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日本一の水目 (赤)432 樹齢408年+長期自然乾燥24年_マテリアルトリートメント 保護・養生・熟成・富貴化の実証|Proven the maturing and enrichment of the best MIZUME wood with Kaki tannin and crack prevention in 24yrs. long natural seasoning _ Value shifting an esthetic qualities to healthy and sensitive materials|銘木・杢板の美質から、キュア・好感度快適素材へ insight 木の内科-85
長い時空を超えてきた天然樹木は、ずば抜けたDNA素質の自然史記念物遺産であり、その免疫・抗体は強く、生命維持力は際立ちます。1588(天正 18年)室町時代から432年、観たことの無いリアルな内部を視るとともに、既往のカテゴリーを超えて自然乾燥ソリッド材のもつ抗菌性や微細成分の放散、室内気相調整作用など、新しい素材価値を見出していきます。
養生自然乾燥_木守り24年目の熟成・富貴化の検証削りをしました。反り狂いもなく痩せはわずか_新鮮なままでレア。生命感溢れる上品な芯央赤味木理が露わです。(保護塗膜 約0.5mm表面削り)432年目の中杢木理は、かけがえのない自然生存資源遺産を伝え、希有な知見とともに次世代への重要なマテリアルコネクションとなるでしょう。
コンテンツ
❶ 長期自然乾燥_保護・養生・熟成・富貴化の実証
❷ 原木の来歴_製材・木口割り_全てのオペレーション・トレーサビリティー記録
❸ 熟成・富貴化の見方_評価項目について
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①長期自然乾燥_保護・養生・熟成・富貴化の実証
桟木は、タンニンを多く含む栗材を使用。柿渋は天然の高分子化合物で二年発酵古渋を使いますが、桟木アタリ周縁も十分に塗っておきます。柿渋は、冷暗所では反応は少し遅く、紫外線から身を守るフラボノイド反応がおきると同時に、自然発酵で次第にゲル化します。タンニン成分は、フラボノイド化合物であり、樹木の内部に生成分泌されて紫外線から守る作用があり、更に外側から柿渋 Kaiki tannin コートすることになりますから、材面の保護に効果を発揮。柿渋表面塗布しみこみは、0.2mm程度ですから、材質を損なうことはありません。天日乾燥3年目ぐらいから、虫さん達は寄りつきます。
古くは天平飛鳥_江戸時代から敗戦前まで、木材加工の現場では、いわゆる「養生・寝かせる」ことで「木味」が良くなるように扱いました。生材は、乾燥収縮変形するので水分を抜くのです。長いシーズニングの間には、定期的に黴・虫つきをチェックして割れ止めや空気曝し、手入れ移動をする「木守り」をします。始めは、屋外自然乾燥から経年変化をみて屋内立て掛けストックへ移行し、黴や虫喰い・変色を随時点検します。こうして、ゆっくり水分が抜けて材質そのものが安定し,色素や樹脂の高分子化や酵素のはたらきで熟成され_上質貴富化が起きるのです。
※作業協力:工房ブレス 須藤崇文 / 良太木工舎 岩渕良太
マテリアルトリートメント養生_長期自然乾燥24年目の検証削り
反り捩れ、狂いはなく、斜方バイヤス_アテ部分の痩せ締まりがわずかにありました。
② 原木の履歴_製材・木口割り_全てのオペレーション・トレーサビリティー記録
■黴つき・抗菌性の違い_辺材白太・芯央赤身_木口と内部材質斷面のリアル幸運
この水目432大木は、木材業者が伐採後にボンド(酢酸ビ樹脂エマルジョン)を木口割れ止めに塗布し、一年間ストックしていました。雨天の製材で濡れて白太辺材は黒黴が拡がり、芯央赤身はボンドのまま_抗菌性が強いことがわかります。木口だけでは内部材質を読めない意外な展開でした。木口割りをするにも、いわゆる「木口を舐める」綺麗にしないと、内部はひどいのではないかとビビリます。
いわゆる「ボンド」には、増量剤に小麦粉を入れますので、黴さんには居心地よく腐蝕菌は拡がります。身近にある接着剤ボンドは、割れ止めには手軽ですが、耳付き厚板の自然乾燥には不向きです。耳付きのまま自然乾燥するには、当初立てかけ水分落とし_柿渋抗菌_生漆滅菌処置してから割れ止め_数年間桟木水平桟木積み・寝かせをし、さらに林場で立木の姿勢にしてシーズニングします。柿渋液中にも糖類が残留しており、完全に乾燥させないと黴さんを呼びます。
桟木は、タンニンを多く含む栗材を使用。柿渋は天然の高分子化合物で二年発酵古渋を使いますが、桟木アタリ周縁も十分に塗っておきます。柿渋は、冷暗所では反応は少し遅く、酵素により自然発酵で高分子化して次第にゲル状になります。
タンニン成分は、フラボノイド化合物であり、樹木の内部に生成分泌されて紫外線から守る作用があり、更に外側から柿渋 Kaiki tannin コートすることになりますから、材面の保護に効果を発揮。柿渋表面塗布しみこみは、0.2mm程度ですから、材質を損なうことはありません。天日乾燥3年目ぐらいから、虫さん達は寄りつきます。上質の柿渋は、抗菌・抗酸化作用に加えて表面保護・養生効果があるのです。
伴木に驚く新月伐採講演に来日された Erwin Thoma氏 2003年9月 南会津舘岩村オグラ木材訪問 欧州では有り得ない木理だそうです。
「水目ミズメ」は、「水面ミズモ」のキラキラ反射を形容した木理の呼称です。
この「水目巨木」は、根元からの枝下まで全形伐採製材でした。製材養生や他の現場作業_玉切りまで、トレーサビリティーファイルに記録。 銘木ハンターは、産出地をひた隠します。長野県?らしいのですが、いずれDNA解析で明らかになります。
「水目408 厚盤」解説と詳細記録ファイルを編集データ化し、マテリアルコネクション頒布時に添付します。
③熟成・富貴化の見方_評価項目について
・色艶がよくなり、材質が安定する_乾燥収縮による緻密目詰み
トリートメントにより、劣化しない新鮮な材色が現れます
・木理・色調が見栄えする_上質な材質感が鮮明になりメリハリがつく
・油滲み・樹脂の凝集や芳香成分が発出することが多い
・気品や落ち着きがでて_好感度を増幅する
・材質の暴れ・狂いが治まり_刃物アタリがよくなる
伐採された後にも、樹体内では目に見えない生命維持活動が続き、不朽・耐性を獲得し木理・材質に影響を残します。地上の美質は、消滅の一途ですが、人間感覚で美しく好感されるのは、自然が造り出すアートであり、物理学では 「1/F ゆらぎ」フラクタル現象と説明しています。感性工学という分野では、木理の美的解析や視触感は説明できるのでしょうか?
材質が落ち着き、木味・刃物アタリが良くなる自然乾燥材
人工乾燥は、製材して速く販売するため強制高熱乾燥するものですが、焦げた状態になり、内部歪みが残ります。自然乾燥材は、削るとシコシコ_叩くとコンコン鈍い反響ですが、人乾材はカリカリ_カンカン、甲高い抜ける音がします。無理やり水分を抜き、生きているオーガニック成分をころすKD (Killing Dry)すると可使時間が短縮でき、狂いも少なく動かなくなるのです。微細成分の放散はおしまい。
生きているオーガニック素材をそのまま使うのがベストです。体の自然な状態を損ねず、生き物同士の親和性が持続すると考えてきました。
ベスト品位のファーストチョイス_原木製材立ち合い時の難しい実際の購入判断
サンプル材は、欠点・ダメージ治癒抗菌、木理の経時変化など様々な生命活動を記録したものが理想的です。商品価値の高い銘木・杢板を挽き出したい業者は上質材を狙い、研究者は、変化に富み生命力が感じられ、リアルな生命組織の動きとストーリー性を尊びます。
挽き材現物を観ても,事後処置や乾燥リスクが大きく、財布と相談して買い付けるのは不安で、バクチに近いのです。誰かが買えば、欲目もぱっちり。
小職は、この巨木製材見学会解説を担当したのですが、購入する予定はなく、集まった買手は価格にビビリ、誰も動かず、プロも品質を読めません。これは歴史的な価値も高いと判断、研究資料にすることに板しました。はたして、432 年の「日本の木」の代表_別格です。
そこで、参加メンバーに許諾をとり、小職がファーストチョイス最高品位の四枚を購入。皆さんも続いて購入され、ほとんど売却済みになりました。同行した知人も稀少な銘板と解ると、後から買い足して、「落とし端材」まで完売となります。商材の利潤もタップリ、銘材の迫力は感動的で見えない力が働くようです。
長い時間を経てきたものへの畏敬_自然のものに触れ、引き寄せたいという生き物の感覚は、本能根源からくるものでしょう。自然史記念物・遺産 Heritageであり。快適・好感度素材として新しい評価が加わります。
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ⓒ2021 , Kurayuki Abe
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