「木」と教育「木」と産業工芸

クラフツ志料 -3 「木通蔓細工論」小學校手工科教本原著 1911 工芸松本メモリー

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

明治中期から後期にかけて、この地方では木通工芸が盛んになり、海外輸出するほどの工芸産業振興期を迎えた。製作法は、弘化二年1845年の發明から秘傳とされた手仕事を明治37年に販路拡張のため高盛社を創設して講習開始、普及を図り産業振興に繋げた半世紀の伝承。明治の産業萌芽はすでに幕末から始まり、実作技能を指導する教師の著作に実際の制作ノウハウが詰まった教場現場資料を覧る。

至る所の山林原野に繁生している素材を農閑期に採取、農家副業として細工物を推奨。高価な道具機材は要らず、小學生(旧制)の手工科に最も適当という。現在の学卒に比べ、手先が遙かに器用でした。長野では、大正時代から自然林のほとんどを檜・杉や落葉松植林するために広葉樹森林を皆伐。木通や蔓梅もどき・山葡萄がすっかり消え、自然工芸材料がありません。急峻な沢筋に僅かに散見。この「木通蔓細工論」原著は、會津・山形・青森でもきっと役立ちます。

「木通蔓細工論」明治43年11月 長野県立伊那甲種農業學校 實習教師 岡本芳太郎著

p.53   158 x 222 mm      上伊那郡伊那町青木丁 髙木印刷所  高遠図書館印

木通蔓実習中覚え書き書として、素材・製法・意匠など実際の技能を解説、詳細に記述。現場で作業をしながら教授するIP Independent Pro. 実業実作タイプの先輩講師格です。木通蔓細工の基本技能教本として秀逸。今では、知らない品目が多い。

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目次 p.3 – p.13

・木通蔓細工發明
・木通蔓種類
・採取方及繁殖方法
・木通蔓採取時期
・脱皮法
・貯蔵法
・木通蔓漂白及染色法
・又法

・染色法

・配合色

・染料貯蔵法

・晒粉貯蔵法

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・蔓細工用器具

・編方

・結方
・留方

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木通つる細工製作法 p.1 – p.40 三十六種

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・びく篭製作法
・瓢箪型花筒製作法
・石鹸篭製作法
・果物入(一名蜜柑篭)製方

・陸持篭製方

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・梅形茶敷製方
・淡路決茶敷製方
・菓子盆製方
・輪違果物入製方
・角果物入製方
・角鞄製方

・角石鹸入製方

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・二重編盆栽篭製方
・八本ブチ製方
・亀形花筒製方
・文字編石鹸入製方
・一楽茶敷及茶腕䑓製方
・煙草入製方
・笠當製方
・茶盆製方
・食噐製方
・白文字鞄製方
・胴張鞄製方
・合鞄製方
・中割角鞄製方
・一輪差製方
・丸炭取製方
・蝉形花筒製方

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・瓶入製方
・手拭掛製方
・輪違盆栽篭製方
・輪違鞄製方
・會席膳製方
・下駄表製方
・狀差製方
・硫黄蒸噐
・鞄蓋の製方及手の付け方

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バック・鞄など高付加価値化が進んでいましたが、当時は、すず竹を使った籠編み・鞄・行李「松本みすず細工」も制作されており、松本の代表産業。自然素材が豊かな地域でした。

*現在 長野県域の木通蔓細工・工芸品は、僅かに野沢温泉の土産物に姿が残ります。

*制作法が具体的ですので再現可能。素材から制作過程を写真をつけて構成すれば、クラフツブックに編纂できます。
教本は市販製本書籍ではないので保存されにくい刷物ですが、状態が良く工芸制作・技能資料として貴重です。

*19912月 松本市松信堂にて購入 ¥ 5,000-

 

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木の総合研究 2016 「木通蔓細工論」「工芸手仕事技能書」「Basketry」「木の工芸ベストブック」「工芸史料」

 

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