放置落葉松人工植林の氷雨・台風倒木頻発 電力通信ケーブル切断の人災が続く電断の日々
立春近く、気温逆転現象で10年に一度程度の「氷雨 Icy rain 」が樹枝に結氷し折裂・倒木が発生、災害出動。近年は、その間隔が短くなり、枝葉に凍り付いたガラスの森になります。
上空は低気圧雨、地表は凍結状態では枝葉に雪と氷のダブル付着。太陽が上がるとガラスの輝きは、バラガシャガラと落下、直撃。バリバリバァーンと幹炸裂。冷凍庫の数日間です。氷雨がとりついた樹枝は、約3倍の重さになります。
週末、奥谷の秘湯旅館の客が閉じ込められたニュースが流れ、警察・消防レスキュー・消防団が集結。崖上の狭い道路のもろい地盤「発作マグマ」の塲所です。氷雨は、諏訪圏内の独特の現象で「諏訪湖四里の欅には手を出すな」と言われる。幹が不整年輪・内部応力を抱え込み、目回り(剥離)材となり、薪チップや箸以外に使い物にはなりません。
長野県林務部及び信州大学林学科が政策・教科で力を入れた落葉松人工植林から100年、戦後の伊勢湾台風で落葉松丸太が復興ニーズで大儲けしてから、全山落葉松植林ドライブ。この地域では、急斜面以外は植え尽くし、間伐しないまま40 – 50年経過、モヤシ林と化しており、根むくり折れ裂けが頻発する状態です。植木さん、植えさせた人がモヤシ林を始末しないとイケマセン。
①日目
②日目
繰り返す放置林災害 行方不明地主による加害責任不問のまま、枝チョイ切り落とし背業
20年前は、電線は山中稜線を渡していましたが、管理しやすいように道路脇に電柱移設。その後、電話線・光ケーブルが増え樹枝に近接して、枝切りは架線の回りだけチョイ落とし。例年、積雪・強風で接触して、また来年の仕事継続工事。従って、雷・台風・大雪の度にトラブルが続きます。
画像の斜面は、毎年台風で倒木停電が発生する場所。市役所維持課、電力会社保線課,電話会社では「行方不明で個人財産だから勝手に切れない。」倒れる度に後処理、災害出動しています。ドイツの森林官なら山林ごと没収です。明治期にドイツ林学を導入した時に手本とする所を間違え、150年あやふやなお座なり制度のまま。空松、オソマツ。
外来土着樹ニセアカシアの氷雨耐性は低い
今回、河畔林や急斜面のニセアカシア(北米原産)がかなり倒れ、幹からの折れ曲がり、割裂がほとんどです。
生命繁殖力がつよく、植生に良くない影響を与え侵入増殖が拡がり自然環境問題がおきていますが、木質が硬く、繊維の粘りが強いとされていたものが、雪氷雨の重みには靱性がないようです。根張りが浅く倒れ易い。大木になると風倒し易いなど、退治除去に手こずる厄介者外来樹ですが、多雪地では弱点がありますので自然界で抑制されることが分かりました。
蜜源、薪、緑化資木、治山・砂防用として明治以降日本に入ってきたニセアカシアも,沢筋・道路端で倒れ、20 – 30年で支障木となります。立ち往生、衝突で車両がつぶされる恐れもあり、山間部の通行にはチェンソー・鳶・ヘルを積んでいます。
因みに、奥会津のベテラン木樵の友人の話しでは「會津では、氷雨は降らない」と。
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木の総合学研究 2016 – 2019 「氷雨倒木」「からまつ放置未間伐林災害」「目回りと氷雨凍結」