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好感度・快適素材「トネリコ」のマテリアルトリートメント・長期自然乾燥|黴つき・虫喰い防止・割れ止め_木守り熟成|Material treatments and maturing of TONRIKO ASH | Origin of the tree name and medic history|ユニークな樹名の由来_自然薬微細成分・好感度材質の高度利用 insight 木の内科-84. 続々
白木強木の代表格ですが、樹皮内側から芯央_元口株根まで、内部構造や材質のリアルな知見は見当たりません。粘り強い木部の繊維組織や抗菌防衛・抗体の発出、目摘み軟質・目粗ハード材質の違いなど、細部の経時変化や特異な樹性を明らかにします。
コンテンツは前稿に続きます。
❻ マテリアルトリートメント、黴・虫除け_柿渋・生漆塗布・割れ止め塗り・鎹打ち_材表面保護_長期自然乾燥・寝かせ木守り
❼トネリコ(止祢利古乃木)樹名の由来について
❽ 自然薬理成分とキュア・メディカルウッドワークス_好感度素材の高度利用へ
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⑥ マテリアルトリートメント、黴・虫除け_柿渋・生漆塗布・割れ止め塗り、鎹打ち_材表面保護_長期自然乾燥・寝かせ木守り
木喰いピン虫は、製材後三年でとりつきました。穴一つあれば、直ぐに処分しないと全体が喰いアラされる厄介者。
黴つき_黒黴・青黴・赤黴
製材後に木口黴止め柿渋を塗布して、さらに割れ止め処置を行います。樹皮の落としは完全にとらないと 後で大変な事態に。人工乾燥KDは、強制高温処理と虫黴び殺しをかねています。
養分が多い春材肥大組織は導管が太く、多孔質で黴菌類が入ると、ひどく拡がります。
放置すると、虫・黴さんにも好かれること頻りです。
黴止め柿渋・生漆塗り
生漆は浸透が素速く、殺菌・殺虫力_材面の保護効果もずば抜けています。
木口からの色変で内部のダメージや組織変化が読みとれます。
割れ止め鎹打ち
鎹は鍛造品で厚板の材質収縮割れの程度をみて、肩に焼き入れしたもの(3寸以上:かじ寅製)を使います。軟鉄折り曲げでは締めつけ力はなく、傷をつけるだけ。
マテリアルトリートメント・長期自然乾燥15年目の実証点検
黴入・変色はなく、木喰い虫小端・芯央部数ヶ所トリミング、初期割れのみ鎹打ち
養生・木守り・熟成効果を確認。DNA解析用を残し、譲渡板シマス。20210911
⑦ トネリコ(止祢利子乃木)樹名の由来について_樹名考
「本草和名」 第十三巻 秦皮シンピ 和名「止祢利古乃木」
「新撰類聚往来」中巻「具木名」石檀ト子り
「和漢三才圖繪」巻第八十三 喬木類 秦皮シンピ
「トネリコ」は、樹木名の漢字体はなく、カナ表記のみでユニークなネーミングです。その語源を辿ると、もっとも古い医薬書「本草和訳」に「和名止祢利古乃岐」と並記されており、外来樹種名引きあてとは、別の名称でした。古代から「トネリコ」と呼ばれていたのではなく、「トネリ」という具体的な形象事物があったので樹名が後からつけられ、広く使われていたことが解ります。
律令時代、要人を警護世話する「舎人トネリ」が着ていた「白栲シロタエ」の衣(梶楮の繊維織物)が白木に近い色相で、堅く強靱な材質感は、強い権力イメージに結びつき、「トネリ子」の「子」は、属性やものを表す添え語で「舎人トネリの子=止祢利古乃岐トネリコノキ」と呼ばれたという解釈ができます。万葉「白栲の衣干したり、天の香具山」は、舎人宿舎に洗濯物が出ている情景を詠んだもの。
最古の医薬書「本草和名」第十三巻(平安時代)では、「秦皮」に「石檀」を和名別名に記載し、「止祢利古乃岐」トネリコノキと記載しています。律令時代に貴人を警護・世話をした「舎人トネリ」が着ていた「白栲シロタエ」は「楮コウゾ」の繊維織物で白いので、木肌が同じように白い樹名を言い表したと考えます。警護棒で人々を打ちつける様子を意味しているのかもしれません。強い材質にイメージは、威張る舎人の立ち居振る舞いにも重なります。中国伝来の医薬書「本草」にある類似樹種の「石檀」_「秦皮シンピ」をあてていますが、同じように白木マユミ「檀」は、室町時代の「具木名」では、木偏に面+白の字体でした。
トネリコは、白く堅い強靱な材質なので割裂しにくく、当時は鋸製材・切り削りが困難でしたから、木材利用ではなく、医薬用樹皮の「秦皮シンピ・苦樹」に並記して和名トネリコが附記されているわけです。白栲の衣は、紙料となる梶・楮の内皮を曝して繊維を撚糸にした織り物ですから、黴・虫がつきにくい快適素材だったハズです。また、まっ白で目立ち、警護職とすぐわかるので存在感が強い制服イメージのルーツかもしれません。高貴な煌めくシルクと安いプレーンな白栲の対比もコントラストが強く、当時のファッション材料が樹木由来であることがわかります。
TONERIKO語感も弾み今風で軽快な雰囲気もあり、このピッタリネーミングは、暮らしの中で使われて広まり、時代を越えて伝承されていきます。平安時代の星座「昴 スバル」と同じように、国風文化が高揚した同時代性を感じています。
⑧ 自然薬理成分とキュア・メディカルウッドワークス_高感度素材の高度利用へ
「和漢薬用植物」では、トネリコ木犀モクセイ科「秦皮シン」として消炎性収斂薬_解熱効果_下痢止め止瀉薬、眼科洗浄薬の処方が記録されています。エスクレチン Aesculetin 微量含有など成分を所載。
白木は、辺材白太_芯央部の材色差がハッキリしていないので、細菌類・虫の防衛や抗体、損傷部の治癒の動きは経年変化で少し識別できる程度。十年ほどのストックに現れてくる内部変化を観ると、株下根元から抗体が発出し、枝元・節結合組織へ送られ、損傷ダメージ部分を抗体バリアで包囲します。更に塞ぎ埋め込み、生命維持の変化は静かに緩やかに起きダイナミックです。
原木から製材の間に現れる抗体発出と治癒、熟成のための長期自然乾燥による「寝かせ」熟成を確認できました。繊維組織・導管が太く黴つきが速いので、冬の眠りまで伐期は尊守します。保温性は高く、材質の手触り・テクスチャーは最良です。木香はなく、無臭・白木地主体すが、プレーンと芯央材色が現れるものがあります。
このトネリコ抗菌性成分は,主にタンニン化合物とみられますが、生材から乾燥したものが変化してくるプロセスを明らかにするには、大がかりな分析機器が必要なので順次辿りつきます。樹皮は古代から医薬材料とされ、根元分泌組織、外皮と枝元入節に凝集している生命維持物質の成分は、人体や環境にも有効な作用をもつとすれば、新しいキュア・メデイカルウッドワークへの手がかりもつかめます。菌類・動物を寄せ付けない微細成分は、材部にも生成・浸透_殘存していると視ているのです。木喰い虫は匂いで飛来しますが、人の嗅覚では無臭です。触感だけでなく、微細な放散成分は人体にも影響すると考えます。
松葉杖などのリハビリ医療具の用途は人工合成材に変わり、人体や環境に負荷のないものが再生循環系から再評価されてきました。既に主要金属類・熱帯林は失われ、有限埋蔵資源は、枯渇し持続できなくなります。
一方、樹皮層ー芯央部_元口株根までリアルな内部構造・材質に関する知見は少なく、極めて特長的な高い弾性力(靱性)を発揮する細胞組織はどうなっているのか? 未知の構造的領域です。
抗菌防衛・抗体成分の発出や目摘みソフト_目粗ハード材質の違いなど細胞レベルのリアルな樹性を順次明らかにします。サンプル材が多くボリュームがありましたので、細部まで確かな知見を得ることができました。日本産材のオリジン_清潔な材質感は、得がたいものです。トネリコの材質は、清潔で粘り靱性が強く、割れ裂け_挫屈しません。医療・運動具に最適ですし、生理感覚にも合い、有用樹種「快適素材」として扱いたいと思います。研究サンプルは十分ストックしています。
※ 本稿画像に入れた「止祢利子乃木」は、「具木名」石檀「と子り」のフリカナに注目し、樹名感を表しています。 「止祢利古乃岐」かな文字では、中世以降の「ト子り」「トネリコ」が呼びおこされないので字体を現代風にしました。
古書の所載では、カナ音読み「止祢利古乃岐」が和名ルーツです。「トネリコ」の樹名は、国字・漢字体がないので、反復しますが、スバル並のユニークな時代を超える的確なネーミングですね。
ⓒ2021 , Kurayuki Abe
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木の総合学研究2021 「トネリコ」のマテリアルトリートメント・自然乾燥寝かせ_木守りシーズニング」「医薬治療材メディック利用」