが、アーカンソウ砥石で研げるかどうか。無限大図形で刃先を研磨するのです。本場ドイツ型烏の嘴、墨差しと烏口の違いは大きい。

後年、製造廃止になることがわかり、銀座伊東屋で折々に買い足しして100 年先の分までストック。2005年頃まで、製図道具売り場の隅に並んでいました。印刷製版システムが大きく変わる頃、買う人も無くなり、見つけたら財布と相談しないでゲットしたのありました。実は、烏研ぎは、元トレーサープロで墨入れ先生だった家内に任せたのです。デザインアートの世界では、手で美しい線が描きたいという造形感覚は、既に潰えたかのようです。無機質メタル部分にソリッド材をジョイントすると、高級なイメージと親しみやすい魅力的な雰囲気になります。

HAFF Reißfedern 烏口 139Rm ESSA

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軸は OAK 削り出しアンモニアジアゾ着色  1970- 1990の間に剣先面取り研磨仕上げ木軸からR丸プラスチック軸へ仕様が変化しています。iche(オーク材)の軸は合谷にフィットし疲れません。飾りにみえますが、重要なホールドポジションを加減でき、魅力を増幅しているテールポイント。p1260297-1p1260303-1
133 APK 芯針内蔵 極細線用 0.05 – 0.5mm  ¥5,000- / 1977

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烏口 139 Rm ESSA ダイアル付き 0.13 – 0.7mm  ¥13.700-  1985

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139Rm 口先回転型

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烏口コンパス 252 PS   0.1 – 0.5mm  ¥7.000- / 2003  バネ式ディバィダー 253  ¥4,000-

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HAFF 学生用セットU70
安価・書きやすいニードル作画ペンの登場で需要がなくなり。烏口は役目が無くなり、製造が終わりました。

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HAFF 製品カタログ 1975

烏を知らない世代へのメッセージ
レコード盤やカセットテープ、PCデーター保存テープの再評価・レプロがおきていますので、烏口もその内に復活すると思います。プリンターでは満足しない、線の美しさを知らない世代が気がつくハズ。
手書き墨入れ図面は、身体記憶になりますのでマスターすれば一生手先が動くのです。直ぐにいかれる高価なPC機材・ソフトも電気も喰いません。手仕事の凄みや歓びを電子装置に奪われてはもったいないない。製図機器のLeica ・ツアイスIKONクラス。名工は去り、逆立ちしてもこの先作れません。世代交代でデザイナーが残していく名品を大事にしていくように、現物資料記録を添付板しました。

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s:デザインNo.11 美術出版   昭和52年  1977 輸入

「Rotring Variant」がモデルチェンジした頃、別のメーカ品「reform refograph」 が現われ性能が良いので切り替え。版下製版・墨入れ図面が減り、さらにパソコン・プリンターの出現でRotringも知らない手書き図面レス世代になりました。線の美しさや手仕事の華麗な道具も、デザイン界では無用ですが、見直して使おうとする「ロクタル工房人」有り。遊湧くされて、こちらも覚えた感触を確かめています。

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4 VARIANT1196 0.1 -0.5 mm セット@7.800- 1985

学生時代、1969年に初めて購入したVariant 3本セット0.1 – 0.3 – 0.5 mm は、¥ 5,000- 奨学金一月分。

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キーボード・ネズミ・プリンタ万能で、製図・墨入れ・トレースという言葉も使う人もなくなり、T 定規・三角定規・ユニカーブ・ドラフターも消えました。スケール感覚は、図面ひき手仕事から身につきますので、デジタル化は何か足りない感じがします。木工界では、まだ「原寸あたり」で製図板を使うことがあります。

ⓒ 2016 , Kurayuki, ABE

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木の総合学研究 2016 「ハンドメイド墨入れ製図具と木製軸柄」「オーク・楢栗材のアンモニアジアゾ着色仕上げ」「金属とソリッド材のマッチング」

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