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海風に揺り呷られ続け、倒れまいとする内部応力バイヤス「斜目」耀くシンメトリー波目の美質 | エージング熟成する紅ダブ大木厚板の香木・富貴化は時の賜物  Insight 木の内科-51

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

樹齢約180年、35年のナチュラルシーズニング熟成を経て、ノーブルな香木へとセレブレーション。海風に揺れ続けた立木の総バイヤス立ち「斜目」耀く波目木理。セルフキュアで芯央抗体色素移動を続け、樹脂成分材色は深まり、高級材の質感を帯びて見事に富貴化。樹木は、伐られた後も活き続ける。

クスの木科タブ属「紅タブ」希少厚板 の長期自然乾燥・熟成伴材の美質

 芯央材色の赤身・樹脂分が多い「紅タブ」と白身の「白タブ」に見分けています。楠とおなじような芳香性樹脂・精油成分を含みますが強い香りではない。樹体は、昆虫や黴微生物から樹体を防衛し、ダメージ損傷を治癒する抗体物質を生成して蓄積。防虫防カビ化学薬品原料の代表的な有用木材でした。樹木は伐られてからどのように変化するのか。外見ではみえないミクロの樹体内変化が明らかになります。

「芳香木・富貴化」

長年の室内重ねストック 熟成による高品位材、富貴化が進みます。

この紅タブ大木は、樹体内分泌色素移動が長期安定ストックでゆっくり進行。生成された樹脂精油、香成分が強まる凝集・重合作用で、若しくは、高分子化とみられます。「陽表片耳付き」で重ねたままの保管状態が続き、移動による環境変化も抑えた結果、樹体内は穏やかに過ごし、安定したまま活性を保持してきました。

木表表面を削りだすと芳香が拡がる

樟(楠)の木と近縁ですが、樟脳・樟油ほどの移り香はなく、日本の香木には入っていない。脂気のある樹木の木香が強まる数百年のエージング効果はつとに知られていますが、紅タブの芯材赤身の変化は実証サンプルとして重要な知見を与えます。虫黴び雑菌が寄り付かない抗菌性で木香を放散。熟成効果と合わせてメディカルWとしての潜性にも注目。

① 紅タブの抗菌メディカルウッド・希少銘木材質について

②長期熟成による自然素材の香木・富貴化

③海風揺れ呷りで入る応力バイヤス「斜目」波目立ち木理の美質

④耳付き厚板伴材ストック、材質変化のトレーサビリティー

等を考究していきます。

希少銘木の風格を帯びてマホガニーを彷彿させる「ノーブル材質」

 潮風・ミネラルの影響が肥大成長にとりこまれ、縞筋グレインは幹の陽表側に顕れます。同じように、コーストエリアのクーンズランドウォルナットやカリフォルニアウオールに似た縞筋状の木目がでます。芯央からの抗体治癒物質、赤身移動が続き、耳・辺材部に色素の滲出、凝集がおきています。木裏面の色素移動は大きい。

 

辺材部への赤身芯央色素の移動集積 (腐朽菌侵入抗体バリアを形成)

木理木肌が深みを増し、華やかになりました。細胞レベルでは、いきなり劣化したり、物質崩壊はおきませんから、相当の期間、木繊維組織、精油・樹脂が酵素とともに存続し生命的活動が持続します。

強い太陽光を浴び、コーストエリアの明美な環境で育つ常緑照葉樹は、生命力がほとばしる典型的なライブウッドです。

海風に揺り返されて出来る「バイヤス斜目」連続波立ち応力パターン

総身に顕れる海風耐抗内部応力はバイヤス斜目「波目」を造りだします。

 沿海域で立ち続ける大木は、潮風にあおられて枝先・樹冠が揺さぶられ樹体は引きちぎられ、折れないように拮抗する応力バイヤスでもちこたえます。長年成長して、連続的に波目パターンが現れ、削り肌は偏光反射して耀く。自然素材の美質が賞揚されてきました。木目に躍動するリズム感があり、「木目の音律・Grain Note」という表現は、自然のフラクタル現象のゆらぎ=1/F が形に現れたもの。

 

この紅タブ大径木は、陽表・日裏シンメトリーに風揺れに耐え、斜面反り戻し樹体引っ張り、バランス構造が見事に出来上がっています。木目は立ち木が倒れまいとする姿なのです。陽表側に肥大し、樹芯は陽裏側に引っ張り起こし、目詰まりコントラスト。

材質の見立て 安定ストックは「耳付き」がベスト

樹齢約180年生の大樹、スックリ枝下2.5m、元口径60cm。末口枝下50cm.伐採から挽き材、マテリアルトリートメント、木守り。熟成までのトレーサビリティー、30年の熟成時間を経た厚板です。

この紅タブ幅広厚板は、動く鮮明な赤身色素、綺麗なミニ小節、木肌の玉杢瘤サインなど、欠点ダメージがない、希にみる見事な素性のよさ。しかも最も安定している芯央伴材。材色木理、鮮明な芯央色素など木味がとてもよい。

「ミニ瘤」高樹齢木では「玉杢」がでるとされる兆候耳付きがプロの材質の良否判断・見立ての手がかりになります。

耳付き材ならば、内部変化・取り扱いの記録、由来も判ります。衝撃ダメージを防ぎ、欠点を除去しないままが好ましいのですが、嚴冬期新月伐採でないと栄養・糖質が含まれるので木喰い虫さんが入り易い。

紅タブの植生と利用 生物素材の潜性

 タブの木は、コーストエリアに育ち、潮風を好む植生。鶴岡市内の保存樹や茨城海岸沿いの神域に樹林地があります。出雲風土記などに登場する古代の楠巨樹は、江戸・明治期以来、樟脳採取・医薬ケミカル原料等 大量に使われ、類似木のタブも各地で伐採。現在、タブノキを使う木工職は稀になりました。この紅タブは、これから先に出会えないような優れたネイティブツリー、専門書には樟の強い樹脂成分・精油が目立ち、タブの木香に関する記事はなく、まだ知られていない香木です

逆目・寅目髄線とは違う「バイヤス・斜目」の美質

斜面や沿海域風倒に耐える応力バイヤスは「斜目」。引っ張り伸ばされる揺れに耐抗し、肥大成長とともに三次元で樹体内に発生します。寅目・逆目とは違う細胞自体の引きちぎれ抗力が微細な連続筋が全体にシンメトリーに入ります。風あたる陽表、揺りもどしの日裏では、肥大差が目詰まりで顕れます。

台鉋裏刃の逆目おさえ削りにより、逞しい生命力の姿が偏光反射で輝き出します。鉋刃切削抵抗が大きく、削り屑は裏割れ、被削面はさくれますので混同されてきました。

ⓒ2019 , Kurayuki Abe

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木の総合学研究 2019 「紅タブの抗菌・抗体性と香木富貴化」「芯央色素のセルフキュア」「ケミカル薬用成分樹種のメディカルウッド活用」

 

 

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