MT マテリアルトリートメント | 木工
「木」のオペレーション 木口濡れチェック診断 木の内科−2
阿部蔵之|木とジョイントの専門家
木口に柿渋を塗布し、カットエンド濡れ変化で材質内部状態を識る。カビ止め、虫除けに効果あり
マグロ競り場での尻尾切りは、身の状態・脂乗りをチックするためですが、木の場合、生材はカットした木口(繊維方向に直角)に内部の状態が現れ、カビや・虫喰い、銃創、打撲痕、節部の色素集積、クラックなどが変色差でわかります。
伐採時のチェーンソーカットは、挽き肌がラフで汚れ・損傷があり、木口を綺麗にカット。柿渋は、タンニンが木材組織に浸透しやすく、木部の着色反応の様子から材内部の状態が把握出来ます。生漆も反応が速く、カビ止め効果が高いので、貴重な白木類に使用。黒く表面汚れにみえるので難あり。合成割れ止め塗料やクリアー塗料でも濡れが速く、浸透性が高ければ同様なトリートメントが出来ます。3年ものの古渋を使用。
素材にストレスをかけず、自然乾燥、シーズニングを緩やかに行うには、柿渋塗布後に割れ止め剤、適度の水性タイプの接着剤塗りが理想的。含水分移動が出来、急激な乾燥干割れを抑えます。(柿渋は、生乾きですとカビを呼び、樹種により向き不向きがあり、木喰い虫は、塗布部に3年後ほどでとりつき、樹皮付き・白太が喰われることがあります)合成化学割れ止め塗料は、虫喰いもほとんど無く、便利ですが無理やり押さえ込む感じがします。
イタヤ楓は、乾燥時、桟木部に青染み、黒カビが付きやすく、カビ止めに柿渋を全面塗布。通風の良い場所で特殊な突起付き桟木(栗材)を使用、メープル乾燥用スティックをシンプルな形状にしたものを制作して使います。
柿渋塗布面の木材浸透は0.2mm程度でごく薄い皮膜になります。合成塗料と異なり、渋は木の成分で発酵生物塗料ですから、木部への濡れ馴染みが一番。自然エコ化学素材で様々な用途が開発されてきました。
衣類に付着するととれず、乾燥まで独特の臭いがしますので独身は要注意。柿渋は、蜂さされの即効中和解毒剤です。
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木の総合学研究 2013 – 2019「木の内科 木口濡れ組織診断」「MT マテリアルトリートメント」
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