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シナの木「青」 オオバ菩提樹 日本固有樹種ソリッド材の優れた木肌・美質彩見 Insight 木の内科-24

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

 柔和で清楚、穏健でプレーンな材質は、目立たない隠れた有用樹の典型。均質な成長で年輪木目は主張せず、木肌は清潔な微青白素地で人肌に近い。木部は芯央部から辺材色差が少なく均質、静かでクリーンな和風イメージそのもの。清々しく気品ある木質感が漂う。合板・擬木ボードに失われている自然素材の美しい視触感・すっぴん木肌をレアー使いで本来の木味魅力を弾き出す。

縁甲板天井板張りは、ほど良い明るい落ち着いた雰囲気に仕上がり。暖かみがあり、清楚な材質感・穏やかな色調は、和風の趣を与えます。空気清浄・湿度調整機能の他、自然光の移ろいで淡い肌色から美麗な白青色を帯びて映え、心地良い居室空間が生まれる。天井仕上げは塗装や有孔繊維ボートの場合、経年劣化で表層崩壊し落ちてきます。

生活中に微細浮遊ダストを吸い込むわけですから、有害合成建材張りではなく、寝室などは自然素材の木地仕上げ、植物性蠟ワックス拭きがベストです。(針葉樹素木地では、施工後に手指の油分は拭き洗い処理をします。)

抽斗内部構成材・箱体では被収納物にダメージを与えず、十分な保存性を発揮します。ボードや合成工業材は接合層の接着剤寿命が短く、工業量産し安直ですが、ケミカル成分は人体にも良いものではないのです。

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天井板張り施工事例 20110910

シナ材内装工事 2 X 4 天井石膏ボード下地にスリムビス(2 – 36mmL GB) 止め
割れヒビを防ぎ、再工事時に外せるようにネジジョイントで装工。厚みがあると天井面が温湿度変化で動き膨らむので限界まで薄板縁甲板加工。エンドまわり縁部分は板枘の納まりにし、伸張逃げ余長をとる。本核の納まりはしっくり、ピッタリ嵌合して施工は手際良く進捗しました。(割裂が起きるタッカーは不可)P1240635-1

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5年経時変化 自然光反射で人肌に近似 20160712

板厚8mmT が材質を損なわず吸湿伸張も抑制、構法的に無理がない実際寸法でした。靱性粘りがあり、天井下地凹凸を吸収し波打たず、綺麗で安定した納まりが可能なリミットの薄さに。無垢材の質感や性能を損なわず、経済性もクリアしています。

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縁甲板本核加工:2.5t チップソー挽き作里20110910  働き幅:100W, 80W, 60W x 2,140 mmL  x  8 mmT(下地がない場合、天井縁甲板木取り最小厚み寸法は9mm上がりが望ましい。)

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芯材赤身部の差異は少なくプレーンな樹幹。色素は、年輪の中間層に均一に含有している。

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元口径 440 -420 mm x 2,200 mmL   73 yrs. – 52yrs.   岩手県産出材 盛岡木材流通センター落札20051117 製材:20060296   自然乾燥 MT:20071115AQ

シナの木(青榀)材質:軽量・軟質材とやや重く硬い秋材部が浮きでるもの二種あり、木肌は柔硬差がある。

青シナには、柔らかなテクスチャーと硬い年輪筋目が浮く材の識別があります。「シナ材」と呼ばれる商材には、赤シナと青があり、青の材質が上等で無地プレーンの綺麗な材観で識別されます。

「青」は、実際はオオバボダイジュです。赤シナは1mほどの大木になりますが、「青」は木篦用など柾割りができ、良質なので太くなる前に伐採されている。古來から樹皮繊維を利用してロープ条材にしたり,山形・会津地方では内皮を晒して、シナ布織物・編工芸に使います。シナ紐は、水につかっても凍りつかないので「シナノカタヒモ」という(白峰村民俗資料)。自然素材の不思議な性質を巧みに利用してきました。

芯央部は赤身はなく、樹皮までフラットな無地・無目が特徴です。節目は芯に近いところで留まり、枝下は直材のプランク。外周辺材部は整ったナライ目(「順目」は間違い)で肥大します。
国土の火山灰土土壌に育つ広葉樹は、地質色を吸収し淡褐色系の中間色素が多く濃色が少ない。赤樫・槐・ケンポ梨・浅田赤にタンニンが分泌された黒柿・黒檀が目を引く程度。

入り節・変色・欠点が少なく、綺麗な木地はソフトで緻密な材質感が特徴ですが、素地のままで使え塗装・接着性、刃物切削に優れた優良木です。色調はニュートラル、性格は大人しく暴れず、ブランクの加工がフリーで使い易い高度有用木です。

「シナ榀」は、青・赤の違いとは別に、硬軟から樹皮・材質を把握する事が出来ます。軽く柔らかな組織でも、しっかりした材質で刃物当たりも良好。良質材です。柔肌材が多く、ガッチリ肌(堅身)の混じりは少ない。

自然林伐採が進み、太木は少なくなり、市場では合板・包装箱業種が先に手当。大径原木・厚板ソリッドは、家具・内装材用は限られてまわりません。「シナ」と呼ばれる木材は「シナ合板」という商材イメージが定着していて大径木はなくなり、市場にも出品されることは稀となりました。

*マテリアルトリートメント協力:Satou建築工房 佐藤信之

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オオバボダイジュ(オオバシナの木)約 30年生 中央高速駒ヶ根SA園地20160728

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木の総合学研究2016 – 2019  「シナの木(青)の素材美・木識」「ソリッド材の素地・木地仕上げ」「木の内装ベストマテリアル」「固有有用樹の木録」「Hard Wood – Insight」

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