「木」と産業「木歴・木録」「木識・木学」木の内科

オノオレ・ミネバリの腐朽菌レジストバリアとセルフキュア 最も硬く重い最大級ハードウッド稀少樹種の内相 Insight 木の内科 -23

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

原木山直アプローチを原則としていても、入手困難な貴重樹種は、例外的に製材林場から購入補完。ヘビー級のケーススタディを積み重ねる。

産出地・伐期・出自来歴の属性・付帯情報が消されている銘材業者のストック材は読みにくく、余りにも重すぎて動かせず、惜しみながら涙の二つ割り。国内最上級ハードウッドの本性や実相を明らかに。

鋸作業では木埃で口の中が苦くなり、目がチカチカ。逃げだしたい気分になるほどの虫が寄りつきにくい嫌異成分を含有。ヘビー級の堅木は、外皮はメタルカラー鎧のようなマルチレイヤー。木部はアクが強く、粘り強靱硬質緻密。且つ、木肌木理は人肌ピンクで美しい。音響性能は秀逸で楽器・用具材に重用され、伐り尽くされ激減。絶滅危惧種に近い。葉・花実・樹皮外観姿以外の素性は専門書にもなく、固有種最優有用樹として多くの領域から総合木録します。

オノオレ樺・ミネバリの材質・特徴

①国産材でトップクラスの重質。琉球黒檀(八重山黒檀)につぐ密度比重(0.9 – 0.998 室内気乾実測)、堅い粘り靱性の材組織
②成長は遅く春秋材差が小さく年輪は目立たない。均質・緻密な木質部を形成
③樹皮は鋼鉄色の硬い班目突起あり、多層外皮で覆われ、虫・菌類プロテクトが頑丈。成長肥大で割裂し「八重皮」積層。北海道十勝地方では樹形は小ぶり。呼び名「ヤエガワ」。

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④樹皮をつけたまま放置すると木喰い虫が入るので樹皮剥ぎ。白太辺材部が部分的に残る。樹皮下辺材部は軟質。
⑤幹枝下の小節は小さく、芯部に少し残存するが目立たない。硬質で艶あり、緻密で綺麗な人肌色。

木曽地方の「ミネバリ」伝統工芸櫛材  岩手地方では、民家の大黒柱に賞揚され近年はクラフト素材に。 播州算盤の珠・枠材、浜松の楽器メーカーでは木琴打楽器材に使われた有用樹。(特に会津地方産材は上質であった。)切削加工性・耐久性・フィニッシュなど秀逸。
木部には独特の臭気があり、おまけに鋸挽屑を吸うとひどく苦い。涙することもあります。(苦みと強度のアク成分含有)化学的な物性の解明で、自然有機薬理作用が再評価されるでしょう。

A. オノオレ樺・ミネバリ(白) 約320yrs. 角柱挽材  背割り無し

元口から1.2M深く白色腐朽菌が繁殖 倒壊間近 高樹齢

原木:元木径520 mm 元口径 375 x 375 mm 末口径 380 x 385 mm x 4,28 mL ■ピン角挽き
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芯材部色素や酵素が集積してバリアガードラインを形成。(生命活動兆候のバイタルサイン)やがて菌勢に対抗出来ず、バリアラインは消滅し木繊維セルロースを分解され腐朽が進行、倒木分解される。レジストの先端部・終末ターミナルステージ画像です。

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根元から白色腐朽菌が拡がる

研究用ベストマテリアルとしての購入判断

①稀少材種であり、現物の樹齢・サイズ・クオリティ全てをみて、「今後これ以上の良質原木に出会うことはない。」(材木商がよく使う台詞だけど)

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②一番太い元木原木サイズは、樹齢 約320 yrs. (元木幹径:約540 mm) ピン角一辺380mm、枝下通直 節無く4.3mあり最長生存限度の老木(白)。
③元木腐れ(芯央1,1m)が進行しており、ダメージが大きく商材価値が下がり、通常は現場で切り捨てられる。年輪からも最大級・限界成長個体で白色腐朽菌が拡がりターミナルステージにある。

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④健常材上部はボリュームが大きいので、ブロック優良材見本として有効活用できる。

⑤枝節が無い素性の良い通直材。緩やかな成長で損傷や変色なく緻密な材質。
⑥同時室内ストック残4本(八本の内2本は売却済) 近親・伴木のまとまりがある。
⑦大黒柱材にトリム、自社ストック。流通商材ではない。

⑧背割り・気乾

伐期は1993 -95 年頃、伐期及び産出地集材エピソードを教示しない隠蔽理由あり。購入19980310 – 再挽材20041006ABE

この銘材業者は、ゴルフクラブ・パーシモンウッドブームの時期に国内の地方山村から柿の古樹大木を大量に買い集め、ゴルフ用具メーカーH社へ納入。長年の出張集材経験から、各地の貴重な大樹スポットを知っていたので、真樺大径木や楓・水目400年モノ等、他所で集められない高樹齢木材を扱っていました。これから先に、オノオレ良材は木材市場に出品されたり、出会う事はないのではないかと全数買い承けを判断しました。

*MTマテリアルトリートメント:木口・木端面は柿渋塗布、割れ止め剤塗布後6年寝かせ挽割り再製材、腐蝕部トリミング。

ダメージ・欠点部位の経時変化が残るのはGサンプル

元木口に腐喰・虫喰いがあればダメージ欠点材となり、通常は切り落として菌の増殖進行を防ぎます。このオノオレの場合、大黒柱材に仕立て高値で売るために元木の太さを残し、希にみる大木を短く出来ずストック。4.3m大黒柱級・太さをアピールするため腐れ部を残しています。逆に欠点があれば、自然樹の成長限度の内部劣化を観る事が出来ます。柱取りピン角製材のこのサイズでは、500kg以上。人力で動かせず、往生しました。

B. オノオレ樺(赤)89 yrs. 岩手県産出 原木丸太

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径級380 – 280mm x 3mL  0.235㎥ 玉切り木口に柿渋塗布して内部変色部呈色反応をみる

20061115 盛岡木材流通センター落札 20070131 – 0203 製材 20070221トリムMT自然乾燥 9年  木口 芯央部から色素移動があり(セルフキュア、バイタルサイン)若小枝節は中芯部に集中し外周に残らず目立たない。枝下通直で割裂・暴れにくく扱いやすい。

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ミネバリは、稜線峰近く風の強い所に育ち、立木の応力から樹幹は偏円・凹形になります。

 

C .オノオレ樺 小径木 34本椪 岩手県産出 30 – 45年生

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径級 16 – 32 cm  長級2.1m L 盛岡木材流通センター土場  20061115 AQ
オノオレかんば(赤・白)

 

芯央部に虫や菌類が入りにくいのは、仮導管径が微細、細胞間隙がない程の緻密な材質と同時にとても苦い苦い鋸おが屑の薬理成分があり侵入が出来ない。(伝統工芸のお六櫛制作工程で、カット材を煮沸して灰汁抜きすると濃茶褐色が出るので、アクは防衛作用がある化学成分と視られる。草木染め・呈色反応などを考究します。)

生育地の土壌・環境条件など精査し、含有成分や自然循環系素材として高度有用樹種を総合的に研究していきます。(材質詳細は次回に続く)

 

 

ⓒ 2016 , Kurayuki, ABE

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木の総合学研究 2016 「オノオレ樺の内科」「木学・木識」「高度有用樹種」「Hard Wood – Insight」

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