県政タウンミーティング 2018 松枯れ対策パブリックコメント・ABE意見 2018年10月20日 長野県知事阿部守一出席・上田市上小森林組合森林センターにて
「松くい虫被害の総合的な対策について」長野県林務部配布資料の説明後に公開意見表明 PM 3:00 – PM 5:15
各地域から参席約70名、多くの重要な意見や要望発言がありました。阿部知事は「松枯れ問題は民主的に解決すべきであり、県の情報開示にも検討の余地がある。どうも、もやもやしてスッキリしない所があり、次の機会を検討したい」と。
小職は次のような意見を述べました。
松本市入山辺阿部蔵之、阿部 森一族です。
林務部・林業センターの方策をみますと、「松枯れ」が「マツクイムシ対策」になっているという印象です。
私は、林野庁林業講習所講師、岐阜県林政部職員研修や木の国大学プロジェクトなどに参画、木の大学講座を運営して木と人間の関わりを総合的に研究しています。
林野行政の指導、パイロット事業などを概観しますと、岐阜県などの先行事例にならい、本庁でガイドポストとしてまとめ、順次各県に導入されていきます。おおよそ長野県は高知県の後に動き、数十年のタイムラグがあります。
他県の動向を察知したり利用できるのですから、他県の失敗を見習わず、先進の賢明な方策ができると思います。
先日、岐阜県林政部長・農山村振興局長を歴任した知人を訪ね、松枯れ対策の経緯を尋ね、松枯れ山里の現地を見てきました。松枯れはどんなに強い農薬殺虫剤をまいても止まらない。60年近く経つのにまだそんなことをやっているのか」と。 被害地を見てきましたが、赤松を伐り杉を植樹し、現在では50年生の間伐期を迎え、林縁では果樹栽培、養蜂も安定しています。
松枯れは台風被害、大気汚染・排気ガスで松葉の気孔がつまり衰弱して、そこに木喰い昆虫がとりつきます。松本市中の県の森公園の松枯れ葉を携帯マイクロスコープでみると、気孔にヂーゼルエンジン排気煤の黒い微粒子がついています。
衰弱の原因には、赤松の寿命や自然更新による広葉樹林移行、燃料利用しなくなった松林の富栄養化や密植・無理な植林などいろいろ。この数年、ひどい松枯れは、高速道路トンネル付近・バイパス沿道に目立ちます。
松本市耕地林務課長の説明では「線虫を媒介するかみきり虫が羽化する前に高濃度殺虫剤を空中散布しないと農産物に風評被害がでる。松枯れで全滅するが、殺虫農薬を撒けば全滅を少し遅らせることが出来る。国や県の基準で安全」と荒っぽい住民説明です。一方、果樹栽培農家の高齢化で草取りが大変なので山辺のブドウ園では枯れ葉剤・除草剤を撒いているところが目立つようになりました。山辺小学校の直ぐ周りまで広がってきました。今、今井の養護学校はマンモス校化しています。
國土緑化・拡大造林の時に、松本地方・明科・安曇一帯では、苗木が安い松・唐松・杉が植林されました。ヒノキは高いので敬遠されました、本来は、自然推移で広葉樹林になる森林地帯ですが、伊勢湾台風後の特需で無理な人工針葉樹林になり、脆弱性が否めません。現在、東山部入山辺では、唐松植林地の雨氷・台風による倒木や山崩れが続き、土石流の恐れがあります。全域唐松造林を主導した信州大学林学部と県林務部推進のつけを、これから私たちが片付けなければなりませんが、学術的なものはサポートして参ります。
*当日の発言は数分に限られていましたので、用意した画像を添え、コメント原稿を掲載します。↓
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木の総合学研究 2018 「衰弱松枯れ林と松くい虫防除殺虫剤散布、倒木燻蒸から伐倒、自然更新へ」「道路大気汚染・排気ガスNox・硫酸イオン降り注ぎ森林枯れ」「入山辺雨氷・積雪倒木と山崩れ植林地帶の荒廃」「人体に危険な除草枯れ葉剤散布の広がり」