「木」と環境ジョイントシステムデザイン木工

90年間色あせないプログラムファニチャーデザイン EIN MÖBEL BUCH 家具のベストデザインブック -02

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

家具の基本機能をコンポーネントで組み合わせるプログラム構成家具のオリジナルデザイン提案は、図面ではなく基本モデル群を実作。プレゼンテーションに本を印刷し刊行。バウハウスと同期・連関したデザイン手法は、斬新さが失われずに現在でもそのまま製造して通用します。

建築家のマルチ機能思考が反映され、建て増し組み合わせによるバリエーションの拡大や多目的な使い方をサポートする収納系家具の実用現物アイデア。可能性やイメージではなく、具体的な実物モデルは、単純な要素部品化の方向を示唆しており、後のジョイントシステムファニチャーへと繫がりました。具体的で即実践できる完成度の高いこのデザイン事案は、ドイツ国内産業はもとより北欧家具にまで波及し、汎用基本構造のベースデザインに。

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EIN MÖBEL BUCH  ひとつの家具の本

von Franz Schuster  Architekt (1892 – 1972 )
図版167 テクニカルイラストと写真 Möbel – Program プログラム化した家具(コンポーネント構成家具)規格家具のデザインの提案

Ein beitrag zum problem des zeitgemässen möbels 現代式家具の問題への寄与
第二版 / 4 – 6,000
Verlag Englert und Schlosser in Frankfurt Am Main、 1920年代の後期発行
182 x 250 x 4mmT p,96

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内容(タイトル)          p.

Vorwort 序        3
Das Aufbaumöbel 建て増し家具       6
Vereinfachung Beschränkung Typisierung 単順化 限定 規格化        7

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Die Grundmöbel  グランド家具(ユニット・コンポ)       9

Das Gestell G 脚         10

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Der Kasten K 箱        12

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Die Lade L 引き出し        14

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Das Rega lR 棚        16

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Die Fuss – Stollen F 足角材        18
Der Aufsatz AU 上置き        18

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Die Gruppierungenn グループ別分類        19

Abbildungen 図版構成例        20

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構成事例バリエーション一覧         22
Anhang はじまり         76

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Die Küchenkommode KÜ キッチンコモード(タンス)        78

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Der Schrank SCH 収納棚      85

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Tischgestell T テーブル脚      89

箱物系 + 脚体 シンプルモダーンデザイン開発の背景

量産機械加工を推進する家具産業や建築業界は、ソリッド材から合板・ボードへのマテリアル革新が同期しており、シンプルモダーンのオフイス・住居用家具を必要としていたということができます。
北欧家具の箱物は、この家具デザインプランニングに大きな影響を受けて、ナチュラルモダーンデザインを生み出しました。現代も定着し発展している家具インテリアデザイン手法の魁けであり、「DAS NEUE FRANKFURT」バウハウス傍系の歴史的名著です。

食器収納棚に日本茶道具を演出につかうなど「和の道具」をインテリア演出アイデアも斬新なイメージを与えました。寸法系を見ると比較的コンパクトなサイズですから、設置は積み置きで特別な組み立て作業は不要。流通のコストセーブも実現しています。

用途・予算、スペースにあわせられるデザインは、メーカー販売店主導からユーザーサイドの自由な選択を拡大することに。このプレゼンテーション冊子は、発行増刷数も極めて多く、注目された新感覚のモダンデザインでした。1920後半から1930年初頭は、それまでの手仕事職人制作からインダストリアルデザインへの傾斜を強め、グラフィックス、家具食器類、建築などの分野でデザイン出版物が増えた時代です。

家具デザインの歴史変遷を辿ると、手工業工房スタイルの職人制作から、合板・人工ボードを機械加工する量産工場生産へシフトするイニシエーションとみる事が出来ます。また、金具・ハードウエアーもこの時期に機能金具へと変わり始めます。
また、膨大なバウハウスハーバード大学コレクションが先日公開され、開示閲覧できるようになりました。見ることが出来ない作品も家具室内装飾デザインもあり、新しい世代の感覚でアレンジされると評価も変化し注目されます。

*この本は、恩師 千葉大学木材工芸科 狩野雄一教授よりいただき、ライブラリー収蔵しているものです。1980年11月7日ABE

ⓒ 2016 , Kurayuki, ABE

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木の総合学研究 2016 – 2019   「規格家具構成デザイン」「ユニット家具からコンポーネント組み合わせへプログラムファニチャーデザインの開発」「家具のジョイントシステム」

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