巨樹見学紀行木と人間の関わり樹木調査

栃の王国-2 巨木見学・雪解け現地事前調査行 奥会津栃の王国 

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

限られた時期だけ入れる巨樹生息地、人が近づけない保安林に貴重な自然状態がのこる

森林踏査で巨樹がかなりあることが判明。順次、道無き沢筋から稜線までを藪こき。地元のマタギの助言・協力をえて要所の地名も判明し、このエリアで200本ほどはあるとの地元レポ_見つけられた樹木ごとの所在GPSポイント・樹形・目どうり(アイレベル1.5mH)の外径寸法測定、樹高計測をし、樹皮や樹形、周辺の環境を撮影。巨樹マップ作成のためのデータ収集を続けてきました。
樹高は、電子計器は地形上使えず。
(黄色の検測桿:16m Max.アイキャッチ画像は、東沢・仁王栃)巨樹の立木イメージで「大王」「キング」「クイーン」「腰元」など命名権を行使、この地域のトップ樹高は22mで並びです。同行の目測名人は30 cmほどの誤差以内。
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一年で数回しか入山出来ない厳しい入山沢ですが、樹枝全体形を撮影するには、葉がおい茂らない雪解け後芽吹きの時期だけに限られてしまいます。春は直ぐに下草がのびて深いブッシュになり、雪解け出水が走り、足元が覚束なく道を開けながら近づくだけでも大変、大人数では動けません。
夏に近づくと凶暴な目白アブに襲われ、背丈もある竹や密生灌木類で進路をはばまれて撮影不能。また、一般公開作業には、大人数ですと同行コントロールが難しいので、見学会の前日には、事前の現場調査や通路確保作業が欠かせません。道路崩壊時には、重機も使いアクセス道路を自前で保守することも。
木樵は、巨樹の樹勢を弱めるツタやツルを切り、傷ついて菌類が入った部分の切除など、最小限の手当をしてきます。入山するには、地元ガイドが必要ですが、プロのビジネスニーズにはほど遠く、森林植生・生態調査など学術調査は、まだ行われていません。
全域の実態把握と記録作成には、マタギ・山菜キノコ採り・伐採職の他、工芸材料採取人の協力が必要ですが、おいしい場所はそれぞれ秘密ですから、生活の糧ゆえ教えるわけにはいかない。かくして、豊かな自然の幸は、正確なソースが公開できないことが多々あるのです。

貴重な栃の大木優良樹は伐ってはならない。

栃の実は、栃餅にしますから大事にしてきました。材木業者の耳に入るとカネ儲けで目が眩み、伐られてしまう_「木」と人のかかわりは、経済事情がからみがちです。
美味しいところには、人里あり。海山いずこも暮らしが成り立つ場所_それぞれにおいしい魅力があればこそ、人の生活場がつづいているわけですから。
大型のイワナがヒットすると押し寄せた渓流釣り人、地元の稼ぎになる山菜を荒らす侵入者が絶えず。キノコだけでなく、大事な場所やうまいものは口外しないのが原則です。
樹木の状態・収穫物、環境変化等すべてがリアルタイムで確認しないと来年は、姿がないこともありました。
自然林の真っ只中に巨樹に出会うことが、大変難しい稀少な時代になっています。数百年の生命時間の大木は、人を圧倒し威厳を感じさせる異形の存在です。
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木の総合学研究 2013 – 2019「栃巨樹森林調査・浅岐入山沢」

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