「木」と産業「木」の道具・工具デザインの目工芸木工

クラフツ志料 – 2  車大工・車棒屋の大八車輪 1996 工芸松本メモリー

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

 一目一品で職業がわかる作品看板の職住一体型、常時顧客対応の町中工房 2丁目の夕日を浴びていた賑わい時代を象徴する機動クラフツ、街の記憶

 そこに存在している意味やメッセージに気がついた時、通りから中が見える仕事場のガラス戸内張や外の鉢物が枯れ人気なく、手遅れで間に合わない。拾うには大きすぎて手にあまるオブジェ。木と鉄の手仕事エッセンスが沢山つまる車大工職の話しを伺えず、解体屋がもって行った後に見つけ出し、なんとか手掛かりは記録しました。

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車大工は、白樫・欅などのの堅木を使い、水車・荷車などをつくるオールランド木工職。季節で臼・農耕具なども手掛けました。堅木木工は、棒・枘モノに加えて轆轤仕事が必須でした。鍛造鉄部品も取り付け、車輛動力系の職能です。鐵道車輛製造、造船・船舶擬装では金属素材に変化した現在も「大工」と呼ばれています。古墳時代から木工が基本技能だから。
江戸時代までは、建築から家具、調度、器具、機材は全て木製です。日本では樹種が多く、樫・楢・ブナ・水目・桜、欅の良材に恵まれ豊かな基本産業資材でした。原形は明治期の輸入モデルの影響を受け、伝統的な形を引いているように見えます。居間・店舗玄関・工房仕事を見せるガラス戸建具のファサードデザインも秀逸で町内安全の雰囲気が分かります。

車大工職は敗戦後消滅し、量産家具・ミシンテーブルなどの木工場工員になり、手仕事の車棒屋・車大工職は、昭和末期に姿を消しました。振動・衝撃に耐える構造部分・枘などには,独自の納まり締め方が工夫されています。大八車は大型で保存が限られ、民俗資料館には収蔵されているのでこれから取材。できればバラシ。引き戸を開けて、腹掛け股引の動きやすい藍染の仕事着姿が表れそうです。

「大八・だいはち」の意味

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車輪を「大輪・おおわ」といい、大型の牛車では内側に「小輪・こわ」を抱かせて「輻・や」スポークを車軸に嵌める構造。大輪が八つの構成で「大八」です。サイズは、車輪幅2寸、径3尺から4尺ほど。中心輪胴(車軸)カボチャ:欅、車軸ワツパ:100年以上200年もので十分寝かせ乾燥させた白樫材を使う。

軸受けまで木で製作、木製機械工作の要諦が集まっています。画像は、オブジェになるほどの良い形、上質な手仕事です。腕の良い職人は工房の前に吊るし置き展示、看板見世にしました。タイヤ交換ならぬ車輪交換・修理・新調のサインです。江戸時代から明治は、滑車、消防火消し車や車箪笥など、車輪の制作・整備は町や村の機動物流ステーションでした。便利で機能的な仕事場や修景を公的な記億として観る対象になっていません。古道具アンティーク、民俗資料の扱いです。

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明治時代初期の消防車と火消し纏 江戸龍土水を大八車に搭載    19850103  小平学園西町

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牛引きの懸木・ブレーキがある最後のモデル : 車輪・荷台は欅、車軸はミネバリ・水目。松本市大手2丁目 960226
この実物優品が街中にある風景をみつけて撮影。直ぐに訪ねましたが人気なく、数年そのまま。引き戸の奥は、荷台が入っている作業場。道路拡張で取り壊され、解体工事屋の残捨て場に放置され雨ざらしに。松本地方は白樫がなく、欅・水目主体の構造、軸・制動鉄工部品、車輪の鉄輪嵌めなどは近在の鍛冶屋とのコラボ。鍛冶職が火が落とすと車大工仕事も終わりです。家具とは違って、動力ものですから構造耐久強度も高く、堅木の扱いや制作上のノウハウがいろいろあったはず。特に大輪のつなぎ、輻の軸部ジョイントなど求心構造に注目。(織機は、「機大工」とよばれ現在でも新潟で、山車・御輿宮師は岐阜・京都・浅草におり、祭具等とともに制作されています。)

人を乗せたテクシー「籠職」は、竹工と木工の家形ですから、御輿や山車、長櫃・葛籠制作に移行したのでしょうか。その後の職人の行方が分からず。西国・東国や雪国などモデルの地域独自の仕様があった。古代フェニキュアの「板剥ぎ車」は「技術の歴史」にあるのですが、ウッドスポークの発明で軽量大型が可能となる車輪の文明史。戦具や生活民俗学で資料を集められそうです。

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LE LIVRE DE L’OUTIL    Messidor/Temps Actuels  1983      CHARRON
André Velter / Marie-josé Lamothe ISBN 2-209-05543-1 P.140, 142,147

 

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木の総合学研究 2016 – 2019  「車大工・車棒屋の堅木木工」「大八車と牛車」「民俗資料・産業歴史記念物」

 

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