木の内科木工環境

青樫の幼樹危うし・研究自然環境の変化と限界 木の総合学研究課題/2013

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

青樫(長葉樫・ツクバネ樫)炎夏焼け・鹿害で重篤

2011年5月、福島県三春町で青樫の大木(112年輪)伐採時、林床実生を遺伝子サンプルとしていただき大事に2年冬越し。
二本の青樫幼樹は、葉の色・厚みが異なり赤・白の違いかもしれないと期待して観察中、この夏の異常高温でやけて葉枯れが起きました。庭先の植え込みに静養中のところ、野生のギボウシ喰いついでに鹿のデザート、哀れな姿になりました。秋口に回復するかどうか、危ない状態です。
青樫は、文献にもほとんど出ていない材種ですが、この貴重なサンプルは、カビ対策と自然乾燥速度を考慮して、挽き材を厚板に製材、人手ハンドリング重量からの寸法。芯材部のボタン杢が鮮やかです。
青樫は、伐採直後からの細胞変化が著しく、材質も経時変化で数ヶ月間は目新しい動きがありました。選りすぐりの樹種を皮・耳付き、白太入り全形、自然乾燥保存をすれば、菌・虫さんのレストランとなります。
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 人工的な環境ダメージを逃れるということの反面は、自然の生態圏で喰われる・朽ちるということが迫ります。可能な限り化学物質や有害なものから逃れ、自然環境で「木の研究」をすることが次第に困難になりました。特に林縁部は、小動物・昆虫・微生物の濃厚な生息圏ですから、食物連鎖の激しい実相を目の当たりにしてきました。人間にとって住み・居心地の良いところは、他の生き物も同様ですから、縄張り被圧せめぎ合いです。

ここは、雲霧が頻繁に発生する谷間です。木喰い虫の襲来、鹿の喰害で研究環境は、筋力低下と相まって厳しくなり継続が危うくなりつつあります。排気ガス、環境汚染・電磁波の影響の少ない当地ですが、積雪凍結が緩く、湿気も少なく、天乾保存が簡易な低山の林縁部が好適です。放射線直散・半径50km圏外に見当できる最適地は僅かです。海抜1300mm,紫外線は、20-30%アップでも、まださほどのダメージは有りません。深夜の静けさは、時計の秒針音が聞こえるほど。

豪雨、雲霧の多発生、木喰い虫の襲来、鹿の喰害で研究環境は、体力低下と相まって厳しくなり継続が危うくなりつつあります。排気ガス、環境汚染・電磁波の影響の少ない当地ですが、積雪凍結が緩く、湿気も少なく、天乾保存が簡易な低山の林縁部に移転したい気分になりました。放射線直散・半径50km圏外に見当できる最適地は僅かです。海抜1300mm,紫外線は、20-30%アップでもさほどのダメージは有りません。深夜の静けさは、時計の秒針音が聞こえるほど。
 素性の良いものから、大事にしている「貴重なものほどおいしい」から、直ぐに飛来・囓りつき、交尾_蛇さんも純木マンションに定住を好みます。見つけ次第、片付けますが、研究資料がカビ・虫喰いだらけになれば、研究材料はおしまい。
ストーブの薪・灰になりますが、広葉樹純木灰は、藍染め工房へまわり、灰汁を使った後は、更に陶芸家の釉薬に使われています。
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「木の総合学研究 2013」「青樫幼樹を育てる」

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