巨樹見学紀行木と人間の関わり樹木調査環境

栃の王国-3 巨樹の生息地自然林見学は、生存資源・生命維持装置そのものの体感_2012年奥会津入山沢にて

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

存立する巨樹群は単独ではなく、自然の多様性や里山人の暮らしとともに続いてきました。四季折々、森林・樹木の恩恵を受けつつ….

栃の王国コミットメントは、樹木の実相・知見を得るコトから始まりました。学校で教えられた専門知識がフィールドの研究現場で役に立たないことがあまりにも多く、実際と違うのです。これは、明治からドイツ林学など先進外国の体系づけられた学術書・研究のコピーしたためとようやく判りました。現場での記録が教材にはなっていないようにも感じてきました。現業・実務は、職人仕事として別物としてきた歴史が有ります。真似・引用・パクリではなく、実際のウッドワーク・実学を掲載して参ります。調査の次は、公開見学です。

栃の王国では、栃や桂など春と秋に巨樹の生息地を順番に訪ねる公開見学イベントを毎年実施。発見された個体を観測・実測しながら何度も現地へ登り、現地の様子を観察してきました。行くたびに、成長・周辺変化でダメージや生存競争、遷移が起きていて変化は意外なほど。奥山に分け入れば、更に奥深く何度も見て気づき、分かることがありますね。
短いガイダンスをしてから、道中対話しつつ折々に専門的な話題を説明する案内行です。参加者は、自然景観を楽しみ、整備されていない沢道を歩くだけでもテンションがかかりますので、のんびりゆたりとはいきません。装備から見て、登山経験のある人が多いようです。
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途中から道は無く、滅多に人が入らない自然状態の環境ですから、集団探検、必死で登る感じ。小一時間程度、いくつかのポイントを見学して大王やクイーン、仁王の佇まいに到達。栃の天然の巨樹は、見たことがないために、その異形・スケールには驚き、感動します。
巨樹が生存出来る自然環境自体が貴重なスポットですし、人間が住む事が出来る生存資源・生命維持措置そのものに入り込むということが体感できるのです。意識下の細胞・神経レベルでの感応が起き、源郷イメージを呼び起こしているのではないかと認知しています。
 数百年の時間がつくりだした全方位グリーンの植生・景観の雰囲気は、歩行とともに体内に心地よいリアクションを起こすようです。日常の煩雑やスピードに抑される現代生活から、原始状態に近い生物時間へとシフトすることが共振・共感を呼びおこして活性を回復する効能が有ります。森林セラピーとは少し違うワイルドな性格ですが。最後尾で撮影しながらの沢沿い下山途中、何かが付いてくる気配。見れば2mほどの大蛇が見物にきていました。人を見るのが初めてなのかしばらく併走。食べないでサヨナラ(2009-2010 巨樹見学会)
 運営メンバーは、同行参加者への案内、安全配慮をしつつ、昼には心づくしの雑煮・キノコ料理なども準備。至純な森林体験の機会を実現しています。この取り組み「道のない自然林の巨樹踏査・見学」のふさわしいネーミングを創作したい。更に、樹勢が止まったものは現地見学会の後、秋の伐採見学会を経て製材見学会・頒布、活用していく連続したプログラムを実施。
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木の総合学研究 2013 – 2019 「巨樹探訪」「木の時間」

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