デザインの目 | 伝統文化 | 工芸 | 木工
明日から自由に作家になれる国、大昔からの輝かしい、ゆるやかな伝統は世界文化遺産
阿部蔵之|木とジョイントの専門家
アーテイスト・クラフト作家・木工家・デザイナー認定資格制度のない素晴らしい国の造形活動をみつめて
デザイナーやアーティスト、工芸家として作品を売り、名刺を刷ることが自由にできる国、それはJAPANです。ドイツ・デンマーク・スエーデン等では、マイスター・ゲゼルなど国家資格・認定を受けないと公的にビジネスをすることができません。海外の友人は、陶芸家や木工作家の多さに驚き、更には、個人の自由で開業、名乗ることができるおおらかな社会であり、一般の人が工房やフェアーで、ごく普通に作品を購入するイベントが多いということもすごいことだと。
日本で自営できる海外クラフトマン・デザイナーは少なく、買ってもらえる作品レベルや技能水準は高い。逆にビジネス環境は、極めて厳しいのも事実です。各地の陶芸家の多さにも驚嘆し、木工家の技能の高さ、道具のクオリティ、活動のバイタリティーは、皆さんが賞賛しました。
欧米では、芸術家・クラフトマン・デザイナーは、専門大学履修経歴のほか、協会団体・組織に所属しなければ活動も認知されません。資格も居場所もない国々では、逸脱・異次元スーパーアート表現は許されず、漫画やゲーム、ユルキャラなんてサブカルチャーが出現しなかったのです。(時代により特殊な高級品は、政府管轄の鑑札制度や御法度・禁令、税制、販売規制もありましたが、一般の生活用品は規制されない範囲の品目でした。創作デザインの現場までは、為政者に干渉されないままだったのではないか。)
小職の社名が「エイキューデザイン」と発音しますので、旅先でA級デザインとか 永久、榮久デザインと書かれていました。一級・二級建築士資格のように、デザイン業務にA級・ビー級ライセンスがあるのもおかしくないと感じるほど、デザインという職域が認知されてきたわけです。「A級デザインライセンス」は、自認の範囲でよいのです。等級別に資格認定できる技能でもなく、創造性や感性の世界ゆえ、デザインの評価や定量化・審査・管理は不能です。
さて、クラフトフェアー参加認定資格なんてできるとこれは大変ですよ。
自由なモノ作りは、数千年の歴史的実績というか、次世代に継承できる文化的資産です。その文化的遺伝子をつなぐための仕組み・アクションを起こす人がいつの時代にも現れていたのです。
権力支配者は、あまり美術的な素養、関心が無かったから、意匠や装飾工芸の世界をコントロールせず、制作に専念できたことが認可資格制度を導入しないままに推移してきた結果と考察します。江戸時代の為政者は、瀟洒華美には、敏感でしたが、わぶさぶ・地味なカモフラは放置しています。江戸時代の流行は、職人・手仕事の現場から生まれたのです。
誰もが、デザイナー・アーチストになれる風土、自由に物作りや表現ができる素敵な気質、長い時間の経過でたどり着いた確かなもの、目にはみえませんが、Cool Japanの源は健在です。
「通産大臣認定伝統的工芸士」のように、工芸やアート作品・技能を政府が「認定オーソライズする」のはおかしい。ガバメントの本来の仕事ではないのです。
「作家」を自認していてもご本人「サッカク」のおめでたい場合もあります。
枯れ木も山野賑わい_どんな作風も寛容であり出番は成り行き次第_メディアに現れる派手なもの、密かに存在する才能も多いのです。新しい才能は芽き、創作は時代とともに継承発展していきます。
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