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オニグルミ無垢ブロック材の自然乾燥17年テスト 素材価値を髙めるためのマテリアルトリートメント-02

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

 自然木素材を身の回りに配置することが、住まいの心地良さやメディカルケアーに繫がることを知って、ストレスを和らげ、環境ダメージからガードする道が開ける。ソリッド材をマッシブに使うことは、人の体内活動・生理機能を穏やかに維持し、溢れる人工物質を抑制。ライフタイム・循環再生への配慮と資源セーブ、最適利用にもつながる。「木がある塲所ならば、人は生きていける」

 厚いソリッド材は、木目の揺らぎ視覚快感だけで無く、質感や心地良い音響、芳香を体感でき、ノイズ・電磁波を低減し、居心地を良くする効果があります。人体の生理感覚にフィットする無害・親和性だけでなく、安全バリアー性能、体細胞神経レベルでの感受性、精神作用との密接な影響やミクロのバイオ生反応などの究明は、これからの研究重要テーマです。生き物同士の親密な関係は、人類誕生前から続いてきたのですから。

十分厚みのある無垢材は、いろいろな性能・メリットがあり、素晴らしい魅力の塊。オニグルミ、イタヤ楓、朴、楢、栗の順にブロック材の自然乾燥テスト17年の木録です。

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視覚的には、木目の揺らぎ効果、触覚的にテクスチャー体感温度・肌さわり、音響的には聴覚を快適にするノイズリダクション、嗅覚を制御する材面の吸収性や香りの生理的刺激、更にはシェルターとして電磁波・放射線からのバリアー機能があり、生活環境がバックアップされます。感知されない微量でも、木の質感は疲れず快適で休息できる居心地の良さ、穏やかな雰囲気を醸成する作用・恩恵を受けてきたのです。合板をコンクリート地面や人造床に敷くだけてつかれにくく、作業性が向上します。従来の視点からではなく、素朴なナチュラルクオリティ「環境調整装置」として丸ごと使う、新たな高度快適利用を推奨したい。見せ掛けの薄突き板、自然イメージで擬装した商品、プリントされた擬木に囲まれる生活は生来の感覚を攪乱し落ち着きません。(上画像は芯持ち目回り材)

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化学合成無機質建材に囲まれ、電磁波・放射光線を浴び、加工食材を食べ、人工環境に生きる人のダメージを緩和する自然素材の重要性は高まります。オーガニックマテリアルの質量を身近に増やし、工業生産物とのバランスをとることを意識しつつ木と人のかかわりを再考すれば最善のこと。自然から離れてしまったこの高度機械文明社会では、進化の過程で細胞に刻まれてきた樹木とのつながりを人体DNAが十分に感応できなければ、常態が崩れてミクロの生命機構がきしみ、生存活動を支える根源的なプラットフォームが危うい。目に見えない、意識されないレベルの生命記憶・超知覚の世界は、まだ神の領域です。

オーガニック素材の貴重な無垢の厚み、ブロック材の魅力・性能を引き出すための自然乾燥17年テスト

ナチュラルウッドの樹種と厚み、挽き材木理などの素材の性質、属性を把握し、シーズニングから素材品質をいかに良いものにするか、17年間の素材自然乾燥テストプロセスと結果です。
製材品で最も厚いサイズは枕木です。製材機ギャグリッパーに投入された広葉樹堅木で白太がほとんど入らない上質のピン角(四面角直角)栗、朴、楓、楢、白樺、雑樺、オニグルミを選別、木工芸素材として高度活用する可能性を探ります。
自然乾燥17年で、平衡含水率11.6 – 15.7 % 、平均13 -14% 。このあたりが乾燥限度と判断しました。短尺カットして内部を診ることにしましょう。(柾挽き、板目、木表木裏面、入皮、変異部は別途記載。)

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富山新港900130 シベリア落葉松に混じり紅松・水楢・オニグルミが陸揚げされていた時期。

 

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A-1・オニグルミ(シベリア産材) 1998年 秋伐採
・枕木挽き材サイズ :200Wx 140D x 2,100L
・樹齢 芯持ち 80 -150yrs.
・ピン角 66本 赤身、白太込部分なで角4本
・富山新港 陸揚げ シベリア落葉松・水楢に混じり選別
・製材選材:岐阜県小林三之助商店白鳥町工場にて 199901 − 05
・搬入1999019,0301、0510

・@ 価格 5,500-  ~ 4,500- (運賃・諸掛かり・税・割れ止め剤・柿渋、MTコスト別)

MTマテリアルトリートメントのプロセス

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① 木口柿渋塗布後、割れ止め剤塗布1999 以後経過逐次撮影
② 一年経過 木口割れ進行 丸ノコ芯割り 木口二面柿渋塗布
③ 桟木積み天乾 2005 割れ止め再塗布
④ 積替え移動点検 2007 – 2010 木口割れ止め

柿渋塗布効果は3年程度持続し、白太残余部から木喰い虫入り2本発生。

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⑤ 短尺カット 大割れ材を処分 良材のみストック記録 2015

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⑥ 手押し鉋盤加工3面削り サンプル木肌・木理写真記録 含水率・重量測定 20160225

現在の普通板材は25 – 30mm T、厚挽きで 45 – 60mmT、板幅尺上30cmがサイズが大きい方です。
尺五45cm、二尺上60cmとなるとさらに稀少。40-50mm T  このサイズを超えるとレア−材料となり優良材の入手が難しい。二寸上60 -三寸上90mm を越えると自然乾燥のみ。自力で落札し製材、ストック・シーズニングをしなければならないのですが、ゆっくり自然乾燥をする余裕がなく、使う前に虫に喰われたり倒れます。天然素材は、経済スピードでは扱えないクオリティがあり、数量は限られても手間暇をかければ、優れた品位とすることが出来ます。

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ブロック材は、虫黴び抑制のため木口に柿渋塗布後割れ止め剤塗布。桟積み一年半後に芯割りして、二材面にも柿渋古渋を二回、割れ止め処理3度、17年の自然乾燥経過をみました。厚み130 – 135mm上がり、歩留まり40%程度。通常、国産材は、製材後から桟積み天乾数年を経て人乾にいれますが、この厚みは乾燥スケジュールノウハウがなく、人乾出来ません。家具楽器材や木製品需要を失い、製材とともに多くの乾燥工場が消えました。太径木枯渇、樹種激減、木材加工産業衰亡の一途です。

ブロック・厚板製材とトリートメント

囲碁将棋栢盤以外は、ブロック材でストックすることはなく、3寸上の厚板は乾燥割れを抑え、材質を熟成するのが難しい。45mmを越える広葉樹厚板サイズは、木材市場の流通ストックが少なく特別なマテリアルになりました。

厚いブロックを人工乾燥すると乾燥収縮に伴う内部応力が発生し、歪がでます。材色も薄くなりやすく、強制乾燥では材質に収縮ストレスが残ります。健やかな材質とするためは、長期自然乾燥を行い、暴れくせを発散させ、割れ止め・黴び変色を抑制。さらに芯割りのトリートメントしてシーズニングの経時変化を観察。このサイズでは、最低限10年は寝かせる必要があります。

因みに、栗の上質材は数年後に「ジョイント土台」として短尺継ぎ角材に格上げされ、枕木の付加価値を高める方向へシフト。大径無垢材が枯渇してきたため、入手できなくなり、小径木接着集成加工建材へ流れました。オニグルミも素材扱いになり、枕木ライン選別調達はお終い。電動丸ノコチップソーC15BH 最大径350mm で、ちょうど一発切りでき、作業がとても楽になりました。(柾挽き、板目、木表木裏面、入皮、変異部は別途記載。)

オニグルミ(赤)サンプル材 短尺450mm カット/ 3面手押し鉋盤仮仕上げ ( 含水率計測 MERLIN WS -25)20160225AQ

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①194W x 135H x 453L 13.3 – 14.7%  5.95kg

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②192W x 130H x 446L 11.7- 12.4% 5.5kg

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③195W x 135H x 455L 13 – 14.5% 5.4kg

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④195W x 135H x 445L 13 – 14.5% 6.4kg  目詰み赤 辺材一肩残

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⑩192W x 135H x 450L 12.7 -14% 6.25kg  芯割り無し目詰み赤・目回り

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選外割れ虫喰いカット処分材

「木が育つ塲所に人は生きている。」厳寒冷地に適応した保温性材質を最大限に活かす

長期凍結環境に生きる樹木は、自身が凍り付かない細胞組織体を形成しており、触れると暖かみがあります。逆に、熱帯・亜熱帯では、樹体内が避熱、冷やす性質を備えて生育します。木の「温もり」は一様ではなく、冷える材質もあります。寒冷地の暖まる野菜と体を冷やす熱帯果樹のような成分性質の違いがあります。

日本産に比較すると、シベリア材は、柔らかく温和なテクスチャーで材密度は粗質、比重もやや軽い。材色は薄め、脂成分・艶が少なく、粘りけ低いパサッとした感触。目つまり、年輪層硬質差が小さく、性格は静穏。物性はほとんど変わらない。
国産材は、脂気あり色素も濃色。いずれも、赤・白の原木差違あり、四季のある気象地帶との最も大きな違いは、極低温下で起きる芯部組織の剥離「目回り」寒冷地特有の内部応力ヒビがでることです。80本のテストブロックで15%ほど。
同じ出産地の「紅松」も保温質でソフト。脂分が多く含まれる少し重い材質「赤」と軽め淡紅色の「白」の違いも同様です。厚材を使うと、室内温度変化は緩やかに動き、冬期に温い表面温度を保ち内部凍結せず、天然の断熱保温性能をもつ、人肌に近い清潔美麗な生物素材です。サーモグラフィーでの表面温度保持性能比較・画像化はこれから。厳寒灼熱の植生環境は、言い替えれば「木の育つ塲所ならば、人は生きていける」のです。

厚みとボリュームをそのまま活かす用途

板に挽き割らず、マッシブなままソリッド自然素材の魅力を味わう。樹齢80年以上自然乾燥17年の世紀ものです。

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木のハンドル・把手も厳寒地では凍傷を防ぎ、手掌握りによく馴染む触感です。樏もアルミ製では極低温で折れますので、積雪期に山の中に入る電力会社保守作業班は、捻木など自然素材のものを携帯しています。

「最適マテリアルコネクション」稀少材の頒布販売、有効活用へ

・台座(Pedestal、Sockel)
・テーブル卓子脚
・ブックスタンド
・撮影背景、ディスプレイベース
・電磁波遮蔽、放射線防御
・室内環境バランス装置材としての活用 (温湿度調整、住まいの自然素材比率アップ、テクスチャー居心地・雰囲気改善)

「素材の魅力・性質を十分に活かし、最良の状態で使うための必要なケアーをする」材料手入れ処置を「トリートメントメント」という考え方でオペレーションを1997年から開始。自然乾燥、割れ止め、反り変形抑制、変色老け防止などクオリティウッドを高品位、最適使用をはかる。更に、貴重なナチュラル素材を最もふさわしい制作者へ直接手渡す仕組みを構築し「ベストマテリアルコネクション」の手立てをしていきます。(このテストブロック良材は、別途直販予定。)

今、漁船は、海面で水揚げ時にインターネット販売。農業は、畑で収穫現物取引の時代ですから、木樵杣山作業も伐採現場で最適ユーザーへ渡す、直販の仕組みが必要になりました。すでに、市場を通さない中間媒介売買マージンカット、鮮度と確実なクオリティの伝達、ダイレクトコンタクトが求められています。木目は「地上の美質」を与え、自然が創り上げた芸術的材料ですが、薬理メディカルケアー性能もある貴重な天然素材。最もふさわしい人へ手渡せると、素晴らしい使われ方が触発されるでしょう。

枕木材の歴史

明治期、北海道楢材の大木を大量にフリッチカット「枕木輸出」し、Japanese White Oak 銘木になり、ビクトリアンスタイルの室内・家具装美につかわれました。当時、国内では「雑木」扱いで薪の部類だったのです。原生林資源の乱伐略奪は、開拓農業の始まり。タモ・胡桃・樺・ドロ・楓・栓・ブナも同じような枕木用途の時期があったのです。

*紅松:商材名で朝鮮五葉松とされていますが、現地樹名は未確認。

*柾挽き、板目、木表木裏面、髄芯央、入皮、変異部は別途記載。

 

ⓒ 2016 , Kurayuki, ABE

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木の総合学研究 2016  「ブロック材の自然乾燥シーズニング」「木のマテリアルトリートメント」「環境バランス調整装置ソリッド厚板メリット」「マテリアルコネクション」「生体親和性材料」

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