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「本種子鋏」鉄砲刀劍鍛冶の末裔、37代和鋏名工牧瀬義文の手打ち鍛造絶品・洋鋏仕様比較+ 東鋏|諸職手仕事プロフェッショナル用 和のタイムレスデザイン|ツールジャパン・ベストハンドツールコネクション-15
剛強にして、切るたびに刃先が研磨され、切れ味は鋭く耐久性は抜群。ハンドル指あたりを調整でき、プロの工芸職には有り難い手打ち鍛造品。戦乱時代の鉄砲鍛冶・日本刀から、包丁・鋏へ鍛造手仕事の見事な技法は歴史に刻み、唯一の名工作品は姿を消しました。
牧瀬本種子鋏制作所 牧瀬義文 鍛造手打ち鋏・絶頂期の作品記録・オーダーストック(2006 – 2010)
鉄砲刀劍鍛冶は、平和時には武器から鋏・包丁生活道具を鍛え発展させてきました。洗練された形には、独自の工夫と技巧が凝らされています。
平薄型、スリム軽量、刃先研ぎアクション、柄(ウデ)指かかり調節、目くぎ軸ベストバランス、長切れ、まさしく和鋏の至高逸品。刃先が尖形で細部の突っ込み切りができるので繊細な細工にも向いています。フィニッシング・修複作業には威力を発揮します。
本種子鋏の構成部分名称
「本種子鋏」の優れた特長
①前刃は常に一点で交わる(点接交差)ため、鋭い切れ味で刃減り鈍りは遅い。
②切る度に刃と刃が研ぎ合い切れ味も増す「練り」は手作業でしかだせない。再研磨する間隔は10年以上、孫の代までもつ。
③刃に汚れがこびりつきにくい。洋鋏の切刃は、刃先が外R形状で切り下ろす面接触構造のため、擦れて刃裏に粘着物がこびりつきやすい。
④刃先は平たく先端はスリムで、狭い所に細かい動きができる。微細部分や修複作業には威力を発揮します。
⑤柄(ウデ)ミナジリが薄身軟鉄で変形できるので、使う人の手に合わせて調節でき馴染む。
⑥一本づつ丁寧な火造りで鍛えるので、品質は非常に高い。
⑦重量は軽く、柄(ウデ)指かけ指あたりを調節できるので疲れにくい。
⑧造形的で美しい。端正で愛想があり、和のタイムレスデザイン。
鉄砲伝来の時代から薩摩では包丁、鎌、鋏を刀匠が鍛えたので、どこか日本刀の面影が残っています。本種子鋏の原型は唐鋏といわれています。
刃先の形状・刃角とカットアクションの違い
本種子鋏四寸 牧瀬義文作 2006
J.A.HENCKELS INOX Solingen Germany 1980 外R刃合わせ・デザイン優先クロムメッキ仕上げ 刃先端の面接触カットで糊移りがおき付着します。
外R刃先のブレード形状 椅子張り専用 Friedrich Binder Stuttgart Germany 1975 -2017
注目される構造デティールの違い
洋鋏は外Rで交差切断しますが、この鋏は微小内R で逆のカーブです。切り刃が点で交差し鋭利にカット、前刃が研ぐように動きます。鉄砲筒逆ネジの発想と同じ職人気質が生み出した逆刃先角のイノベーションです。
切るたびに刃と刃が研ぎ合い、切れ味が増す「ねり」と呼ぶ理想的な鋼の合わせは手作業でしか出来ない。この微妙なカーブが独自の刃あたりと摺り音を生み出しています。
「本種子鋏」正統本物ハンドメイド作品とドイツ本場工業製品
目くぎ・支軸Pivotと刃形シノギ面取り
軸位置:「目くぎ」と洋鋏支軸(Pivot)の位置バランスは,洋鋏では中間近くにあり、この本種子鋏では7:3にあります。同じ力で切る場合、後者のほうが強く切れる。刃長を同じにするとハンドルの大きさが際立ちます。手掌・指全体で動かすので疲れは軽減されます。
洋鋏の切刃は、刃先が外R形状で切り下ろす面接触構造のため、擦れて刃裏に粘着物がこびりつきやすい。
柄ウデ(ハンドル)は、厚みをスキ曲げ、ほど良い弾力があり、指にあわせ変形調整できます。リングハンドルとボーハンドルをシンメトリーにすることにより使い手のフィットネス自由度をアップ。手指をリングにはめるのではなく、指に合わせて使う構造。
紙工、樹皮工芸、織りテキスタイルなど鋏作業が多い工芸職御用達でした。指かかり部分にあて布を巻くと長時間作業が楽になります。樺細工の異才・菅原光政さんも桜樹皮切りに常用、切り口は崩れません。
本種子鋏 Hon Tane Hasami Traditional Handmade Scissors since Meiji Period
制作:37代目 牧瀬義文 (2016年4月逝去 76歳)
37th. Black Smith Master Yoshifumi Makise(1939 – 2016)
仕様 Specification 鍛造/ 黒ぞめ 磨き仕上げ
呼び寸 全長x 柄幅 x目くぎ高mm 重さ
8寸 240mm 243 x 70 x 19.3 158 – 161g
7寸 210mm 211 x 67 x 16.3 112 – 116g
6寸 180mm 179 x 57 x 10.5 72 – 65g
5寸 150mm 156 x 54 x 9,7 54 – 56g
4寸 120mm 133 x 45 x 7.5 27 – 30g
※10年は研ぎ不要 No Sharpening is needed in 10 yrs. long.
本種子鋏の由来「栞」
■牧瀬鋏製作所(2016年5月廃業)
〒891 – 3113 鹿児島県西之表市東町149 – 1
誠実で優れた道具は、実際に購入し使い伝えることで職人技能・文化を支えます。
2006年から2010年に発注、工塲出し販売価格はドイツ製品の半額程度でした。
一日に数本しか出来ない、価値ある正統の本物も生活道具価格として抑え、制作時間や手間から見るとあまりに安すぎる印象でした。一生ものです。
造り置きした作品は、亡くなると同時に全て島内の人が直ぐに買い足して全部売り切れ。もう手にすることは出来ません。ミュージアムクラスの稀少重要品になりました。
詳細は、お問い合わせ下さい。
※ 技能後継者あり、伝統工芸技術は伝承されています。
※名工絶頂期作品は、僅かですがストックしております。販売については、お問い合わせください。
4寸はアタッシュ携帯用に便利です。8寸、7寸は、布・薄皮切りに向いています。
現在のストックは、4寸と5寸だけとなりました。
「漢鋏のルーツ」資料 中国の民俗道具・ハンドツールベストブック
刃先とウデ部分に本種子鋏の原型の面影があります。
「CHINA AT WORK 」by RUDOLF P. HOMMEL The John Day Company NY, 1937
M. I. T. Press Edition, 1969 p.139 / p.200 – 201
SBN: 262 08035 4 Cambridge. Massachusetts
186 x 260 x 30Tmm p.366
CONTENTS
PREFACE ⅶ
CHAPTER Ⅰ TOOLS TO MAKE TOOLS 1 – 30
CHAPTER Ⅱ TOOLS FOR PROCURING FOOD 41 -159
CHAPTER Ⅲ TOOLS FOR MAKING CLOTHING 161 – 218
CHAPTER Ⅳ TOOLS FOR PROVIDING SHELTER 219 – 320
CHAPTER Ⅴ TOOLS FOR ENABLING TRANSPORT 321 – 357
AN ILLUSTRATED RECORD OF THE PRIMITIVE INDUSTRIES CHINA’S MASSE,WHOSE LIFE IS TOIL, AND THUS AN ACCOUNT OF CHINESE CIVILIZATION.
Record of Chinese, Oriental And Other Primitive Industries .
「東鋏」 東京製羅紗鋏(裁ち挟み)とドイツ製布裁ち挟比較
角三郎 作 260mm 249g 銘:清正 初代弥吉孫弟子 昭和初期の作品
J.A.HENKELS SOLINGEN GERMANY 240mm 214g イス張り工用
「東鋏」の切れ味は鋭利絶妙。目釘、刃先・前刃、腕の細部に使い易い独自の工夫がこらされています。明治維新後、当時欧米から輸入されていた毛織物(ラシャ)用裁ち鋏を日本刀鍛造技術を応用して制作し始めた「弥吉」を師匠筋とする東京製鋏を「東鋏」と呼んでいます。現在でも系統を引く鋏鍛冶職がおり,」東京は大工木工諸職の刃物道具鍛冶の本場でした。 追補20180214 ABE
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木の総合学研究2017 – 2019 「手打ち鍛造和鋏」「修複・工芸用ベストハンドツール」「樺細工樹皮カット刃物」