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閑話休題 人生の師 「とうふ」 京都豆腐組合選 日本一旨い豆腐の品評 富成伍郎商店・食のクラフト名詩

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

とうふとうふー 20120310

長年、この豆腐屋さんの前を通るときは必ず立ち寄ります。

ある日、創業爺さんが入り口に架けた詩額をみて

さすがの達人仕事、豆腐哲学に感動。爺さんに話しを伺いました。

人生の師「とうふ」

信仰は豆腐のようになるることだ

豆腐は煮られてもよし

焼かれてもよし 揚げられてもよし

生で 冷奴で ごはんの菜によし

湯豆腐で一杯 酒のさかなによし

柔らかくて老人病人のお気に入り

子供や若い者からも好かれる

男によし 女によし

貧乏人によし 金持ちによし

平民的であって気品もあり

上流へも好かれる

行儀よく切って吸い物となり

精進料理によし

家庭料理に向く

四時春夏秋冬いつでも使われ

安価であってご馳走の一つに数えられ

山間び 都市に – – どこでも歓迎せられる

貴顕や外客の招宴にも迎えられ

簡単なる学生の自炊生活にも喜ばれる

女は特に豆腐のようでなければいかぬ

徹した人は豆腐の如く柔らかくて

しかも形を崩さぬ

味がないようで味があり

平凡にして非凡

この自然にして自由なるものの姿

これが豆腐である

富成伍郎記  ⓒ 2012

爺さんは朝製造して、始めは市内に自転車引き売りにでました。

味は抜群、値段が最安でしたから長年の固定顧客は多く家計は大助かり。

数十年経ち、年寄りばかりで市中心部のスーパーが閉店してしまい

年輩が買い物難民となると、ついでに食材を御用聴きして調達、

豆腐と一緒に届けるという半情的な営業行動にでます。

爺さんは、「昔、たくさん買ってもらったから、恩返ししなきゃ」と。

いまでも、当初おいてくれた店へ配達は絶やさず、塩尻・木曽までも届け

見事な「あきない」精神と感じ入りました。

利益をむさぼらず、誠実で味な職人気質には、辺鄙な場所でも顧客はやってきます。

だって美味しく安全で一番やすいんだから。

原料大豆は青森で委託栽培自力。孫三代目も新しい総菜アマモノを手掛け、賑わい繁昌しています。

「日本一旨い豆腐を決める品評会」京都府豆腐油揚商工組合主催第一回イベント(2016)で金賞に輝きました。京都名店は唖然。

最近、石川とか他府県ナンバーがやって来て、絹をごっそり。昼前に売り切れて困ります。

因みに、市内に豆腐料理店は一軒もありませぬ。

「むべなるかな」

※ご本人」の許諾を得て掲載しました。20170407ABE

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木の総合学研究 2017  「食のクラフト」「日本一の豆腐つくり」

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