「木」と食「木」の道具・工具ジョイントシステムデザインの目木工

北欧デザインを先導したデンマークシンプルモダーンウッドワーク 1975 | スタイリッシュデザインに潜む無理 | 使い勝手と製品寿命を支配するジョイント機構 | 木のジョイントシステム -32

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

○塩挽きと●胡椒挽き  Design by Rud Thygesen and Johny Sørensen 1975

回わし挽きハンドルのアセンブリーに着脱機能をもたせると締めつけ・遊びと軸の緊結強度が相反しガタが速い。

 金属材質ミスマッチで電解腐蝕・木ネジ抜けがおきました。デザインポイントであるボール止めネジ頭は小さく、グラインダー粒度調節と締め付けジョイント一体構造は応力集中。家庭用品なので、調味料投入時にキッチンでバラしたパーツは子供が呑み込むことも想定しないといけません。フォルム優先のデザインは、少し構造に無理がありますが魅力的です。

 チーク・マホガニー・ローズウッドの後に、アフリカ材のWengeがデンマーク家具に使われはじめると、端材端材をつかい洗練されたプロダクトデザインがテーブルウエアー小物まで広がりました。また、デザインの本にも紹介されません。持っていないから、細部のメカや特徴は判らないのです。

職人によるハンドメイドの時代からマシンワークに移行していく過程では、工業製品とのマッチングにも若干の課題が残ります。修理や代用が出来ないパーツは困りますし、自然素材は材料に限りがあり、持続できる小規模なモノ造りにふさわしいのではないでしょうか。

1975年5月  DEN PERMANENTE  Copenhagen にて購入

Peber og saltkaerne udført i krydslimet wengé og ahorn, 1975   Production PP Linie

Salt and pepper mils made of wengé and maple, 1975 Produced by PP Linie

当時は、アルミ材が塩分で電解腐蝕することは予想していませんでした。

仕様:

○塩挽きグラインダー底部

プラスチック成形、回転シャフトは細いアルミ角材、締め付けのボール(白塗装)はアルミ鋳物で塗膜剥離。軟質材のネジ頭が損耗して締めにくくなりました。雌ネジボールが小さいので嵌めるのにまごつきます。

●胡椒グラインダーは鉄製。グラインダー部は「PEUGEOT  FRANCE」

シャフトやプレート、木ネジの腐蝕が起き、Wenge材の木口ネジ保持力が低いことが後から判明。ユニークなモデルは短命でした。

Black & White 斬新な寄せ木ストライブ

 Ahorn欧州メープルとアフリカWengeの積層ボデイ、ユニークなハンドル形は、食卓を華やかに演出する北欧シンプルモダーンデザインとして注目を集めました。木材テクスチャーも粗密のコントラストが鮮明で、木理も削り出しが美しい仕上がり。ボディは掴みやすい。

料理が美味しく感じる調味料容器ですが、テーブルウエアーとして存在感があります。使い込むと「Patina」風合いが格別。

岩塩・粒胡椒の購入が難しいこともあり、実際に使っていた家庭はすくないのですが、輸入デザイン雑貨への関心を集めるイニシエーションとなりました。

デザイナーは、デンマーク家具デザイン界の代表格 RUD THYGESEN ・JOHNY SØRENSEN。グラインダーは「PEUGEOT  FRANCE」

RUD THYGESEN ・JOHNY SØRENSEN

「9006 DAGE MED DESIGN」「9006 DAYS OF DESIGN」「デザインの9006日」

af MIKE RØMER・by MIKE RØMER  1991

Nyt Nordisk Forlage Arnold Busek A/S ,  Københaven  Denmark

ISBN 87 – 17 – 06269 – 1       p.128    225 x 235 x 15mm

 

ⓒ2019 , Kurayuki Abe

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木の総合学研究 2019 「アセンブリーネジ型ジョイントに回わしハンドルの一体化ファージー」「Ahorn 欧州メープルとアフリカWenge材のW&B積層寄せ木テーブルウエアー」「銘木端材の活用プロダクトデザイン」「木製ボディと可動ハードウエアーの納まり」

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