「木」と芸術デザインの目伝統文化工芸

詩情溢れる紙箱工房の道具箱「Akane BonBon」|パッケージではない道具のための箱オブジェ| 大切な物を仕舞う、存在感を際立たせるメルヘンクラフト茜箱|箱櫃庫蔵造形考の端緒 |クラフトフェアーまつもとベストプロダクト-16

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

紙箱は、商品のパッケージにツキモノです。品物を保護すると同時に。イメージを際立たせ、ハートに響き、目を引くデザインが多くなりました。容器箱体は美しいだけではなく、使う人の個性や生活スタイルを反映し、思念や暮らしを表現するものです。

出展参加当初は、控えめな展示で目立たず、モチーフは樹形や自然の生き物、幾何模様、ストーリー性を帯びるものに増えてきました。丁寧な手仕事は、コモンセンスを超え、嫋(たお)やかで大人しい。

「紙箱」の既成イメージやコモンセンスに囚われず、ユニークな創作力と造形性を深め、年ごとにレパートリーを拡げています。丁寧な造りと、詩情溢れる作画・グラフィックスをあしらう、語りかけ、楽奏が聞こえてきます。包み張り木目(きめ)技法も手練れとなり、感受性の高い人々を魅了してやみません。才能は、平等ではないのです。

出展記録は、2011年から2019年 連続出展参加

2011

2013

2014

2015

2016

 

2017

作品の属性や新鮮な面白さ、造形力は子供達の反応でわかります。まるで絵本の世界を覗くように蓋をあけます。

暮らしのなかで心地良い、アクセントになる作品達に出会いました。個々の作品は、控え目であまり主張しない。「はこオブジェ」と名付けたい新しいカテゴリーを見出しているのでしょう。

2018

  

2019

作品は、

・お茶セット入れ・木の葉型トレイ・書類箱

・屋根付き丸箱「風・陽射し・田園・樹林星界、記憶」のポエム手箱

・煙突箱・角箱・オーバル箱・丸箱、手持ち細箱 他

因みに、矩形の箱以外は型をつくらないそうです。道具箱のカテゴリーに斬新な実用モデルを加えてモビールや美術作品へ活躍が拡がります。

● 梅川 茜 略歴(本人寄稿)

南仏の町ヴァルレアス valéasでフランスの伝統工芸「カルトナージュ(Cartonnage)の技術を学んだ後、制作活動をはじめる。

和紙に型染めや手道の活版印刷機を使うなど、紙の手工芸的技法を広く取り入れながら。厚紙を用いた暮らしの道具を制作、発表しています。

2003年1月     初個展(松本市Gargas)

2004年10月     個展(松本市Gargas)

2005年     個展(国立市ギャラリー創)

2006年9月     toji kyokoさんとの2人展(松本市Gargas)

2008年6月     toji kyokoさんとの2人展(松本市Gargas)

2009年     坂のまちアート展参加(富山市八尾)

2010年11月     PomPomとしての活動開始

2011年5月     クラフトフェアまつもと初出展(以降2018年まで出展)

2011年10月     個展「みちばたにあるひそかなもの」(大阪オソブランコ)

2013年5月     金井三和さん、大胡琴美さんとの3人展(松本市百趣)

2013年8月     江籠正樹さん、和田麻美子さん、初雪・ポッケさんとの4人展(松本市ラボラトリオ)

2014年3月     個展(神戸市d’antan)

2014年7月     個展(西宮市nico)

2014年11月     個展「柿渋とブルー」(松本市Gargas)

2014年11月     森ひろこさん、畑中篤さん、山本弥生さん、辻本しんこさんとの5人展(宇陀市ギャラリー夢雲)

2015年6月     雷鳥張子の製作開始

2015年9月     梅川尚茂、梅川まほとの親子展(豊橋市公園通りギャラリー)

2016年8月     個展「家をたのしく」(松本市Gargas)

2016年12月     長谷川風子さんとの2人展(新潟市Hickory03travelers)

2016年12月     森ひろこさん、畑中篤さん、山本弥生さん、辻本しんこさんとの5人展(宇陀市ギャラリー夢雲)

2017年4月     紙博inTokyo初出展

2017年11月     個展「紙博inTokyo出展

2018年4月     個展森ひろこさん、畑中篤さん、山本弥生さん、辻本しんこさんとの5人展(宇陀市ギャラリー夢雲))

2018年12月     森ひろこさん、畑中篤さん、山本弥生さん、辻本しんこさんとの5人展(宇陀市ギャラリー夢雲))

2019年7月     紙博in Tokyo出展

2019年7月     藤沢市アートスペース「木目(きめ)をつくる」出展(小林努さん、大曽根俊輔さん、後藤信治さんとの4人展・姉妹都市間文化交流事業 2019年7月13日 ~ 9月8日)

2022年5月 クラフトフェアーまつもと 出展展示

目録発行:藤沢市アートスペース 2019年9月

AkaneBonBon 梅川 茜

〒390-0804 長野県松本市横田1丁目3-12

Tel. 080-6938-6898  Email ume@akanebonbon.info

クラフトフェアまつもと 新作2022

ブータン手漉「ダフネ紙」力作です。

■「ガラスの箱と紙の箱」展

石田 沖 + Akane Bon Bon

2022年6月4日土)〜26日(日)

Gargasガルガ

390-0815  松本市深志3-10-26  Tel.fax. 0263 – 39 – 5556

□ 箱のいろいろ (函、匣、筥、筐)

 日本の生活文化には、様々な箱が使われてきました。箱は保存容器であり、使うものをまとめ仕舞う蓋付きの構造です。使う「ハコ」で、センスや暮らしぶりがわかるほどです。貴方は、どんな箱をお持ちでしょうか。「おはこ」は得意なことですが、ハコが沢山ある人は、リッチですね。最近「箱入り娘」を見掛けません。箱の所有率は、圧倒的に女性。

・木箱・紙箱・茶箱・魚箱・通函・用箱・内箱・外箱・平箱・手箱・針箱・糸箱・扇箱・面箱・鑑箱

・文箱・硯箱・筆箱・印筥・経箱・柳筥・重箱・乱箱・釘箱・鑢箱・鋏箱・銭箱・靴箱・折箱・巣箱

・飾筥・針箱・炭箱・桐箱・宝箱・薬箱・本箱・抽斗箱・蜜柑箱・林檎箱・宝石箱・秘密箱・料紙箱

・短冊箱・大名箱・玉手箱・救急箱・私書箱・投票箱・千家箱・雲州箱・遠州箱・周防箱・千両箱

・貯金箱・整理箱・下駄箱・袈裟箱・賽銭箱・抽斗箱・亀甲箱・木画箱・菓子箱・野菜箱・保存箱

・裁縫箱・螺鈿箱・石鹸箱・帽子箱・工具箱・道具箱・化粧箱 ・ 衣裳箱・玩具箱・弁当箱・飼育箱

・餌箱・香箱・ゴミ箱・花手箱 等

西欧でも、Box(E・G)、Package(E)、Boîte、Bin、Écrin(F) Kasten (G)Scatola(I)など、沢山ありますが、伝統的な様式に基づく類型や定型パターンが目につきます。

各国の歴史や民俗文化から生まれた容れ物には、多くの箱体の名称があり、重要なものが入ります。神話には、「ノアの箱舟」あけてはいけない「パンドラの箱」もありました。 箱は、生活を彩り、折々に必要になります。「メモリアルボックス」故人を偲び、「思い出箱」「偲箱」もいいですね。ストーリーや世界観が箱に詰められているのでしょう。

古文書・美術品を収納保存箱にいれますが、箱書があると立派で有り難く感じるから不思議。嘗て、ドル箱もありました。

気象観測の百葉箱専門メーカーは、一社頑張り、最近使われない「ブタばこ」、増えてきた「ブラックボックス」。高貴な人が使ったイバリ筥、人は最後に「がんばこ」に入ります。

ハコの起源

 人類が定住して農耕を始めたのが約一万年前。収穫した種・穀物を保存するハコが考案されます。鼠に悩まされて、山猫を飼い慣らして猫を家畜にしました。

地中海クレタ島墓遺跡から猫のミイラが発掘され、DNA解析で リビィア山猫だったことから、当時、既に猫を鼠とりに使い、穀物を保管したハコモノがあったという起源説です。富の蓄積に繋がる箱は、私有財産制度のきっかけだったかもしれません。

 木を楔割り、削る道具が石器、青銅から鉄器にかわり、舟や建築構造物が造られました。木工文化が急速に発展する歴史を辿ると、かなり古い時代に蓋付きの容器から大きなサイズのモノ入れに進化したと考えます。板材が削れるようになると、大型の櫃や収蔵具へと発展します。近年、税金を無駄にする建築物を「ハコモノ」というのです。

防黴防虫・電磁波遮蔽・温湿度バランス維持、保存安定機能を発揮するソリッド材

木目を見てから一万年。ようやく、倒れまいとする樹体の対応力や抗菌抗体の分泌反応や微細成分の放散をとらえる木の内科的研究が始まりました。薬理治癒作用もある見えない樹木の力、生命維持の仕組みが明らかになりつつあります。黴や微生物・昆虫を防ぎ、温湿度を一定に保ち、紫外線や電磁波から遮蔽できる樹種・使い方があります。

見えない天然木の薬理作用、抗菌防衛、生命維持力が少しづつ明らかになり、体の自然を取り戻す家具や室内構成材の新しい使い方、キュアファーニシングに採用されてきました。

2020年 5月末 「クラフトフェアまともと」工芸の五月は、ウイルスCOVID-19感染の拡がりで開催が中止され、1985年以来続いた県の森イベントは先送りになりました。作品展示から販売目的へシフトしてきて、際立つ創作・とんがった才能が消え、類型が蔓延。偽作も現れるようになりました。才能を見出す個展の集まりは、商業イベントに変質しているという指摘も多く、お仕舞いの兆しを感じています。35年目の春です。

ⓒ2020 – 2022 , Kurayuki Abe

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木の総合学研究 2020 – 2022「紙箱の創作クラフト_新領域メルヘン道具箱」「紙ハコの新造形」「Cartnnage カルトネージュ フランス伝統紙箱工芸」

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