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厳冬期氷雨倒木 自然災害現場からのベストサンプリング 木の内科-17
数十年周期に希に起こる厳冬期氷雨で、谷北斜面の森林が雨氷霧氷とトリプル着雪氷、過重に耐えきれず幹折れ倒木。例年の烈風倒木に比べ大規模・ダメージが激しく、道路遮断、架線電断して災害出動。新月近くの立春前伐採材は、まだ眠り深く水揚げ前で黴付きや材質劣化が少ない。この被災は逆に、樹木サンプルの5WH ( When What Where Why Who How )がはっきりした、貴重な適時伐、フリー自力伐、得がたい自収ベストシーズンマテリアルとなる。
入山辺山北側・谷北面の氷雨凍結 2016013o – 0204 AQ
この厳寒凍結ストレスは、年輪層剥離を起こし「目回り」と呼ばれ、経年製材後に組織割裂。この地方やシベリア材によく見られる現象です。地表低温逆転時の雨氷Icy Rain 発生後、陽が出ると融けてバリガリ氷塊Ice Rain 降り落ち、樹冠芯折れに割裂・倒木・ひん曲がりが続きました。2日間の道路遮断中、電断蝋燭生活でもベストタイミングを知り、新月前伐採サンプル自力キコルの記。(海抜1,000m付近の中山間部寒谷北面 20160130 – 0205AQ )
厳しい奥山での厳冬積雪期伐採作業は、通常は出来ない危険な杣作業。この森林災害は異例の自力採取チャンスとなりました。雪融け直ぐに道路保守作業が始まるので、支障木片付け焼却の前に急ぎサンプル材集め優先。出自素性が分かり、希有な激しい気象の影響が刻まれた木歴を辿れます。
曲がれ破断するほどのストレスが一週間ほどかかり、その甚大な現象が森林環境と樹木にどう影響するのか、様子が次第に見えてきました。転倒・滑落・下敷きに注意しつつ、自然災害発生時から片付け隊の作業現場レポです。
雪が消えない凍結地盤の間に、道路倒木・掛かり木の白樺 40yrs.をカット。25-30度の斜面作業「寝ている樹は起こすな」危険なバー挟まれは、なかなか撮れない見せられない実例記録。道路に近いので、樺樹皮剥がしのセルフキュアー跡、根元瘤が見えます。寒冷期の重圧応力が樹内組織に何らかの影響を残しています。白樺材は、虫・黴び入りが早く、水揚げ前の厳冬期新月伐採がベストです。
20160205 -0227AQ
積雪時斜面丸太落下事故 2015 http://kurayuki.abeshoten.jp/blog/6358
皆滅的ダメージが拡がり、落下・崩壊にいたる。
長年の無理な単一樹種植林の間伐放置モヤシ林は、連続災害事故の予兆。倒木は、止まっているのでは無く、凍上すれば直ぐに滑り、風圧乱気流で持ち上がると大雨で崩れ落ちてきます。重い丸太が浮いて動き出す現象を想像できないから転がしたまま。滑りだし、目前で止まれず、ドンズキされると崖谷落ち。根ムクリ、先端折れ甚だしく枯れて倒壊、皆滅状態。火事場の雰囲気です。推奨指導補助の早育有用樹・バイオ資源収穫は空言になりました。日本の林政は、ドイツ・フランス森林帶で発生した大規模人工林台風倒壊の教訓をまだ知らないようです。
未間伐斜面20160227AQ
皆滅倒木地に白煙雲涌く水蒸気圧変化ラジカルスポット20160307AQ
曲がり折れ倒れない樹種を観て理解出来る自然林バランス
檜の小規模植林地は氷雨積雪もコウモリ笠効果で倒木は少なかった。落葉松植林木は、先端部折れ倒木が激しい。林縁、傾斜地、河畔林の若木落葉松、ニセアカシア、欅、山桑、鬼胡桃も倒れ曲がる。谷筋急傾斜面間伐ゼロ域は槍先並び。昨年春からの間伐遅延林では、良木択伐後のダメージも大きい。行政間伐という名の利益優先、林相破壊になりました。長年の処置なしで、これから更に厳しい事態が起きます。
先端折れ木はドンドン枯れて、更に風倒木、滑落、根ムクリ、土砂地盤崩壊を引き起こす。本来、植えてはいけない急斜面の植林樹は先端折れ、根こそぎバタリ。自然広葉樹との無理の無い混成ならば壊滅的なダメージは避けられる。毎年、台風・突風の倒木増加傾向にあり、不在不明地主はモヤシ林を長年放置して伐ることも出来ません。倒れたら片付けを繰り返す事故・災害が続きます。
「これで全山落葉松乱植が片づき、本来の姿の森林へ戻せる」という地元卓見
無理な施業・背業を重ね、プロが手を尽くさず、ほったらかしてきたツケがまわり回って、この自然災害を大きくしています。植生を無視、人為的に都合良く森林管理しているようでも自然は元の姿へ揺りもどしてしまう。約50年で自然林伐採採草地はトップ画像のように針葉樹・広葉樹混交林に戻りました。無理のない自然更新林は、2世代100年以上の回復時間がかかります。植えさせた人が早急にお片付けいただきたい。
樹種は植林落葉松、欅青、山桜、山桑、栃ピンク、水楢、ニセアカシア、楓。20160204-2029AQ
倒木丸太・支障木地域循環ソリューション
自然再生地域循環エネルギー、バイオ活用、灰利用まで工芸・農耕と多用途に使い回せます。
小さな村ならば、薪がほしい人は直ぐに見つかり、あっという間に片づくのですが、大きな市政では、職員を動員し、仕分け、広報募集、タダで配るにも塲所の選定から職員配置まで相当費用がかかります。市民のクレームが出たり、置いておくと業者が持ち去るなど、僅かな雑木を処分するだけで管理が大変、焼却場行き。
災害応急処理で道路から排除した丸太は、民有地においておくことも出来ず、交通の支障になるため廃棄されてしまう。所有者・管理範囲を確認しないと公道、流域以外は片付け出来ません。放置樹木でも無主物ではなく法治下、報知し承諾を得てから作業開始。本業行方不明の「き」が多い毎日です。
森林資源の奪い合いと多様性基盤の喪失シフト
広葉樹の自然循環燃料として純木灰まで使えば、染め工房や陶芸家、有機栽培農業にも有効ですが、現代社会では経済効率優先で活用しないシステムになりました。「油断」「電断」になれば奪い合うことになります。すでに山奥では、間伐合板、チップ材料、菌床、バイオ発電燃料の奪い合いが恒常的に起きてきました。有機エネルギーや素材循環を切り、ネイティブリソースを捨てる。市街地では、薪ストーブの煙も迷惑事案の昨今、震災自然災害で長期電力・ガスライフラインが切れたらお終い。小規模ならば地域で回り納まる貴重な資源が、大規模・量産消費社会では厄介な廃棄物になります。地面から離れた生活では、生命維持資源の多様性を見失い、明らかに生存基盤が揺らいできました。
山桜は薫材、蝦夷彼岸はパン酵母にもなります。欅・山桑は、染料・燃料に。楢・オニグルミはキノコ榾木や菌床、小木工材料、薪材。迷惑ニセアカシアも花は上質蜜源、ピザ屋の無臭ハイカロリー燃料として最も市価の高い樹種です。色素、酵素・生薬などのバイオ・メヂカル活用もあるのです。少量ならば地元で有効活用できますが、ビジネス販売には運賃コスト、ボリュームが足りない。自然循環システム適合規模とビジネス化した量産方式には無理な限度があり、経済性だけで無く総合的な有効利用方法が必要です。
因みに、薪が沢山あると災害の備えうるわしく、厳しい冬の暮らしも不安にならない、精神的余裕が生まれます。人類が火を使い始めた時から、生命維持の本源的マテリアルとしてDNAに刻まれ、本能レベルの安心感覚が働く。薪は伐り、割り、運び、燃やし、その木灰は野菜の最高栄養、5度も暖まるのであります。
(倒木TV全国ニュースの後には、早速、安曇野市から薪ストーブ用の丸太集めがやってきました。伐ったものを拾い集めるだけでなく、次は片付け作業助っ人、道具持参でおいで。)
総合学的木のサンプリング識別仕分けの試み
樹木サンプルの評価、識別は、従来の分類・カテゴリーを離れた「木の内科的」アプローチで
樹種の性質・イメージサンプルを「 基準典型木 Typical 、全形と部分 Whole and Part、微細 Micro 区分」に、姿や来歴も考慮して次のような識別をしています。
ⓐ樹齢・部位別 ⓑ季節・環境地域別 ⓒ用材品質評価別 品位グレード「ファースト・ミュージアムクラス」「2nd. ビンテージ」「Excellent 3rd.」「良質 Good 」「並 Common」「不良劣低 Bad」「選外 Unaccepted」「薪 Firewood]」、この他「独自愚有性 Special and Native」が当面の仕分け目安です。市場購入では木歴不詳。産出地で伐採立ち会い、直接収材が一番素性がわかります。
*学術標本学分類 Specimen:参考基準
正基準 Holotype 選定基準 Lectotype 従基準paratype 新基準 Neotype 等価基準 Syntype 複基準 Isotype
*目回り材 シベリア鬼胡桃(赤)約150 / 70yrs. 自然乾燥17年 小林三之助商店白鳥工場カット 990112−20160025AQ
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木の総合学研究 2016 – 2019 「厳冬期氷雨森林災害ダメージと倒木収集」「厳冬期新月ベストタイミングのウッドサンプリング」「樹木内科とサンプリング」「木歴・記録」「Tree & Wood Insght」