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「バカ・バカ棒」の用途と語源「BAKA」Useful and Convenient Techniques in Woodworking Field, handed down from master to apprentice with unforgettable memory.|名古屋の中抜き鉋「バカ」、東京の「バカ・バカ棒」親方筋をひく者が現場技術を相伝で受け継いでいきます。|一生忘れないプロの身体記憶 ハンドツールジャパン- 47・続

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

実際の現場仕事で覚える基本的な技術は、経験すると一生忘れない身体記憶になります。 身近にある角棒に寸法をうつし、手早く作業を進捗_仕事に応じた動きやコツを修得して、プロの寸法感覚を養いました。

この「バカ・バカ棒」の使い方を知っているのは、親方について修業した人ですが、大工造作・建具・家具職が現場で覚える重要な基本技能の一つです。

 

「バカ・バカ棒」の用途と語源

 いわゆる直定規などで計測するのではなく、適宜、角棒を作り、これに枘の位置などの固有のポジションをマーキングし、これを加工材に写していくというもの。あるいは現場作業などで、壁面や柱に必要とする位置をマーキングする角棒。現代でも、家具職は、2本の細い角棒で、主に箱物の内寸や「かね」矩カネ手(直角)を確認するために対角の長さを写すのに使います。

建具職は、建て込み・吊り込み_丁番切り込み(名古屋)に使い、「尺」「割り付け棒」ともいいます。測り、印し付けることをを「もりつける」といいます。「目盛り」の意味ですが、位置などの符丁を書く塲合には少し幅広の平角を使いました。

 この語源は、寸法を「測る」ハカル棒では言いにくいので → バカ棒になり、「バカ」に短縮されて、作業現場で使われてきました。

狭い所でも使えるし、身近にある手頃な挽き材で簡単に作れて、費用もかかりません。レーザー・スケール不要、素速く仕事が進捗します。二文字で、仕事内容までイメージでき、破裂音でぱっと判り易い。

指導されると現場感覚は研ぎ澄まされず、微妙なコツの修得は遠ざかります。怒られたり、強烈なイメージ性を帯びた、どぎつい言葉が飛び交いますが、ミスを防ぎ、危ないことをしでかすのを回避させてきました。

 

「寸法のうつし」や矩塲カネバをみる際には、ミニ締め端金があると便利です。(菱HIS 刻印 ストック有り)

親方は、手元・見習いに「バカ」もってこいと言いますが、測るモノで「馬鹿」ではありませぬ。寸法を測り墨付けや部材を納める仕事に要るのですが、いきなり、なんの事か判らないので面くらい_初な新人は俺のことかとビビルのでした。

普段「バカ」と言われていると落ち込みますが、やがて、ミスを防ぎ、危ないことをしでかすのを回避させ、要領・手順を教えることに気がつきます。指導ではなく、傍で見ている内に覚えて飲み込みます。

名古屋では、寸法をうつす「バカ」と面取り鉋の顎の「バカ」の二つがあります。

■「バカ・バカ棒」が使われている地域について

東京から関西圏_名古屋_静岡_会津地方でも使われており、全国各地で同じかも知れません。各地での伝承をご教示いただけると有り難いのですが、「バカ」の全世界技能調査はこれから。

※用語調べ協力:「バカ棒」の経験・使い手:工房悠 杉山裕次郎_ロクタル木工房 服部篤_BWT 日野 健_良太木工舎 岩渕良太

 *最新の技法に関するコメント:

「バカ棒、竿にテープメジャーを張り付けたタイプです。建築での採寸用バカ棒、ですが、私はアメリカ木工用品から、2本の竿の固定部 品を取り寄せ、竿にはそれぞれテープメジャーを張り付け、内寸計測を容易にするものを作っていまっせ。」工房悠杉山裕次郎 2022/04/18

各位、ご教示を感謝します。

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木の総合学研究 2022  「バカ・バカ棒の使い方と語源」「寸法の測り写し_割り付け棒」

 

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