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和紙料楮のフォーシーズン肥大 粗密・異方成長 抗菌セルフキュアーにみる樹体内バイオダイナミクス 楮・桑科の有用樹通性 Insight 木の内科 -39
シルク・紙漉き、漢方、染料、茶飲料、飼料、フルーツ、工芸材となる桑科ファミリー共通の性質は、薬料・健胃フード・強靭な有機質繊維を生み出す自然のバイオマテリアルとして古代からの有用樹木。再生循環無害、日本の工芸文化を支えるエコ自然素材の代表格です。
和紙原料・紙漉きは良く知られていますが、樹皮剥ぎ材部は焚き物とされ、栽培種は太く成木にしないので樹体内組織・材質は未明でした。
厳冬積雪期、内山和紙工房の現場で洗浄・自然乾燥・製紙工程を見学。用材テスト原木サンプルを分けていただきました。著しい肥大成長・ダイナミックな抗菌ガード、セルフキュアーなど、立木成長の仕組みや見えない材質のバイオ活性にも注目します。
強靱な樹皮繊維は、厳しい自然の中で存立し、倒れまいとする立ち木の構造をささえつつ、外部からのダメージを防衛する重要な働きをしています。栽培種は成長肥大が早く、樹皮繊維が多くとれるものへ作りかえた改良樹種ですから、野生とは異なります。
樹皮剥がし「黒皮」自然通風乾燥 (阿部製紙201712)
清水洗浄後の生木肌
初々しい端正な木肌 単純肥大の空木一年生
元口径 20 x 29 mmx2m H 背高細径・軽量ソフト材質 一年ものは芯部は「空木」中空パイプ状 芯央から外皮に向かう微細な放射組織が密生し、成長肥大幅が大きい 木肌はぬめりがつよくツルツル微細絞目。
滑らかな絞り肌 四季の肥大密度が異る秋材部年輪層は逆交差 三年生
元口径 50 x 49 mm x 枝下1.2mH 芯からの微細斜放組織と重粗密、異相肥大、環孔・散孔のまじる繊維束で強化され、倒れにくい靱性をもつ組織組織となります。
三年ものでは、肥大密度が環孔散孔細胞の重層になり立木は丈夫な樹体にかわり、木繊維で硬質の淡黄褐色の木材部になってきます。激しいほどの成長肥大、木肌は清浄、絞目も滑かです。
三年ものと四年もの
導管環孔+散孔連続 四季の肥大は交差木理複層 傾斜組織硬化 抗菌抗体色素出動 四年生
元口径 72 x 60 mm x 枝下1.7mH シーズニング開始の 密度比重は約0.8 ダイナミックな肥大成長と元口割れは激しいほどの抗体・治癒活動を起こしています。芯材部は、硬質の木部を形成して抗体色素の分泌移動、バリアー色変バイタルサインを残しています。
この四年ものは元株から害傷をうけ腐蝕変色。木肌割れ・入り皮状態が進行中で抗菌抗体ガード、治癒の赤紫抗体色素移動がみられます。外皮内皮、形成層の損傷被覆による変形。
* 楮手漉き和紙の特殊な用途:
版画額装ヒンジ、紙箱・軽構造モデリング補強材料、織紙シェードクラフト等があります。
古事記では「栲」タクと記載、 古名は「カゾ」「加地」カジノキと混同される。江戸期の栽培樹は三種あり、ひっくるめて「コウゾ」としている。(和妙抄、他)桑科の早い成長は、シルク・紙漉き染料、漢方、茶飲料、工芸材などの利用されますが、重要な有用樹ファミリーとして共通する性向を総合的に把握していきます。桑科は、樹皮を傷付けると白濁した乳液が噴き出します。山桑の内皮・木肌の傷ふさぎは、浸透粘着性の保護作用があります。
*本稿は、阿部製紙(内山紙伝統工芸士)阿部拓也氏に原木サンプルの提供と教示を受けました。
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木の総合学研究 2018 「楮栽培種の活性・複層交差木理」「和紙・バイオクラフトマテリアル」「楮・桑科の有用樹利用」
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