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ナチュラルクラフト・デザイン丹野則雄(続) 初期 ~ 中期作品展・2014 木のメカクラフト創作ハードウエアーの軌跡 TANNO
「作品を手にすると作者が見える」それがオリジナルのもつ独創性です。細部の作り込みが意匠を決めるユニークな作品たち。一連の開閉ロック機構は、類例がなく独自のスタイルですので、TANNO Hinge , Catch & Lockと固有のネーミングをつけました。
既製ハードウエアーを選んで、後付け・購入しない。はじめからデザインと同時に自作することから
全て木でつくる丹野作品は、ハードウエアーからのデザインコンセプト、制作手法が北欧・オセアニアなどから注目されています。Fine Woodworking の世界では、より大きなものや貴重な銘木材をふんだんに使った奇抜な作品が多くみられた傾向は、大きく変わりつつあります。品質や精度、Productivityを重視するともに、洗練されたスキルが評価されてきました。ハードウエアーは、後付けではなく細部・作品全体で創作する逆の発想が認知されてきました。
1981 手仕事・はじまりの試作メカから
76W x 107H x 13T mm 51g – 36g 6,000- ~ 7,500- (現在は、CH-4をメインに制作)
展示説明パネル:AQ制作
“playON ” Shop & Gallery by Kurt Naef 1989 , Reinfelden, Swiss
当初の展示作品は、AQストックを提供。(棚の品数が少ない)精密な木工作品は、地元スイス人には小さなサイズの割りに価格が高いと感じる評価でした。Playon Shopの商品は、みな量産品です。手仕事の巧みさ、「品質や遊びこころ」よりボリューム・コストパホーマンスが大事で、この小さな小箱に何をいれるか?イメージ出来ないようでした。
サインで済む文化圏では、判子入れは解りません。ヒンジやキャッチは、金属のほうが丈夫という先入観もあり、なぜ木製なのかといういぶかしげな表情をされる人も。木でやり遂げる面白さ・細工作品は日本文化なのです。木工職人を経験したKurt Naefは、精緻な手仕事を高く評価し一年ほど展示販売しました。AQ 890509
最初のスライドロック機構。精密ルータ穴加工でシンプルな締まり閂構造を開発、蓋裏のボディに分結ヒンジ軸をつけた独自のデザイン。以後、このオリジナルメカが作品の基調となり、様々なアイテムの創作に発展。
S サイズ 110W x 80D x 75H mm 150g 6,800- 鬼ぐるみ・ウォルナット、ヒンジ部:花梨、ロック部:ローズウッド
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ダブルサイズ 168W x 110D x 75 H mm 280g 11,000- ウォルナット・アミノアルキッド樹脂塗装、ワックス拭き仕上げ
楊枝ホルダー 1984
インカプセル 1985
木片 1985-86
一見、木のブロックに見える小箱。蓋がついているようには見えません。内蔵したリフトアップヒンジで箱体と蓋が密着した構造。ヒンジは、外からは見えない隠し蝶番。精度と開閉機構の完成度が高く、「箱」に見えない意外性をもくろんだ作品。
内部を堀込み、内箱をいれて小さな貴重品をいれる仕掛け。はじめのカット材料の重さになるようにウエイトを入れ、木片のイメージのままを装う。木の隠しアクションヒンジは類事例がありません。持ち上げ蓋の上下動作+埋め込み蝶番の開閉二段階メカです。
CB-3 貴重品箱 1989
万年筆ケース 1999
フロッピーディスクケース 1999
ペンケース75 1999
薬ケース 2000
フルート(ピッコロ)ケース 2000
六角茶筒 HexagonalTea Box 2000 -2014
緑茶100g入り Green tea 100g
外箱:87 x 96.5 x 100 H mm 256g 欅 Zelkova tree Wax fininish、 内箱 Inner box :メープル Maple
ピンナップ壁付けBOX 2003
プッシュピン留めスライドボード付き(内部棚スライド調節可)
それぞれの作品は貴重な銘木の端材を巧みに活用し、遊び心や意外性で味付けしたユニークなデザインを精密な加工技術で実現しています。自然素材の魅力を活かしたクラフトデザインを創作ハードウエアーの進化も同時にみると、連続した作業の中でアイデアやヒントが湧き起こり、形や構造の質的な変化に結びついたことが明らかです。
また、当時は銘木良材に恵まれていたことも作品に貴重な材料を使えた一因です。クラフトデザインから制作までをこなす能力は、はじめからあるのではなく、体を動かす連続した時間が独創へと導いてくれます。
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