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『木工文化のはじまり~先史時代の木工文化~』埋もれし残欠も耀いてみえる古代基層技術_「木」と考古・考現学|The beginning of premitive and cultivated woodworks summit in early aged Japan. 木の大学講座 講義記録 第9期 1994 「日本木工院道標−2」
「木工文化のはじまり」_木の大学講座 9期 1994 講義受講記録は、自然の暮らし方や原始・古代のモノ造りが教える再生循環する技術の在り方も感じ取り、野生の輝きや自然素材のもつ本質を学ぶ時間でした。
講座テーマ:
生命維持・活動資源としての森林環境や生活文化・民族の基層ににある「木」と人間の本源的なつながり、及び、その諸相と多様性を考究します。
カテゴリー:
木と森林学、木と環境・気象学、木と考古学、木と環境・資源学、木と民俗地理
人類が木を離れて火を使いだし、石器による打砕断裁を覚え、木を割って木理をみたのは凡そ一万年前_木を伐り削る、樹皮を剥がして繊維を造り、漆を採取し膠材・塗料とする工夫をはじめます。文明を起こすテクノロジーの基本は、切り叩き動かす「枝棒木工」からはじまりました。食料を集める器物、獲物を調理する道具、安住のための囲い建屋が残欠から再現され、発展過程が明らかになります。
①「木工文化のはじまり」講義時間
講師:工楽善通 奈良国立文化財研究所 飛鳥資料館
第9期 講座科目・日程 1/4
講義内容が多岐にわたり、画像をもとに解説や論考が進み、細部を解説し全容をまとめるには膨大ですので、配布された主要な史料の概要を掲載しました。(受講ノート・録音は別途ファイル予定)
②「木工文化のはじまり」講義内容
1.刳物 容器、装身具、独木船
2.挽物 木工ロクロの出現
3.指物 (箱物)棺 机 倭掛
4.曲物
5.巻胎
6.籃胎ランタイ
7.結物
8.狩猟具 弓・矢
9.編物(カゴ)容器、箕ミノと筌セン
・弓材:イチイ、カヤ、イヌガヤ、イヌマキ、ケヤキ、マユミ、ヤマグワ、ヤナギ
③ 漆工:出土品を中心にみた漆使用の器種と変遷
④ 主な発掘記録・解説史料
「考古」から「考現」へ
原始・古代技術のルーツ、発展・伝播をたどれる研究成果原典となります。手仕事のはじまりでは、自然の素材はふんだんあり、木理は美しく香気がたち、造器物は上テク技能でした。
楽しい手仕事の時間は賑やかに過ぎ、上手な造り手が次第に専門職化して技能の発展伝播が拡がりました。交流・技術移転も速いのです。金銭が無い時代は、蓄えもわずかですから「キホン主義集落」、自然の恵を受ける暮らし方が続きます。
発掘残欠を復元すると判る手順や刃物痕・手道具、材料取りの巧みさ、技法の工夫にも目を見張るものが多々あります。刳物・轆轤は、現在でもほぼ同じ_刃物・楔類は、原形が残りません。
⑤ 発掘記録史料「木器集成図録」奈良国立文化財研究所
現代でも使いたいような良質無垢材の細工削りだしは、新鮮な印象をうけます。丁寧な造りやデザインセンスも斬新_1500年以上も経ちますが、たいして進歩していません。往時は精鋭が手がけ、格好いい実用の偉力もありました。
残欠さえ立派でゴミには出来ない_「売り物」なんかにしないで楽しんでいよう気風が溢れています。
■ 木器集成図録「近畿古代篇」 図版 PL.73枚 (カード)/ 解説 p.223 帙入り 258 x 264 x 18mm
奈良国立文化財研究所 1984 史料27冊
■ 木器集成図録「近畿原始篇」 図版PL. 210 枚(カード) / 解説 p.410 帙入り 262 x 365 x 53mm
奈良良国立文化財研究所 1993 平成5年 史料36冊
関連図書 :季刊「考古学」特集 先史時代の木工文化「木工文化のはじまり」
ARCHAEOLOGY Quartely No.47
ISBN 4 639 01223-3bC0321 雄山閣出版
木の大学講座 第9期 1994 受講生
今日ならば研究成果も多く、実際に復元モデルまで考究し、迫力のあるプレゼンテーションができますが、改新講座には準備がまだたりません。考古学研究資料を見聞する木工制作家や凄腕職人はまだ見掛けないので気がつかないのでしょう。
長い時間と経て到達した素晴らしい歴史が濃厚でしたが、大事な物がないがしろにされ、いつしか置き忘れて失い、振り返りません。
子供が自然に身につけてきた身体記憶動作や感性は育まれず、生活基本も教わる塲がないのです。近所の材木屋、大工・木工所も消えてしまったし、空き地がマンション管理・駐車場になります。工事現場は安全管理で完全封鎖され、面白い身近な職人作業も下校時に覗くことも出来ません。
長期自然乾燥材置き場より、自動車パーキングが儲かると、子供を追い出して公園緑地・遊び場の樹木を伐採し商業ビルを被せてしまう_小さき者を粗末にして戯言も省みず、破滅的再開発が止まりません。
コンクリ・アスファルトジャングルでは、雨水は地面にしみこず溢れ、洪水頻発_山里では、人工植林木の根張りもひ弱で「への木」と呼ばれ、谷土砂崩壊をよびます。亜高山帯では、夜間も谷間が冷えないので眠り休めません。
地球上が工業製品ゴミだらけですから、造り出した人は片付けなさいよ_無限責任。微生物さんも分解できず、土に帰れない化学物質があふれ、人体にも蓄積してきていますが、麻痺するまで深刻さにはまるで鈍感なのです。
真の持続的成長は、再生循環森林木の成長肥大にあります。自然林更新の遷移の木の時間が歪められ、物質循環と樹勢を失い、次第に地下埋蔵資源も無くなります。
以来、人為数千年、地球上では、産業革命以来、更に無理をして森林枯れ死、気象異変・戦乱が起こり、手立てがなく収まりません。微かな再生への手立てと生命維持の摂理を見出すことになりました。
抗菌力、抗体の分泌蓄積や木香微細放散による人体への望ましい影響が明らかになり、好感度快適素材の見えなかった性質に活路を見出します。疾病予防を測る醫構、キュアー・メデイカルウッドワークスへ.
卓越木工人・先達からのコメント:
「木の総合学」を標榜し、また提唱される阿部さんならではの多彩な領域に及ぶ調査研究と、その道の専門家を招いての講座ですね。
またそれが「木のジョイント」を基軸とすることで、アカデミズに閉ざされず、人の実学的なものとして集約されているところが特徴的ですばらしいと思います。
添付資料、興味深いものがあります。1994年といえば、私は起業6年後で、グループ展などに出品を始めた頃ですね。
メチャクチャ忙しく、またメチャクチャ木工が楽しく、はっちゃけていた頃でしょうか。
資料の画像化ですが、カメラの接写では限界がありますので、やはり高精細のスキャナーが必須でしょうね。
(普及型の複合機プリンターでも 1,200dpi あたりまで読み取れます)
奈良良国立文化財研究所 工楽善通 という方、
今は偉くなられ、水田の考古学を研究対象にされておられるご様子。
杉山@工房 悠 拝
適時、励ましを有り難うございます。現場・オリジナル・現物リアルが基本です。各出講教授の時間は、通常とは違う科外授業になり、新鮮で実直に響いてきました。2024/09/24 abe
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木の総合学研究 2024 「木工技術の革新・日本木工文化のはじまり」「原始・古代木工加工技術と生活造形品」