純木灰のバイヲ・工芸的連続利用 灰篩い2016・2017 木灰の応用研究
広葉樹の燃焼灰は、藍染めの灰あくアルカリ成分が発酵栄養分となり、更に固形分は陶芸材料にまわります。多目的連続成分利用の自然ミネラルマテリアルです。
純木灰の藍染め工房御用達 苛性ソーダに比べ、藍の自然発酵が盛んになり、染め色の違いは歴然です。
薪ストーブには、広葉樹堅木は、火力が高く熱量は多く、火持ちがよい。針葉樹にくらべ、脂が少なく煤が堪りにくい。この純木灰はミネラル成分が多く、アクが強いので、藍染め中和栄養のほか、研磨剤や洗浄に使います。例年、初秋の微風が吹く乾燥した時に灰紛れになります。
2016年は、例年とは異なり、白灰が多く含まれて鉱滓固まりが少ない性状でした。厳冬期雨氷災害によるニセアカシアの倒木があり、かたづけて薪にしましたので平年とは灰色は明らかに差異があります。アカシア薪は、燃やすとハイカロリー、遠赤外線輻射熱が高いため、ピザ窯にも引く手あまた。灰カラーは、ナラ系統や桜当に比べると白色。アカシア原木は堅く芯材部は薄い緑褐色から茶褐色にかわり、高樹齢になると芯央部は茶色を帯びます。
堅木のナラ・樫・アサダ、オニグルミなど油分の多い樹種は、きめが細かいしっとり滑らかな感触ですが、アカシア灰の比重はやや高く、粒子は少し粗い感じ。灰篩い残渣は、炭混じりで菜園の土壌栄養分・改良剤になります。炭化したものが研磨剤に向いているかどうか、バイオ発酵作用にどのような効果がでるか、まだ未知の素材です。生木や針葉樹は脂が多く煙煤が煙突内部に付着しますが、樫・ナラ類の堅木は、煙突が赤くなるほど燃焼熱が高いので煤はほとんどでません。一般に材色が濃く、堅い緻密な重い木材ほど火力があります。脂赤松・唐松は、出来るだけ使いません。
寒冷地暖房ストーブの純木灰
純木灰は、わずか原木の0.2 – 0.4 %の収量(重量比)です。ナラ系はダークグリーン、白樫・エノキ・真弓・栓・アカシア原木は白い木灰、栗・椿灰は褐色など、独自の色調が残ります。排煙を出せない環境規制下では、不純物を無くし、単一樹種の純灰を焼くのが極めて難しい時代となりました。カラーチャート、グレースケールでみるとかなりの色差があり、いわゆる「灰色」は多彩です。軽いものや粒子が細かく滑らかな感触などさまざま。
2016 年純木灰:全量22.2kg 藍染め工房行き19.0kg サンプル残し3.2kg 一袋 原木約5トン
木灰は生木重量の0,2%相当とされますが、屋外ストックで含水しているため吸湿して堅木主体原木比、純木灰収量は0.4%ほどになりました。
2017年純木灰 :原木丸太・板材 約5トン / 灰全量28.3kg 0.43% 藍染め工房行き21.3kg (ナラ類混じりサンプル残し:2kg +アカシア混じり: 2.7kg アカシア主体 5kg)
樹木は土中から養分を吸収し、体内に蓄積します。火山灰土の覆われる日本では、Cu,Fe,Ca,Mg,Al,Co 等の微少金属が含まれ、楓などはカナスジ・カナケ金気と呼ばれる凝集した組織が現れて、鋸や鉋削りで刃が欠けることが有ります。(カナスジをひくと言います。)
また、灰は皮膚をツルツルにします。木灰の効用は、信州の囲炉裏で焼くお焼きの食用灰まぶしはよく知られていますが、サプリメント、酵母・バイヲテクノロジーや工芸的用途でも未知の可能性があります。単一樹灰と混合灰の発酵、古灰の変化、成分変化の分析はこれからの課題。強い安定したアルカリ性ですから、木灰は多用性に富む自然のケミカルマテリアルです。植物も微生物も元気になることがわかります。江戸時代には、肥料やアク利用に町屋の竈灰を買う灰集めが市中を回り、資源の有効活用、リサイクルが盛んに行われていました。
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木の総合学研究 2017 – 2019 「純木灰の違いと用途」「自然循環素材」
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