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縄文ナッツ栢の木実からの考現  葉先に鋭い尖針をつけ、匂い香り成分で抗菌、動物も寄せ付けず、樹脂成分が多く針葉樹最大の果実は、翌年秋口までスロー成熟。進化を遂げた雌雄別樹体の抗菌緻密材質を識る。針葉樹フルーツウッド 木の内科 – 30

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

秋が深まり、栢の実が地面に落ちて芳香が漂います。棘葉も果肉もリモネン・テルペンの香りと脂肪油分で覚醒薬理作用を再確認。集めてじっくり観察。栄養価が高く、縄文時代から採集してきたナッツからも樹体の本性を識ることに繫がります。栢の貴重な大径木は、碁盤業者が押さえ、市場には稀に小径木が出ます。伐採現場に遭遇しないかぎり、原木やサンプルを手にすることが難しい稀少高級木となりました。

秋口から熟れて順番に地面におち、縮み割れて腐り、実が露出する。

敗戦前まで地方の山里では、民家の近くに栗、胡桃、団栗、椎・樫、栢、くこ、ハシバミを植え、山中のブナ林でブナの実を拾い集めて冬の食料にあてたのです。栢はアクが強く、生食不向き。天日乾燥後ロースト。似ていますがアーモンドほどのおいしさはなく、胚乳にはリノール酸・オレイン酸・ステアリン酸などを多量に含み(日本食品標準成分表)、ビタミンEが健康維持に効能があるというPRもみかけるようになりました。大昔から山里の栄養価の高い針葉樹大型ナッツです。

葉・果肉にも脂分が多く、眠気を飛ばす爽快覚醒効果あり「芳香揮発・抗菌抑制・虫避け・環境清浄」

果肉を割り実を取り出し囓るとお腹が流動。胃腸のなかで長時間留まり、通過が遅く消化されにくい。排泄はゆるくなる感じで囓らない方が賢明です。民間駆虫薬でした。鳥・リス・野ねずみが敬遠すると、栢は繁殖しにくい?実生が少ない事由がみえてきます。

 

実軸菱萼:果実を接続V挟みに実を保持するジョイント部(葉腋)は、二年間の風雨揺れに耐える包み菱形の柔構造。

外皮は柑橘類の香りがします。囓るとほんのりあま苦く、すっきり成分が強く感じられました。では、柔らかで厚い内皮果肉は食べると、どうなるか。縦に割裂する外皮は美しく、内皮果肉は湿潤ソフトでバラケル繊維体です。

洗浄すると約30%浮遊 いずれも中身は詰まっており、密度のちがい。

栢の実は生では渋く、えぐいので食べられません。天日乾燥後ローストし、外殻を割りナッツとして利用。

縄文のアーモンドナッツ 針葉樹では独特の実、日本固有種です。

・実(核)サイズ: 24〜 26mml  胴回り 12~ 15mm  日陰干し生実重さ: 2 ~ 3g    生果実ホール:7~ 10g   外皮薄く緑色、内皮果肉は多層柔縦繊維質

油脂分が多く含まれる生実は、切断面はドングリに近い。胚乳をこするとオイル分が染み込むのですが、生の匂いは敬遠され、胡桃のような使い方は無理です。乾燥すると堅く締まります。

 縄文人は、美味しく食べる方法を識っていたはずですが、現代人には不味くはないにしても、特に美味ではないようです。まだ、栢の実クッキーはありません。脂分が多いので食用、鬢付け油に使われています。

栢の実殻 カット 生実(核)の渋皮と胚乳(淡黄樹脂蠟色は木部の生木材色に近似)

栢の実は生では渋くえぐいので食べられません。天日乾燥後ローストし、外殻を割りナッツ食。縄文人は、美味しく食べる方法を識っていたはずですが、現代人には特に美味ではないようです。

油脂分が多く含まれる生実は、切断面はドングリに近い。胚乳をこすると、オイル分が染み込むのですが、生の匂いは敬遠され胡桃のような使い方は無理です。乾燥すると堅く締まります。渋皮は、カカオ・アーモンド風。発酵させて珂啡・チョコレになりません?

雌雄枝葉の形状、鋭い棘の違い

牡の木は、針葉が巾があり厚く堅い。先端針は鋭く長いので素手で触れません。

実をつける雌木は、枝葉もしなやかで小振り葉枝密度は少しゆるい。棘は手でさわることができます。女性的なイメージ。春の新芽の色でも雌雄の識別はできる。

栢の実があると、近くには必ず牡樹があります。雄花・雌花は、来年に夫婦樹を記録予定。原木サンプルは入手し難く、ひとまず枝葉・果実から入りました。針葉樹種は脂成分が多く、香りたち、栢も香木に分類されます。腐蝕菌や昆虫から樹体を守るためにテルペン部質や香り脂成分を分泌しているからです。人体は、樹木に安らぎ寛ぐ生理的反応をしますが、木を嫌いな人はいません。快適さを感じとりますが、これは人類が誕生してから数十万年も樹上生活を続けてきた身体記憶に潜むDNAなのです。

 

守矢神長官邸 みさく神社境内の栢神木(雌樹)諏訪

 栢材の斉一緻密な材質は脂気があり、弾力反発性が碁盤に好適。肌目に光沢があり、優美でクリーンなテクスチャーが高級素材として賞揚されます。黴や虫からの抗体をもち、強い衛生的な生命体は、健康維持・薬理効果が高いので自然林相では、サニタリー防衛役務を果たしています。雌雄果実の出来方、ユニークな実の枝軸ジョイント形や成熟度からみると原始的な生物ではなく、生長は静かでゆっくり大木になりました。山奥、宮社叢境内、神域に残ります。

栢の木巨樹 神木 目通り径:90cm 樹齢約300年 長野県

 現在、僅かに栢の実ローストを販売する人がいます。京都近隣(吉田神社節分祭では門前木の実露店あり)、岐阜県内の落実を採集して飛騨地方で炒った実と搾りオイルを販売する新しいサイトもあります。

 食品栄養、植物観察事典、樹木専問書に、可食果実としての記述がないので試食して納得。果実は囓るていどに。香り立つ葉の揮発性の匂い成分は虫避け効果があり、蚊蠅昆虫はほとんど寄り付かず、漢方では虫下しの記載があります。木の実搾油は、燈用、頭髪ケアーに使われてきました。栢の木は、周囲の環境を清浄にする重要な有用樹です。

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木の総合学研究 2017 – 2019 – 2021「栢の実からの樹体考現」「匂い香り抗菌ガード・抗体性緻密材の本質」「国内針葉樹最大の実生・果実」

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