「木」の皮膚科「木識・木学」メディカルウッド日本の自然色木の内科木香薬用樹木

殺菌成分・抗体を造りだし、傷口を塞ぎダメージを治癒する樹体内再生の動き|Active and inclusive curing with sterile barriers.| The fundamental differences of Needel-leaved tree and Broad-leaved tree.|広葉樹は抗菌バリアで抑止して被覆_針葉樹は脂分泌・マルチレイヤー樹皮で防衛|外からは見えないダイナミックな抗菌・治癒力_生命維持を強める樹性_針葉樹と広葉樹の根本的違いを明らかに Insight 木の内科−81

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

大雑把で不器用、鈍感なタイプ_激しく性急で攻撃的なヨタ_清楚で周到なキュア&ケア_素速いデフェンス殺菌出動_マルチレイヤー厳重抑止の慎重居士__動けない樹木のリアルな生命維持活動は静かに専守防衛。個有の木香を放散し、抗菌材色素もいろいる_賑やか木の国ジャパン。

■日本広葉樹の殺菌・抗菌・抗体反応と傷の治癒

L-① 鰍楓 カジカカエデ

バクテリア・虫の侵入には激しく動き、活発な樹勢_強い抗体を分泌する「ヨタ」

鈴なりの翼果をつけ、繁殖力がめざましい。

L-② まゆみ

年輪均質_雑味のない、緻密・清潔で上品な材質。厚い外皮・白い緩衝内皮をまとい、均質で淡黄色抗体  白木の代表格

L-③ 水木 ミズキ

芯央プレーン白色材質ですが、傷口には淡紅色の抗体色素が集まります。木口には被覆する樹液が吹き出し、抗体・材色成分も分泌、ヌルヌルした状態から約2ヶ月後にオレンジ色のゲル状から膜質になります。なめると多糖類のようですが、自然界の酵素のはたらきで色変し、乾燥するとバリパリ瘡蓋になりました。

L-④ オニグルミ

抗菌力、生命力は旺盛ですが樹皮_枝元・白太辺材は傷損傷が多い。実生繁殖力が高いナッツツリー

大雑把なイメージ 伐採後、しばらくして株根元から抗体色素・タンニン混じりの樹液が吹き出します。野生自然木は、栽培種と異なります。

L-⑤ 欅 ケヤキ

 

激しい抗菌・抗体の分泌、活発な治癒力   芯央と白太辺材中間ピンクバッファゾーンで侵入物を挟み打ち抑え込み。

腐朽菌を攻め押しのける、目をひんむく動きです。侵蝕された部分を埋め、損傷を素速く修復。

ケヤキの本性が現れ、誰も見たことが無い壮絶なイメージ。どこへでも根張り、割れない倒れない千年樹体のヨタ。

L-⑥ 山桑  ヤマクワ

 

傷口カバー、バクテリア・虫の侵入ピスフレックスには活発にアウトリーチ。侵入には素速く動きます。

染色・漢方医薬利用、シルク養蚕、健康食・フルーツウッドですが、キュア・メディカルウッドワークスにも有望です。

L-⑦ ヌルデ 白膠木

ウルシ科かぶれる材質は抗菌同等_虫・細菌への防備手薄、ウルシ次席_材質感や見てくれは粗雑なイメージです。お近づきには成りたくない。

腐敗菌抑制、附子タンニン生産、食材有用材、健康疫学_夏に御飯がくさらない等、衛生保健マテリアルの解明はこれから。

L-⑧ 櫟 クヌギ

 

抗菌・抗体分泌活性樹体_完璧な枝節元包合はメデイカルウッドの優等上席です。

輻射熱安定し良質炭・薪エネルギー源 血流循環系ベース漢方生薬「撲樕ボクソク」採取_里山のドングリ頭目_天蚕飼育・染料となる最有用樹

L-⑨ トネリコの葉カエデ

枝節元の周縁をバリアで封止_抗体色素は鮮明な濃紫赤色

材色は無地無色ですが、芯材割れ等が起きると抗菌防衛タンニン成分を分泌。 樹皮は薄く、虫喰い少なく材質は強靱。

L-⑩ ホウの木

枝節元包合・樹皮の再生力旺盛_黴ツキがない優れた抗菌緻密材質 瞬時に落葉するため冬目は一時停止のまま_薄均質樹体。

収蔵保存性能が高く、鞘材、医薬臨床利用も進む日本代表樹 緑系材色樹は世界でもすくなく、ソロ朴の花は谷間に匂う。

L-⑪ 白樺

 樹皮には強いウイルス・細菌耐性あり、内部は朽ちても表皮だけ腐らない。強い殺菌力あり天然パラフィンを含有。好く燃えます。

樹皮の被せ力は特に活発。伐採・表土荒地に入り環境を整える衛生維持先駆樹_産業マテリアルに多用されています。枝切り口には外皮が庇をのばし、剥がれた損傷部はヒビ割れ、黒く焼け爛れて再生しない。心臓病医療シュガー「キシリトール」原料_ウイルス・抗菌、抗がん剤応用研究も行われていました。

 広葉樹種には、キュア &カバー「C型」が多いのですが、傷やダメージを封じ込めると回復し肥大成長は続きます。

以下続く__アサダ キハダ 桂 ぶな・樫類 栃   樺類 水目 シウリ ウリハダ 柳 ヤマナラシ を予定

■針葉葉樹の殺菌・抗菌・防衛と傷の治癒

縦裂多層樹皮は、切り裂かれると外皮は塞がりにくく、傷口には脂を吹き出してカバーしますが、乱雑痛々しい。

肥大成長は阻害され、ダメージは広がりやすく綺麗に治りません。 「I型_縦重ね樹皮」と名付けます。細菌・虫の侵入には、繊維が切れにくく、マルチレイヤー縦重ねの丈夫な樹皮でガードもしっかり。

広葉樹種の傷口内部殺菌_封止、「横広がりの包み込み」のほうが肥大成長には遙かに有利です。

N-① 天然檜ヒノキ

樹皮は、縦裂け多層に重なり、横方向には連続して肥大しないので被さりにくい。

天然ヒノキの外皮は、ごついマルチレイヤーで覆われ(鎧直垂形)簡単には喰い入りはでいない。内皮は樹幹肌に密着してはがしにくい構造。樹皮には脂が多く、細菌や虫害には脂を吹き出して防衛。

 N-② 天然椹サワラ

檜に比べて木香は弱く、樹脂分・油気が少なく軟い材質

樹名のルーツを辿ると「弱檜 サワソヒ」サワ(弱々しく)葉はソ(粗スキマ多い)檜」という意味でした。S;「具木名」新撰類聚往来 中巻 丹峯和尚 作 慶安元年 1648  室町時代中期   (材質など詳細は別稿で記載)

N-③ カラマツ

人工植林木_樹皮は乱雑でガサボサ重ね 打撲や根止まり(土壌岩石阻害)で「脂吹き」あり。

材質は脂まみれてもろさあり、冬目ハード。天然カラマツとは別物。樹皮に微細な棘あり、熊さんは登らない。

N-④ スプルース

50年生の人工植林木_日本鹿角ツキ樹皮裂傷脂吹き 傷跡が戻らず痛々しい。こうなるとチップ材処分

以下 続く_ネズミサシ 姫子松 赤松 杉 樅 栂 樅 槇 トウヒ 銀杏 イチイ 榧の木

「長く生きた木は、それだけ強さや免疫力を持っている」

 人類より長い生命時間を過ごし、樹体内部に現れる色や変化は、生命維持活動そのものです。動けない樹木は、バイ菌やダメージを取り除くことができません。抗体や樹液を出して包み込み、身を守ります。

原生動物、細菌類、虫の侵入を阻止するバリアを造り、ジワジワ包合して回復しますが、樹勢が弱まると更に苔・キクイ虫が寄りつきます。粗忽半端な手当では深手を負い、やがて腐り朽ち果てる。細菌を抑え、微生物や動物を近づけない成分は樹種によりマチマチ。

特に木香・精油及び樹脂分泌物は、生理的・精神的な影響が強く、自然素材に備わる「体の自然をとりもどす効能」を重視しています。

地上に現れた人類は、長い間自然の樹木によりそって暮らしてきました。身体的な特長も遺伝子に書き込まれているゲノムが受け継がれ、樹木による影響や獲得した性質も刻まれていると思います。

木の内科の現場では、樹木から木材へと形が変わる過程の短時間に表れる現象を捉えています。樹液や材色は変化に富み、実際に樹体を切り裂き、削らないと見えません。実際に切り削るレアーサンプルには、生命の華やぎにはっとする凄い場面も多いのです。

ⓒ2021 , Kurayuki Abe

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木の総合学研究 2021  「樹皮の抗菌・治癒力・生命維持の処方」

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