ジョイントシステムデザイン木工環境

60年前の木製稲麦脱穀機が次世代に引き継がれる

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

秋晴れの足踏み式脱穀作業はホノボノ。老若男女の楽しげ和む・のどかな風景

若い世代が年寄りの指導のもとに、田植えから全て手作業で水稲栽培を体験する地域興しプロジェクトが4月から始まり、除草、刈り取り、櫨かけ、脱穀まで人力でやり遂げるというもの。友人が参加していましたので通行する度にちらりと見てきた半年あまり。今朝、通りかかりに田圃作業風景を撮影。この夏の高温で豊作、一枚で130kgの収穫。お昼になり、和の中によばれ、ふと脱穀機をみると木製足踏み式装置。これは、何とも良い物に出会えたと。字のごとく、機構・機巧そして「木偏がついて機械」でした。機織り機具は、現在でも大工仕事のカテゴリー。
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特製「式ダヨチ」置装入玉鋼組高来舶、機扱麦稲全完 武州川越町 木屋製作所製造 と読めます。60年前の新鋭農機です。主構造は檜、回転ドラムはタモ?、両サイド支持体は、アサダと桜にみえます。
ロゴや派手な銘板成形部品はないけれど、墨文字だけでデザインが完結。藏に保管されていたので木部は痛んでいません。動力を使わない時代のエコ生産を若い人のグループがチャレンジ、作業をとうして、先人からやり方を学ぶという次世代への継承取組みを年寄りたちが積極的にサポート、教示してきました。
作業の後のお昼は、農家の手料理。地元名産の山辺ブドウが並び気持ちのよい一時。師走には、餅つきが待っているそうです。こうして、共に楽しみつつ、世代間のつながり・伝承が進む光景は、ほっとする心地よい時間に。地方でさえ郷土を失いかけている現代社会では、人の結びつきが極めて大切なものになり、我有から共有・共同へとシフトしていくことが有為(優位)なオペレーションにかわると考えています。気が付けば先達を尋ね、知恵や力を借り、環境再生に反映できる機会・コスパメリットは身近にあり。
木製農機、かつての農産機具は自然素材が活用され、メカが高度発展しても今なお現役シンプル。石油や電気を使わず、Co2を出さない環境重視の時代に輝いて見えます。田植え経験のある私は、腰のつらさを思い出し、賑やかに共同作業を通じてベテランがいきいきと手渡ししていく様子に、有り難く尊いものを感じた次第。つらい事を面白くするのは、一つの才能でしょうか。会の名称は「こんな山辺にするじゃん会」(昔は「山部」地名)共に楽しく生きる:共樂・共生は、「食」の縁・結びつきが一番根源的です。
 ⓒ 2013 Kurayuki, ABE 「木の総合学研究 2013」「木製農機」
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