ジョイントシステムデザイン木と人間の関わり産業イノベーション

30年のデザイン開発プロジェクト終了、新しいスタートに立って

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

新しいステージへの準備を進め、フリーハンドでクリエイティブワークを

 長期にわたり「ジョイントテクノロジー」をテーマにしたS社デザイン開発の仕事が終了しました。改めて仕事の内容を振り返ると、時代の変化は、大きな職能の変容を引き起こしデザイン系企業も様替わり。「デザイン」「印刷」現場業務は、PC アプリの操作で置きかわり、本来のデザインワークから「つくり替え」「デコレーション」「オペレーション」に近い感じです。
時代の流れと方向は、再生・循環系の産業へと進み、多くの専門知識・技能を統合した総合的な職能へとシフトしていきます。
産業の寿命は30年といいますが、デザイン業もまた同じライフタイム。これから、新領域に移行して仕事のやり方も業態も次第に変わります。
これからの私の仕事は、「ジョイントシステムの研究」活動成果を基に、次のような新しい分野をイメージして準備しています。物事の成り立ちの根源は、ジョイントシステムにあり、創作の源です。
森林樹木は、環境・水・治山・産業・医療・教育・文化等を支える生存資源、生命維持装置であり、現在直面している温暖化や資源供給から各方面でみたび注目されてきています。
その目指す対象や具体的な内容は様々ですが、生存し続けるための普遍的・基本的な能力の修得及び資質を備えるために、次世代にどうような形で渡すのか苦慮しています。若手は、実際の仕事・収入に結びつかなければ近寄らず、先はないのです。人間が再生循環できる唯一の材料は樹木だけで、経済成長・発展は、厳密には、環境負荷・ゴミ処理、エネルギー消費がないことが前提です。
当座の経済的メリットが有っても将来のつけがあるのでは、未来子へ重荷をかける事になります。今できる最善の業務内容を検討、産業・研究分野では、医療・教育・芸術分野が手薄です。いま私ができる事・可能性を並べると、

総合学基礎研究、準備・進行

・「木」の総合的研究を次世代に引き継ぐためのアクションや研究データ・文献資料の収蔵・整理、体系化作業

・最適な人物へのベストマテリアルコネクション・重要図書・秀作逸品道具、加工技術ノウハウの記録と伝承

新カテゴリーの次世代オペレーター・「木」のプロフェッショナルを育成

・自然素材、再生循環材料をベースにした「木」の複合・統合産業創生へのアプローチをつくり、起業をめざしたノウハウを開発・準備
・「木」と環境・資源・産業・社会動向をスコープ、「実学・実務・実力技能」を修得、仕事ができる専門養成校の設立を働きかけ、専門分野を超えた講座やセミナーの開催、新学域のイメージ創り等の構想・提案
(「木の高等専門校」をつくる未来への投資人がどこかに居られるはず。)

研究活動拠点創設、コラボレーション

・「木」の総合研究活動拠点を創設し、従来のカテゴリーにとらわれない、現場の実学をクローズアップして研究発表、提案
・「木」による振興プロジェクト、産業ムーブメントに寄与貢献するために必要なノウハウ・情報を提供し現場の協創関係を創出

実際の仕事・実務からのアプローチ

・営業収益を得る新業務をサポートし、デザインワークや研究開発業務のバックアップ、知的資産の取得、ブランディング等の実務

・「ジョイントシステム」つながりの基本知識・デザインワーク実務、「木と人のかかわり」のレクチャーも並行して継続
・様々な「木」の事象、取材・調査、研究・モノを紹介して知見や実体験を直接伝えるメディアを運用
・次世代の家具・プロダクトデザイン・ジョイントを創作、商品化

収蔵・編集・広報作業

・「 木」のベスト図書コレクション、翻訳 秀品記録・紹介
・編集・デザイン・印刷・Web サイトコンテンツ制作 etc.
今まで積み上げてきた生活文明や学識・科学技術は、根底から検証・再考し、修復再生する転換点に来ています。 国連で「国際地球再生年」決議が必要かと。「生存持続資源、環境生命維持装置」という新しい視座でプラニングするためには、異分野、次元の違うコンセプト、多能な人コネクションが必須です。Swissの事例ですが、高等職業訓練校(木材加工建築系)が専門大学格上げ、大学院設置へと発展先例もあります。

「一本の木では、林にならず」

従来の商材や加工産業、既成学科ではなく、多くの高度な専門分野を統合したカテゴリーで、直ぐ先にできる「より望ましい、もっと楽しい仕事」を実現するため、アイデアや手立てを用意。これから思いがけない人物との出会の機会、つながりや仕事が増えますよう、待機しています。「一本の木では、林にならず」トン族(中国)の格言です。
 ⓒ 2013 Kurayuki, ABE 「木の総合学研究 2013」
複製・引用・転載・模造・流用・キュレーションを禁じます。

▼ お気軽に一言コメントをどうぞ

次の記事: