「木」と食体の自然を取り戻そう環境

木之子の旨味最高品は「握り茸」がトップ・絶品味覚です。

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

「楽しみは、秋の森に通う道、折々にゆうげの糧に出会う時」。

夜来,強雨が朝方に上がり快晴、まだ日差しは強く、空気は澄み切り秋の気配が次第に色濃くなりました。
足腰を鍛えるついでに、木之子籠を腰につけ、裏山に入ると直ぐに目立つ、握り茸、手指を握った形の木之子。傘を開くと15-18cmの大型一本立ちで唐松・広葉樹混交林床に立っています。(唐傘茸)
色調は、複雑な灰色縞班で、日が当たると茶形褐色に変色。フワフワの崩れやすいソフトな質感。軸は、折れやすく、サイズが大きいので1−2本有れば、晩ご飯には十分なボリュームです。
炭焼きか油バター炒め醤油味付け。アミノ酸の塊のような、濃厚なうまみの最高品です。柄は、繊維質で縦割裂、噛むほどに味が出る逸品です。朝取りして、夕方に家人の手際良い料理の一品となりました。華奢で壊れやすく、痛むのが早いのでマーケットには出回りません。山奥で味わえる幻の木之子の一つでしょう。
キノコ味の順位は、この「握り茸」が一番、次に「オオツガタケ」「油シメジ」「霜降り」そして量出・食感に優れた「リコボウ」となります。ウオームグレー系 ベージュ班の美しい傘に、軸部の粋な割裂紋が秋の森のブチックを彩ります。この姿・形、色調は、表現できないほど繊細で見事なカラーリング・侘びさびデザイン。僅か2-3日ほどの出番で、毎年決まった場所に現れますので、当てになる食材です。
下山途中に、傘をちぎりばらまくと、少しずつ拡がります。アホ鹿が蹴っ飛ばして折れていることもあり、油断できません。今年は、2週間ほど早めの顔出しです。
キノコ山を背負い、山菜野畑を前庭に抱える恵まれた自然環境を楽しみ、季節とともに、ゆったり時間を過ごせることの有り難さを痛感、荒廃・消耗していない風土・植生を維持するには、現場に長く住まないとわからないことが沢山ありました。
自然の装い・おしゃれは、人間の創作意匠を遙かに超えていて感心するばかり。自然界では、生き物のデザインは完成しており、人工物のカテゴリーで人間用のデザインが必要なだけと悟りました。
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木の総合学研究 2013    木の子山の秋

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