緊結金具・ジョイント機構の製品開発紹介記事が最も多い雑誌は、「md」ついで「form」「BM」「Bauen +Wohnen」 でした。展示商業施設・システムファチャー・組立金具等のデザインには、必須の読み物です。
ドイツの見本市展示器材は、メッセ会場への搬入・組み立て・展示作業の効率・見栄えを重視し、デザインの新規性を訴求するために、様々な組立機構が考案されてきました。
シンプルな組立・分解作業性が求められ、架構デザインの多様性をバックアップする自由度の高い可撓性、更にハンドリングの良さ、経済的な使い回しなどが要求されます。
展示ディスプレイ器材、システムデザイン家具、間仕切り、壁面収納システム、遊具・組立玩具,工業生産家具の本場ですので、家具生産に関する資材・金具・加工機械の「interzum」や「Ligna Hanover」メッセでは、家具用ジョイント部品・ハードウエアー類が多く出品されてきました。
家具・インテリア構成製品を製造するためには、接合・組立ジョイント機構部品が必要不可欠です。加工素材・デザインの変化に対応して新しいジョイント部品が考案され、見本市に出品デビューしますので、新製品の記事はドイツの家具系雑誌に多く掲載されてきました。
Space Grid Structure 建築の世界では、1948年、 Mengering Hausen によるMero Trigonal System がネジ型ジョイントシステムの始まりです。
偏芯カム型緊結金具は、1955年、U.M.S. PASTOE 社 J.A.Bus & Braakmann (オランダ)が開発し、西独 Erwin Behr社のBMW壁面収納システム家具構造金具にライセンス生産、ジョイント金具の開発が新しいデザインカテゴリーを生み出すイニシエーションとなりました。
以来、様々な接合具・ジョイントシステムが開発され登場します、ファスナー・ジョイント製品の考案・デザイナー・企業の多くは、Swiss – Germany – Belgium のEU中部に存在していたことはテクニカルセンス風土、産業構造が反映しているようです。
発明した収益で暮らし向きが良くなると居住地域もリッチな仕事上のメリットもある場所へ移動した結果でしょうか。
接合機材・ファスナー・ジョイントは、デザイン流行のウエーブと産業基盤・関連産業・地域性があるのです。
md (1970-1988)に登場した主要なジョイント機構製品事例:
・Moebel System 606 1960 W.Germany
・Abstructa 1968 Denmark
・Cub 8 1968 Italy
・OCTANORM 1969 W.Geramany
・J,Blum Joint 1970 Austria
・r-t-s 1971 W.Germany
・In – Out System 1971 Italy
・Slide Joint 1974 W.Gerrnany
・Royal System 1975 Denmark
・Mata – Hari 1976 W.Germany
・Stex System 1977 W.Germany
・Cubex 1976 W.Germany
・KLEME Joint 1977 Austria
・Leither Display System 1978 W.Germany
・Voluma Joint 1979 Swiss
・Hotel Room Furnishing System 1979 W.Germany
・corner furnishing system 1979 W.Germany
・impak 1980 W.Germany
・Raum techinik-sysytem 1981 W.Germany
・Pantoneaf 1981 Swiss
・self contained Jointing System 1981 W.Germany
・Makralon Joint 1983 Swiss
・Leitner 14 Shop system 1984 W.Germany
ジョイントシステムの発明・考案、デザイン開発トレンドは、家具金物・スライドヒンジのPATにも並行しています。1989年以降は、ジョイント機構そのもの考案から、架構材全体のシステム部材の構造デザインに特化して、アルミ押出し成形・溶接フレーム材に変わりつつあります。ユニークな機構デザインアイデアが少なくなったのは、PCの発達・生産システムの自動化、木質材料の減少が影響しているようです。
PC インターネットがない時代は,ミュンヘンにあるPATAMTへ出かけて講堂で分厚い特許公報を全ページめくる作業をして拾い出す、大変な手間と時間がかかりました。
現地弁理士に混じり、ファイル原本を閲覧しまくり、複写するのは得がたい現場の経験でした。
プロダクトデザイン業務範囲は、特許までということが理解できたと実感。雑誌記事では、機構解説、特許の範囲、用途等全体内容は解りません。隣接類似・系統の登録事例は、アイデアの多様性を察知できます。閲覧する間にアイデアが涌いてくるのです。
現地へ出かけて専門家でも情報収集は相当な労力・経費がかかり、全ての事例を検索・記録収集、傾向分析するのは難しいけれど、まだ「知的財産」という言葉がないアナログ時代は、情熱 + 体力でカバーできました。実物サンプルは、手に入りにくく、コレクションが難しいですね。
他の雑誌や見本市カタログからの収集記録は別の機会にリスト・コンテンツを作成します。実物製品サンプルとともにジョイントシステムの資料集成を次世代デザイン研究開発・技術教育に役立てたいと思います。
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「ジョイント研究資料 201309」