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白木の代表格「まゆみ」緻密材質・絹肌美麗な優良木_敏捷に抗菌バリア抗体を分泌し、洗練された防衛治癒の動きリアル|MAYUMI arboreal life_The inherent antibodies barriers appeared in sophisticated curing_Foremost white and excellent silk texture between Tree and Wood|中秋を彩る紅子実は山の華やぎ_ユニークな樹性・美質を明らかに  Unknown insight 木の内科−82

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

「マユミ」の樹性や材質に関する歴史的な記録や既往の調査研究は、見当たりません。紅葉時季に華やかな紅子をつける花木は目をひき、美しく気品をイメージさせる名付けは好感度バツグン。商材として出回ることはなく、専門書にも記載がない。リアルな樹性は、以前として未知の領域です。ようやく天性の美質を診ることができました。

※ 今朝、マユミ木花が満開になりました。20210612 abe

コンテンツ

① 「まゆみ」さんの語源・来歴

② 樹体内抗菌反応及び治癒生命維持の仕方

③ 枝元入り節_元木基底部芯部の抗菌バリア

④マユミの樹皮・内皮層_雑味のない均質な美肌材面

⑤ 樹芯から 内皮へ届く抗体発出アウトリーチ

⑥ まっ白な内皮_天平時代の紙料「荼毘ダビ紙」「檀紙・真弓紙」

⑦ 紫外線から身を守るフラボノイドUV反応

⑧ テッポウ虫穴治癒_埋め詰め治癒抗菌オペ

⑨ 有用樹木_材質・刃物アタリ・密度比重・接着加工性、用途など

 室町時代の「具木名」には、「マユミ」木扁に面白の旁_国字の記載があり、江戸文化文政期の版本には、「檀マユミ・喬木類」として分類され、名称の由来や用途、農事、藥用が解説されています。明治時代には工藝的利用もされ、産出が少なく商材として扱われることはない優良木でした。ニシキギ科

 文系分野では、「檀・真弓」は散見するので基礎調査研究が必要と感じてきました。身近に群落があり、植性や材質の特長_経年変化・用途など、リアルで美しい生命力が溢れる素性を明らかにします。

① 「まゆみ」さんの語源・来歴

古名は 木偏に面白の旁_振り仮名は「マユミ」。「檀」「真弓」は江戸時代以降。歴史的な記録は数点あり、表記と字体をよくみると伝聞や引用による誤字・異字体、当て字が観られます。

■「具木名」マユミ_木偏に「面白」材面 白い_「新撰類聚往来  中巻」慶安元年 1648   丹峯和尚 作 敦賀屋休兵衛板 / 京都 室町時代中期 「具木名 」には、108樹種が記載されています。

 

江戸時代後期には、

  語源は、「萬由三」萬(あまた)三(実)をつける由(由来)_「檀」は、異字体を転用していますが「白檀」など混用されてきたのではないか?と考えます。

「和漢三才圖會 巻八十三  寺島良安編纂 江戸時代中期 正徳2年(1712年)」

李時珍編集「本草綱目」木ノ部 (1590 -1596 )を日本版に編纂したこの「和漢三才圖會」の記述も重要なのですが、字体は変わって音読フリカナがないと判りません。解説に伝聞がはいり、実物とは違うものがあります。当時の樹名はそれぞれ用途や来歴がかぶさり、時代ごとに違う名称へ動いています。

② 樹体内抗菌反応及び治癒生命維持の仕方

枝元入り節の抗菌バリア_株根元基底部芯央の抗菌バリア

 

③枝元入り節_元木基底部芯材の抗菌バリア

腐朽菌・虫が入ると抗菌バリアをつくり、紫色を帯びた層を形成。

和漢三才図彙に記載された「根は紫で葛の如し」それでは、実際に根堀してみると淡黄色。根系を伐りだして、自然乾燥していくと呈色反応が観られるかもしれません。

④ マユミ樹皮・内皮層_雑味のない均質な美肌材面

⑤樹芯から 内皮へ届く抗体発出 アウトリーチ

樹芯から発出している経路が鮮明_中間に増幅器官ができて、ステップ制御の仕組みが判明滲ました。

内皮はまっ白で厚く強靱。太い繊維束で木肌に密着し、寒冷気候をしのぎ、樹体を支え外部からのダメージを緩衝するクッション層になっています。この繊維層は紙料になります。

⑥ まっ白な内皮_天平時代の紙料「荼毘ダビ紙」「檀紙・真弓紙」

  

内皮を更に薄く剥ぎ、繊維をほぐして流水曝し数日程度_煮沸して柔らかくなれば、砕いてみます。手漉きまでは足りませんが、和紙のフィーリングがつかめそう。検索すると「正倉院文書」に「檀紙・真弓紙」の記事がありました。現存せず、原文未確認ですが、字体から年代推定が出来ます。

「マユミ紙」「荼毘ダビ紙」について

天平時代のマユミ手漉き紙「荼毘ダビ紙」は、滑らかな高級紙「檀紙」に似ていて耀きを感じさせるもので、聖武天皇筆といわれる経典「賢愚経」の断簡「大聖武 オオジョブ」_紙の主成分にマユミ内皮と微細樹脂分が分析された_という記事があります。繊維細胞から明らかになり、再現も可能です。

特殊製紙資料館 宍倉佐敏氏鑑定 (日本経済新聞「文化」眼光”紙中”に徹す 2002年5月22日)

 内皮剥がし:黄蘗キハダや櫟クヌ・コナラ・白樺・山桜・山ブドウ・槻ツキなどは、水を揚げ肥大成長する時季には樹皮を剥がすことができます。樹皮を剥ぎ工芸材料や生薬ケミカル成分を採取してきました。

この時期は養分が回り、濡れて肥大するのでズレを起こしてわずかに浮いて剥がれやすい。剥がしてから打撲し柔らかくし、繊維質を利用します。

花木は美しい色ので目立ち、山に自生する若木を庭木として持ち去られます。太くなると成木は伐り倒し、玉切り後に工芸材料に木取り。 50年生で元口約一尺_天然木は、めっきり少なくなりました。

樹皮下層・形成層は淡鶯色で辺材白太_芯央_枝入り節

材面の淡い桃色は、紅葉時季の実が熟す紅子色素が芯央枝元に蓄積したもの。人肌に近い印象です。

⑦紫外線から身を守るフラボノイドUV反応

  

紫外線や侵入する細菌・虫類から細胞組織をガードするために分泌する抗体成分は抗酸化作用フラボノイド(ポリへノール)成分ですが、樹種により様々。マユミは生材から自然乾燥するプロセスでは、材面が淡黄色に変わり、水分が抜けるとオフホワイトに移ります。

⑧ テッポウ虫穴治癒_埋め詰め治癒抗菌オペ

抗体バリアで囲み空隙を塞ぎ、手当てはまんべんなく。

⑨ 有用樹木_材質・刃物アタリ・密度比重・接着加工性、用途など

「マユミ」は、「具木名108種」室町時代の有用樹木に識別されていますが、木の道具器具作りでは 樫、桜、欅、栗、マユミ、ブナ、ホウの木、桂、栃、アサダ・樺、黄蘗、等が利用価値が高く、商材として扱われたものと地場使いが混じります。

樅・栂・松、杉檜の香木類、喬木類は言うまでも無く、「木材の工藝的利用調査報告書」明治38年では、152種が並びます。「まゆみ」項目に「寄せ木・象嵌材料」の記載があります。

■「マユミ」別格の材質:春夏_秋冬目の年輪差がほとんど無く、中秋早々に紅葉を落とし、春迄眠り続けます。環孔材や冬目が詰まり、肥大成長の年輪差がハッキリしたものは目粗になり野生を感じるものですが、対照的にやさしい、おだやかでモダーンな印象を強め好感度バツグン。

■材組織が緻密で粘りしなり_崩れないため、最上の漆塗篦に専門職が使います。先述の手杵は、清潔で衝撃反発が少なく握りやすい上、食べ物に混入しても目立たず無害。鎚・斧柄には、樫材より軽く、衝撃震動を吸収する器具材でした。

■乾燥材は白くプレーン・無臭_他のものに影響しない安定した崩れない材質で、粘り靱性が適度にあり、視触感は心地良い純朴で清潔、「いきもの」の親和性を感じさせる材質感。

■樹皮は、合歓皮ゴウガンヒという漢方医薬_駆虫・鎮静・鎮咳に用いられるが,成分は明らかにされていない。(S;原色日本薬用植物図鑑)

■切削性はバツグン。逆目はわずかで、綺麗な木肌が現れます。滑らかで絹肌のテクスチャー。衝撃震動吸収、熱遮断・保温性・手触りも良く、用具に適する「具木名」リストでは重要な部類です。

■密度比重:0.72 – 0,55    g/c㎥   (自然乾燥19 年_気乾平行含水率18% /木口割れ止め)堅さ・重量は、中庸の範囲。)

■接着性 堅木など異種材で濡れ不足・欠膠_剥離がおきます。応力のかかる接合面には注意。

抗菌バリアの成分は、ポリフェノール_タンニン系物質とみていますが、細菌や微生物・虫類を寄せ付けない。損傷ダメージを素速く抑え、回復する能力に注目しています。体の自然を回復する「キュア・メデイカルウッドワークス」にも何か役立ちそうです。

因みに、ノーブルな材質感が漂い、「寄り添い引き立て、邪魔しない」天性の資質は天晴れ。遅ればせながら、今から見習います。

ⓒ2021 , Kurayuki Abe

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木の総合学研究 2021   「マユミの抗菌・抗体バリア分泌_材質・樹性」「マユミ材の性質・用途」

 

 

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