「木」の本デザイン木の総合学

閑話休題  デザインアートブック専問店「海外図書」「洋書」の終焉  2004年6月 現地閲覧購入へ

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

Copenhagen →Stuttgart →Zurich 現地直接ごっそり購入の旅の後に

 本棚に入らない図書・資料をArchive Boxに入れたままでしたので、久しぶりに閲覧板しました。木の建築・家具・工芸、視覚デザイン、エコ・環境など優れた本がゾロゾロ。なんと12年経って、これから役立ちます。専問分野では流通には載らない、現地でないと手に入らない稀少本がかなりあります。.,ミュージアム・ギャラリー展示や注目した作品の雑誌記事が数年経つと、斬新で立派な書籍になる出版文化もさすがです。

都内では、デザイン系専問書店「東光堂書店・イエナ書店」が無くなった後、青山ブックセンター、INAXギャラリー、リビングモチーフなどで専問書が並んでいました。為替変動、輸入コストが高く、現地価格の2.5 -3倍位でした。その後のインターネット販売で瞬く間に営業基盤が失われ、「洋書」自体が消えていきます。渋谷のロゴス、五反田の東京デザインセンター書店も閉じました。「海外図書販売」もも同じように。

 近年のデザインパワーの衰減は、海外のデザイン専問図書が入らなくなって、創作意欲もしなびてきていると感じるようになりました。情報が溢れているように言われますが、書店・大学図書館には新鮮で高価な専問書は並ばず、貧弱な印象です。蔵書は、施設・人のキャパシティそのものでした。蔵書を見れば頭の中がわかる。

デザイン業務は、アイデアソースとして多くの参考図書資料を使いましたが、印刷紙媒体がなくなると同じようなモニター情報ソースをみているので、手がかかる本格的なプロジェクトは避けて、速く安くレタッチしたものへ流れています。

ますます、ザインワーク自体がアプリケーション化してきましたが、美術やデザインの世界では書籍は、モニター画像と違い、生のインターラクティブな作用をもたらします。デザイン・アート専問書店が消えると、教材はなく、感化されたりまねぶことができないので、創作アイデア啓発、デザインパワー、造形的素養も衰微するものです。実際、アイデアは移動する距離に比例して意欲が涌き、現地書店やギャラリーを巡るのが楽しみでした。デザイン関連の本、体裁・タイトル・目次だけでは分かりません。また、表紙カバーの扉にも重要な解説や関連出版案内が掲載されているので、図書館のようにストリップされると本の価値は下がります。

大量に購入すると書店員は目をパチクリですが、海外発送は、その都度Exportサポートしますので別送品TAX Free 扱いになります。

 一冊の本で数ページが有益ならば買いたいのですが、ネット販売広告サイトで本の内容は、閲覧ページは限られ、ほとんど分かりません。本は「売れない、買わない、出さない」では寂しい。出版文化もあはや凋落。書店は見識で仕入れ、多くの顧客からの情報が反映されて個人では見つけられないものが届きました。更に付随した評価や類似の刊行物の傾向も伺うことができ、目利き専問職の調達ですから選別品揃えは確かです。また「本の重さ」は、知識の重さでしたから心地良く、いつか仕事に役立つと直観して居ることは重要度が高いのです。それにしても、歩いて集められる原書オリジナルが激減してきました。

木の総合学研究 2017  「木」に関する著作・図書の現地直接購入

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