① 一寸 平 口金なし/ハイス 310 x 31 x 13.2t 白樫
② 一寸 平 刃なし 303 x 32.4 x 14t 白樫
③ 八分 丸 ハイス 270 x 17.2 x 14.2 白樫
④八分 半丸 ハイス 270 x 19.7 x 13.7t 赤樫
⑤六分 平 ハイス 243 x 14.2 x 8.5t 赤樫
⑥六分 1/4丸 ハイス薄刃 240 x 12 x 8.2t 白樫
⑦ 仕込み 一寸 ハイス 角(握り面取り・口金未了)
⑧ 仕込み 八分 ハイス 角
⑨ 仕込み 六分 ハイス 角
⑩ 仕込み 六分 刃なし 角
⑪ 刃研ぎホルダー
⑫ ハイス刃八分・真鍮口金プレート
⑬ 握り部削り挟み 木製治具(次ページ)
*HSS刃は、自動鉋盤刃、替刃をカットしたもの。
大工道具店で販売されている既製品「南京鉋」は、使い手が自分で仕上げる粗加工で直ぐには使用出来ません。自分の手に馴染むように仕事や用途に応じて台底(平・丸)握りを削り、刃先を調整しないと使えない半製品です。口金(刃口に摩耗を防ぐ真鍮プレートをつける)はなく、日本のプロ用の手鉋は、「直ぐ使い」ではないので自分で削り仕込み直し、調整しなければならず、手間がかかります。刃口まで調整すると一日二日がかり。
この手間がかかる棒鉋をベテラン家具職人が使いこなしているスタイルで直ぐ使いにすれば、使い手は助かり喜ばれます。近くに住む友人の東 敦史は、独立して直ぐに売上げに結びつく作品をどうするかを考えて、まず、得意な椅子・小物用南京鉋を制作して木工人に出品販売したのです。
20数本持ってきても、一人が数本づつ手にすると無くなってしまうクラフトフェアーまつもと、「今年こそ買ってみようと会場に来ても既にほとんどが売れてしまって」という嘆きのエピソードもある稀少作品でした。
プロ用鉋作品には、長年の経験と制作者の個性・人柄がでています。とても使い勝手が良く、完成された形に。日本の木工具の新しいモデルになりました。しかし、直ぐに工人仲間の話題になり評判が高くなってきた矢先に急逝。
体調を案じていた私は、度々立ち工房に立ち寄り取材。その都度、完成品を購入し、作業場での制作記録とともに加工工程見本・関連資料等の収集が間に合いました。この他、切刃・工具類も引き取り保管してきました。
受注用に仕様型録を準備、作成
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※ 教材配布・業務利用を禁じます。作り変え、まとめサイト、ライター・教務無用。
使い易く切れる道具は、とびきり安く、直ぐに売れ切れ。五月末、フェアーに来て買いそびれ、落胆・失望されたクラフトマンの様子を見ましたので、私は、予約注文制作のために必要な仕様型録パンフレットを作成して届けました。短期間でしたが、随時、寸法・形状の違う作品を購入、ストック。いずれ作品集が必要になるし、まとめられると考えていました。
(従来、日本の木工道具は、産地問屋から小売店までの流通が品物本位できちんとした仕様表示、ディテールや図版もなく、販売店の型録もチラシ的で粗雑、観賞するものではなかった。)
印刷するほどの枚数は要らないので、写真+写植+図面を貼り込み、版下をA4モノクロコピーにして配布。
まだデジタル化されていない時期で、写植貼り込み版下です。(もはやタイプレスや「写真植字」を知らないでしょうね。写真とお食事ではなく)コピー機の性能があがり、貼り込み部分の蔭も消えています。製図ができれば、印刷業下職も可能な時代。自前のカタログは、コストがかかり、PRや販売力に制約もありました。
(英文対訳は、College of the Redwoods 校 Fine Woodworking Program 用に並記。1993 -1996 の間、私が代行して30本ほどFort Braggへ輸出)
1993年から1995年の間に合計、百数十本制作しています。
*注:訓練校、学校教材配布はしないでください。 ⓒ Copyright 1993, Azuma and AQ Design R&D. ABE
仕様:
台:白樫・赤樫材。刃は、手押し盤・自動鉋盤刃をカットして仕込み。連続使用時間を延ばすため、木工機械の交換刃をリユース。研ぎ易さから、鍛造小鉋(清忠一寸、八分、六分)刃の頭部をカットして仕込んだモデルも揃えました。削りバランスと狭い部位の動きを考慮し刃丈寸法を10 – 18 mm縮めています。
六分ミニサイズは、台の彫込み寸法の限界から替え刃用ハイス薄刃をカットして装着、刃口部は限界まで削り、底部の口金固定真鍮木ネジ先が表に二ヶ所出ています。一寸・八分は、自動・手押し用ナイフをカット。六分は、ハイス替え刃薄刃。刃物の切れ味・耐久性からリユースして仕込み。口金真鍮プレートは、金属プレス工場のシェアリング落としを活用。圓内曲部削り、手首肘ふり削りも可能なシンプルデザインです。
鍛造鉋刃・炭素鋼/ 清忠 (頭部カット)
・八分幅 総丈 9分- 一寸、地鉄 3 – 4分
・一寸幅 総丈 一寸一分- 一寸二分、地鉄 3-4分
裏押し・刃付け、刃厚みは、薄ほど良い、テーパーは、通従品
木部/椿油拭き仕上げ
AZUMA Spoke Shave 24mm 、HSS Single blade 東型棒鉋・八分 HSS 一枚刃 白樫
*HSS刃は、自動鉋盤刃、替刃をカットしたもの。
□赤樫 7本組み1993年 唯一のセット制作
① 平・一寸三分 清忠 一枚刃 頭部カット 303 x 30 -18 123g
② 平・一寸一分 清忠 二枚刃 頭部カット 308 x 32 – 21 125g
③ 平・九分 清忠 一枚刃 頭部カット 272 x 24 – 9 62g
④ 半丸・八分 HSS 自動鉋盤刃カット 一枚刃 272 x 12 – 9 43g
⑤ 平・六分 HSS 自動鉋替刃カット 一枚刃 240 x 12 – 9 20g
⑥ 半丸・六分 HSS 自動鉋替刃カット 一枚刃 240 x 12 – 9 20g
⑦ 丸・ 六分 HSS 自動鉋替刃カット 一枚刃 240 x 8 – 97 13g
*1993年6月制作 南京鉋 「平」一枚刃+二枚刃、「棒鉋」半丸・丸棒鉋のバリエーションの完成まで三ヶ月ほどかかりました。
鉋の名称
南京鉋は、中国伝来で「南京」というネーミングを道具商が明治時代から使ってきましたが、平台「台鉋」「反り台」など仕込みボディの形からいえば Spoke Shave 、英訳は「Japanese Spoke Shave」。東型は「棒鉋」の呼称がぴったり、平台の「台鉋」は、形状から呼称がきまりますので、棒状の鉋が適当。これからは、意味不明の「南京」はやめて、形状から「棒鉋・Spoke Shave 」にします。
*南京鉋:圓溝ヲ削ルトキ用フル小鉋ニシテ反臺ノ一種ナリ
「日本建築辞彙」中村達太郎 丸善、明治39年
*参考記録:「東 敦史さんの南京鉋」追悼 中村雅幸著 MANO No.2 1996, p.18 – 21
松本クラフト推進協会 1996年 5月 発行
東 敦史 Azuma Atushi
略歴:
1945 三重県生まれ
1968 中央構材(後の松本民芸家具)就職、以来26年勤務
1993 5月 第9回 クラフトフェアーまつもと南京鉋初出品
1993 8月 南京鉋・仕様型録作成、配布 (制作AQ Design Abe)
1994 1月 浅草水平屋へ南京鉋用特注刃注文
八分・一寸幅 頭部カット総丈短縮 各4枚
1995 退社、独立。自宅木造倉庫を改装して東工房開設
受注作品を 手がける。
1996 1月 急逝 50歳
工房制作記録を次回掲載、継承リプロダクト 柏木 圭の制作は後述。
(クラフトハウス・ミュージアム収蔵、クラフトフェアベストコレクション選定・クラフトフェア大賞候補作品としたい。)
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木の総合学2014 – 2019 「日本の木工具」「棒鉋」「ハンドツールコネクション」「クラフトフェアベスト作品」「クラフトハウスミュージアム収蔵展示予定作品」「ABEギャラリー」