「木識・木学」日本の自然色木の内科木花・木の実

衝撃振動を吸収する強靱なカマツカ・ウシコロシ細柄「赤・黄」識別 未知の棒材をカット初材見 ダメージ受創抗体治癒・セルフキュアー Insight 木の内科-28

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

 変異が多い樹木は、生育地への環境風土の適応に加えて、風倒・虫や菌類・動物による損傷ダメージに対応するため様々な耐性・抗体を造ります。同じ樹種でも木部に顕れる内部構造の違いも現れ、立木の実質イメージは一様ではなく、すんなり固まりません。

芯央部は、美しい淑やかな緻密木理。従来の学説は実際の利用現場まで及ばず、サンプルが少ない分類できないものは、変種とか亜種として仕舞う。更に、マテリアルとして扱われていないため研究科目除外。木工材でも無いので未知の樹木ですが、削り出して樹体内部を明らかに。近い、似ているなど、類似した曖昧なものがあり、変種は別種として精査し、個体差も尊重したい。実際、鎌柄は樹種ではなく用途で異種の混じり、ウシコロシの名前がつく木は多くあるのです。

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木柄用樹木の材質・用途

市場へ出荷されることはあまり無く、地場消費の木柄。農具・金物店に山取りが持ち込まれ、鎌柄・ハンマー柄として数本づつ販売されている目立たない山国の地域内商材でした。
外皮は薄く圧縮されたような絞目で硬質。乾燥が進むと肌割れし剥がれ、軟質の内皮から辺材部には、木喰い虫が絞目肌凹分に入ります。外部からは判りにくい。握ると重量感あり、樹皮の絞目が握りやすく、手汗・体温を放散するので疲れにくい。適度のエンボス絞りの材質感、クールな感触です。物性だけでなく、自然素材の魅力を活かしたクラフツ素材としても注目したい。

材質組織の主な特徴について

A :赤褐色の樹体

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肥大成長年輪幅・密度が高い 0.4 – 05 -0.7mm 辺材部は生木では、緑ベージュ色、乾燥経年変化で油気のある肌色褐色、密度比重0.8 -0.9  年輪コントラストは弱く、緻密・目摘みざいで重く樫材に近い。テクスチャーは、乾燥後に光沢がでる。幹内部組織は、バラ科・ナシ科の材質特徴を備えています。

微細放射組織は年輪を貫通し微細で髄芯から内皮まで連続して到達。 非常に割裂しにくい。靱性粘りが強く打撃・震動吸収、衝撃低減性でハンマー柄などに好適樹木として使われ、幹絞凹凸が樹皮層が複雑に捩れる。握りのホールド感がよく安定。

細柄「しなり」が衝撃をやわらげる

石工ハンマーの握り細柄に使われるのは、打撃時にしなり衝撃を吸収するからで、太柄では痺れて疲れる。頑丈ではなく、軽量でゆれる「柔構造」の靱性が作業性を支えます。

折屈に耐える頑強で緻密な材質の小径木。樹皮色模様・幹の軸形が多様で変異が多く、典型的な外皮を特徴を表現しにくい。虫による内皮・辺材部侵入に対し、抗体色素移動は診られず、緻密で硬く美しく均質。しかも苦い芯材で虫菌ガード。林内ギャップの陽があたる斜面で生育し、紅い実は甘酸っぱく、葉や樹皮は染材利用。細身に潜むメリットを注目したい。

用途樹名で扱われ、林業の手が及ばない、沢筋上・林縁・ガケ縁斜面に多い。信州では、山里杣人の小遣い稼ぎでした。

乾燥木柄カット 27 x 21 x 950Lmm 元口末口ほぼ同寸 / 16 – 18yrs. / 310 – 320g

木口材面は苦い味がします。幹内部組織は、バラ科・ナシ科の材質特徴を備えており、別名「小シデ」薄い凹凸樹皮の硬いシデのような皮質から。次の事例Bと根本的・重要な違いがあります。同じ用途で類似高木を一緒くたにしているためです。

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絞り鉄筋のように高い靱性をもつ外皮

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生木9 -15年生と地元商材の比較  20161015 採取、20161025 接写 木口径:25 x 24 – 20 mm

 

B: 濃黄色の樹体

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生木カット時と16年ストック 芯央色比較  20000430 – 20161027ABE

緻密年輪に加えて逆放射・微細向芯組織で横筋をいれる強靱躯体

芯の肥大域幅があり、次第に年輪が緻密化し成長速度は緩やか。内皮から芯央部へ向かう向芯逆放射組織が年輪層を貫通して芯央へ向かう向芯組織が横水平耐力を増強、樹幹の粘り剛性を強化。辺材は白く芯央芯材部は鮮やかで明確な黄色。髄芯は比較的大きく、気乾密度比重 0.7 – 0.8 アサダに近いやや重い材質。

材面は乾燥後にぱさついた質感あり、油気光沢はすくない。 樹皮には、捩れ溝あり、連続した微少班赤灰褐色のチリメン肌、凹凸絞りは、Aより少なく、筋目が不規則に浮きだし握り易い。黴び菌類の侵入に芯央抗体の色素移動抗菌バリア包囲・ダメージ部位の治癒跡が鮮明に見えます。

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オガコ乾燥後のカット面 黴付きは僅か 20000430 – 20060924 ABE

伐採後、5ー10年経過して芯央色素は退色し、年輪斷面が鮮明になります。芯材色素は濃いのでニガキ・黄蘗を彷彿させ、草木染めにつかえそうな色調。薬理作用がある強い色気で芯材黄色は舐めると渋い。ダメージ治癒の芯材色の移動は、水平カット面では突出部に見えますが、手当の色素侵潤は、芯央から辺材・内皮へと立体的拡がり。

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16年ストックの木目組織    伐採直後は濃い黄色、10年経過では淡黄色に退色。27年輪材。

樹名が同じでも個体差異が大きく、割れない美しい材質感は工芸素材として注目

A・Bとも樹皮が薄く、樹皮絞目エンボスや年輪幅密度が高い、空木的髄芯があり、やせにくく乾燥ヒビが入らないなど共通点がありますが、芯材部の赤- 黄、微細放射組織と内皮からでる向芯髄組織は逆、密度比重、絞目も深さ捻りには差異があります。特に年輪が細かく、春冬肥大差がはっきり顕れない均一なAと、肥大時期幅があるB. 集合株立ちと一本立ちで別種と見分けられるサンプルで専問書に記載は無く、これからデータを残します。
だだの棒用でしたから注目されず、成分や素性も分からず、専問的な知見もなく、粘り硬い有用落葉低木の緻密な美しい材質は、工藝的活用もできそうです。
民俗道具的利用の樹種は、非学術的な扱いで研究対象にはされません。樹皮・葉っぱ・花実だけではなく、中身は?わからないレベルですからまだ未知の領域です。

長野県下では、別名「牛コロシ」というけれど、牛の鼻輪や叩き棒の用途とされてきました。衝撃振動が消されるので石工ハンマーなどの木柄に利用されました。現在は、人工植林で灌木はほとんど切られてしまい、沢筋・急斜面、窪地に僅かに残りますが商品として並んでいた自然木の細幹は、諏訪・伊那・松本地方では採取する人もなく、姿を消しています。「ウシコロシの研究」ではサッパリしませんので誰も触らない。
コロシ俗名ですが、尻叩く程度ですけど、いいえて妙。長さは、石割り握り柄でストレート3尺ものを重用、手割り石工ハンマー仕事は絶えてしまい、鎌柄もハンマー柄も工業製品に変わりました。名前を変更板したい。専問書でも具体的な特徴、内実は未掲載です。(ウシコロシ木柄:山取小売り一本 @ 850- / 駒ヶ根市金物店 2003)

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株立ち自然林晩秋 赤実をつける 20161010 松本市入山辺山林ABE

樹名が同じでも、樹体の差異・個性があります。

A・Bとも樹皮が薄く、樹皮絞目エンボスや年輪幅密度が高い、やせにくく乾燥ヒビが入らないなど共通点がありますが、芯材部の赤- 黄、微細放射組織と内皮からでる向芯髄組織は逆、密度比重、絞目も深さ捻りには差異があります。特に年輪が細かく、春冬肥大差がはっきり顕れない均一なAと、肥大時期幅があるB. 集合株立ちと一本立ちで別種と見分けられるサンプルで専問書に記載は無くこれからデータを残します。
昔から、だだの棒用でしたから中身は注目されず、薬理成分や素性も分からずのまま。専問資料、知見もありません。林内南緩斜面に成育する粘り硬い有用落葉低木たちも見つめたい。

ⓒ 2016 , Kurayuki, ABE

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木の総合学研究 2016 「小径緻密質の堅木木柄材」「樹肌絞目握り感・衝撃振動吸収性」

 

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