日本の自然色木の内科薬用樹木

ニガキ 薬用樹木-2  再生循環自然薬・工芸材利用 Insight 木の内科-3

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

苦木には、白と赤があり、雌雄異株。強い苦味成分は、生薬や殺虫剤、染料、寄木細工に

 現在、ニガキ大径木を探すのは極めて難しく、木材市場へ出る事は希に成りました。
このニガキは青森五戸産出 (2008年)、盛岡木材流通センターに出品された貴重な赤白2本口でした。

ニガキA + B 20040417

右A:白 91年輪 芯部65yrs. 元口 380 x 430    末口300   2.2mL
左B:赤 78年輪 芯部52yrs.  元口310 x 350    末口300   2.1mL
4月の市売でしたから伐期は、春先、材色と樹皮の違いが識別出来ます。産出地は流通センター尋ねで判明、現場は不明でした。
AQデザイン様 ニガキ丸太20090410-2
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 ニガキは、鋸カット作業時、口の中が強い苦みで大変です。葉枝・樹皮・辺材部白太・芯部すべてが苦く、味を樹名にした珍しい木です。自然林での自生地は少なくなり、次第に減少し、チップ材選材仕分け、若木・小径木が多くな樹皮は薄く、割裂。傷み・喰い荒されやすいので、全身苦み防御しているけなげな樹種とも考えます。
強い苦み成分で木喰い虫が付きにくいと想像していましたが、樹皮付き自然乾燥3年目にピン虫がマンションにしてしまい、全形サンプル材は、全滅です。電子レンジで3分加熱しても退治できません。昔ながらの水中貯木で一年ほどプールにいれれば根絶できますが、材色素が容出しますのでサンプルは自然乾燥のみ。虫食外の部分カットでストック。染色剤としての化学成分・純木灰での成分分析がこれからの課題です。江戸時代から箱根細工の黄色種木に使われてきました。
嘗ては、各地に植生があり医薬・工芸役務の優れた樹種です。樹木図鑑では、外観の枝葉・花・幹の写真ですが、「木の内科」では内部・組織など生材カット時の記録と共に、節・変色部も挽き板で記録しました。
南アジア・マレーシアでも苦木を轆轤でコップにして健胃液を飲むことがありますので、健康・医療分野での共通文化が有ります。薬用樹木リスト (日本・アジア地域) 薬用樹木リスト
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別の虫喰われ苦木8本口  白太辺材部分が多く、樹齢若く割裂前の樹皮は薄い
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木の総合学研究 2013 – 2019「薬用・工芸木」「苦木の木口」「Hard Wood – Insight」

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