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「木と修複・保存」木の大学特別講座2017 レクチャーの記録と配布資料補充
特別講座「木と修複・保存」Roger Griffith MoMA Conservatorレクチャー記録とHandout 当日配布資料を掲載します。
講義は、MoMA ニューヨーク近代美術館の歴史から修複・保存部門の現場案内、プロのConservator になるための教科履修課程、技能修得、実務研修や修複プロジェクト履歴を重ねてきた講師自身の来歴におよびました。実際の作品修複作業の様子を見ながら、専問的判断や技法について実物に即して学ぶことになりました。
NYからも三人の受講生を迎え、美術館内をツアー見学するよりも中身が濃い、美術館裏方の素晴らしい専問職のリアルな研究現場を知る充実したレクチャーコンテンツ。アート作品創作の独自性は、レイヤーを剥ぎ、材質をつきとめるミクロの探査から残された手掛かりを基に制作過程の生々しい痕跡と作品にまつわるエピソードも明らかにしてくれます。
講座時間中には、関心のある来訪者も多く、当日参加希望の人が幾度も覗いて行きました。受講した学割世代には、学窓以来のベストコンテンツ授業となったようです。アーツ分野ベテランネイティブクラスの通訳により、判りやすく理解が深まりました。授業は、顔を合わせ相対・ライブ直接でないと伝わりません。TV画面、電飾ビジュアル、デジタル電子画像はどうもよく覚えられない。人の網膜神経細胞組織や脳細胞の記憶メカニズムに受容されず、しっかり記憶されないのです。人体は生き物でアナログですから。
クラフトフェアまつもとの野外賑わい音響が入る重要文化財の旧制松本高校・信州大学木造校舎教室は歴史を感じさせ使い易く快適でした。受講参加は30名、滋賀長浜、静岡焼津・島田、名古屋、東京、会津三島、新潟三条、岐阜高山、東御・上松・松本、ニューヨークからです。
レクチャーの構成は、MoMA ニューヨーク近代美術館修複保存の始まりから現在の館内の様子を案内し、MoMA収蔵コレクションから3件の修複保存作品をケーススタディとして解説。デザイン・アート作品の修複による保存技法の研究成果は、素材から加工手法まで制作に係わる諸事情を明らかにします。
Eames Design作品”La Chaise”成形シェル構造安楽イスの修複・材質分析から見えてくるモデル塗り替えなど製品化過程についての考察。
建築アート作品としてのコルビジェ・ペリアンのキッチンユニットのオリジナル仕様と修複判断。
Eileen Gray 作ブリック漆工スクリーン(衝立間仕切り)
修複にあたり、実際の分析・修複に関する専問作業について分析や考察から多くの知見を教示していただきました。(画像:Roger Griffith )
質問も多く時間がたりません。併せて、貴重なアーツクラフト原書と修複道具・資材も展示公開しました。
対訳配布資料:
①Presentation by Roger Griffith MoMA Conservator
Presentaions by Roger Griffith MoMA 2017
対訳・編集デザイン:箕輪知也
②Glossary of Conservation Works 修複・保存専問用語集
専問用語抽出・対訳編集:阿部藏之(増補編集中のため未完成)
*運営協力:須藤崇史(工房ブレス)、箕輪知也(グラフィック編集デザイナー)、二宮大輔・美香(椿井木工舎)、杉山裕次郎(工房悠)
※特別講座後の修複・保存ワーク見学と伝統工芸技術伝承工房訪問取材のためイクスカーションレポは次編に続きます。
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木の総合学研究2017- 2019 「木と修複・保存」MoMA Conservation 特別講座記録・配布資料
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