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「真木・コウヤマキ」伐り尽くされた最有用樹の虫喰い・黴び抗菌レジスト 水湿土中で腐らない抗体防護材質に衛生・薬理研究が追いつく 古代の自然色カラーコーデイネイション・針葉樹木香評価 Insight 木の内科-38
自然木の抗菌・抗体材質は、生存環境に適応して香り物質やメディカル成分を内分泌される。動けない樹体の害傷や虫・黴び菌類から防護し、専守存立する生命の仕組みそのもの。樹木自身の生存予力を樹幹に貯めています。
固有の生命維持システムが潜み、倒れまいとする立木の樹体内記録も年輪とともに刻まれていきます。虫菌の寄りつきを防ぎ不朽質を維持する多層バリア、細胞レベルのバイオレジストに注目して。
樹皮・木部全体が抗菌・水湿耐性をもつ
一科一属一種の真木・コウヤマキのはハッキリした芯央部はなく、辺材白太は微妙な色差。樹脂・色素を分泌蓄積せず、無地均質。軽・軟質フラットな材質は、抗菌ガード、セルフキュアー治癒の細胞壁間移動はなく、材全体が抗菌・耐湿性で複雑な統合組織活動がみられない。ガードが堅く、外部からのダメージを受けにくい性質です。
多雨多湿、酸性火山灰土壌に根づき、成長肥大は早く、静かで動かない材質感があります。木口割り割裂、切削刃物あたりはスムーズ。外皮・内皮・辺材のコントラスト色調は鮮烈で、古代装束をイメージさせる 檜皮色と黄蘗染めに近い高貴なカラーコーディネイションです。
植林木 34yrs.のサンプル挽材
元口 380 x 350 x 930L mm 、900L mm 9M 20171215ABE
入皮 侵入した腐蝕菌の抑止痕 生節
外皮・内皮 板目・柾目
抗菌・衛生素材として注目される針葉樹有機メディカル成分
腐りにくい菌類を寄せ付けない成分は、トップノートが臭いので好感度が低いのです。生材は強い臭いがありますが、乾燥すると軽くなり微かに芳香。近年、コウヤマキの抽出物の抗菌・薬理作用を解明し歯科医学の応用記事がネット上に公開されています。
古代は棺材・水樋、建築材に重用され、近世には風呂、桶など水廻りに強い耐久素材でしたが、これからは、自然乾燥ソリッド材の抗菌性が収納保存・修複マテリアルとしても注目されます。現在では、わずかな植林地以外の森林植生は、ほとんどなくなり、木材市場にも姿を見かけません。
虫・黴びがよりつかない葉枝・樹皮・木部 全体が抗菌・耐性をもつ有用樹体
一科一属一種の真木・コウヤマキは、芯央部組織、樹脂細胞はなく、脂・色素を材部に分泌蓄積しない無地材質。葉形、実、軽軟質材は、全体がシンプルな植物相です。
毬果は脂がいっぱい。槙実のサイズは小さく素朴なワンタン包み形
葉は、どこか南方・原始先住の雰囲気です。
外皮には、白い微粉脂がレイヤー状に吹き出ています。樹皮層の脂吹きは、槙肌(マキハダ)が最も多く、ハクジ(柏槇)も目立ちます。檜では微少になり、椹になるとかすか。檜材は、脂組織が発達して材質に精油分が多く、槙に比べ進化して複雑な構成です
多雨多湿、火山灰土壌に根づき、成長肥大も早い太古からの固有種針葉樹。雨虫黴び防衛のため、外皮重層に脂を蓄え、さらに緻密な積層内皮の肌をまといます。繊維積層は、水を被ると膨潤しクッション性を帯びる。
木口割り割裂、切削刃物あたりもよいので、建材や舟のパッキン、被覆に樹皮を剥がされ、腐りにくい性質は、棺材・井戸枠板・橋脚になりました。 樹皮は軽軟、曲従・水湿に耐え「まき縄」として鵜飼い縄につかわれます。
脂層入り耐水繊維の積層樹皮は、剥がして槙肌(マイハダ)になります。やや紫混じりのノーブルな色相は臙脂色に近く、「檜皮色」ならぬ「槙皮(マイハダ)色」として日本の伝統色にいたしたい。生木材は淡黄白色、乾燥材は乳白色に近い。
古事記の「五穀の起源」には、「須佐能ノ尊の眉毛から楠、髭から椙、胸毛から檜、尻毛から真木を生み出した」と記述があるので、むしろ臭い下位下様の香り成分であることも妥当。香木扱いではないにしても、古代から割り木工に使いやすく、樹皮と材は防虫・抗菌、膨潤耐水性の利用価値の高いものでした。
高野槙 60yrs. 樹皮の打撲傷クラックから腐蝕菌が入っても抗菌性材質で増殖を止める
岩兵神社 平成6年伐採・小岩 岳氏 (大工職)目詰み自然樹
針葉樹材 木の香り評価
日本産針葉樹種の芳香評価(葉・幹芯央材部)は次のような順位になります。
①檜
②榲 杉
③ハクジ
④椹 サワラ
⑤姫子(五葉)
⑥栢 カヤ
⑦一位
⑧赤松
⑨蝦夷松
⑨ネズミサシ
⑩ネズコ
⑪栂 ツガ
⑫唐松
⑬ヒバ
⑭樅 モミ
⑮真木 コウヤマキ
外来樹種 唐桧は椹、メタセコイアは樅に近似。銀杏はヒバ、ヒマラヤ松は槙に近く強い香りです。
さらに200年以上の高樹齢木となると樹脂の香気成分が気品を生み、順位はつけがたい成熟した富貴香となります。樹木の色相や香り精油成分は、樹体を護る生命力源そのもの。
虫・黴び菌類が寄り付かない衛生・抗菌自然素材は、強い薬理作用・バイオ抗体性が注目されるようになりました。立木は専守受動的で何重、静かな防衛生命活動力をひめています。
ⓒ2018 , Kurayuki Abe
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木の総合学研究2018 「古代樹真木の抗菌・耐性材質」「針葉樹香木類の木香評価」「槙の樹体カラーコーデイネイション」
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