「木歴・木録」 | 木の内科 | 木界 | 樹木調査 | 薬用樹木
辛夷コブシのダイナミックで鮮明な樹体内抗菌・治癒力_芯央逆肥大成長・節からの分泌端末放出・集積とレジスト_黴菌類・虫が寄りつかないミクロの生命維持バイタルサイン Insight 木の内科-36
抗体色素のラジアル拡散・尖形突出、年輪周縁脂の滲み出し、ダメージ部へのワープ。害傷セルフキュアや菌類虫ガードで縦横斜めに動く。非常時の樹体反応は、リアルで複雑な高等メカニズム。細胞間壁を抜け、縦横斜方に年輪維菅束をスルー。
クラシックな知見やコモンセンスを超えた静かなる樹体内抗防。この穏やかな抗菌活性、清浄な循環系自然生物マテリアルにメディカル、保存環境性能を見出したい。
春を告げる森林花木の主役、美しく端麗な辛夷の樹花には藥理毒性が宿り、鼻炎特効漢方生薬となるその樹体にも薬理成分は含まれる。芯割れ部から鮮明な色変が起き、激しいセルフキュアー抗体色素出動。黴・菌類、微生物・昆虫は自然乾燥材に寄り付かない。
西洋医学・化学薬物では治癒できない激鼻炎蓄膿を治すコブシ花の特効漢方処方「辛夷シンイ」 外交官の友人から本人が劇的に治癒した日本産特効薬を教えられ、樹体が造り出す抗菌力や薬効は材面でも同じように働いているはずと思い当たりました。その成分動向を見ることが出来るのではないかと原木からリサーチ。
損傷を受け、切断面木口に色変がでている原木に出会えば、芯央色素の動きから患部への治癒アクションが明らかになります。手当した原木の芯応内部は、濃いダークカラー滲班紋は、鮮明なコバルト色と銅褐色の混じりで毒気を感じさせる色調。自然乾燥中でも材色の拡がり、色変は止まず、十年以上続いて現在も鮮やかです。
辛夷の抗菌抗体性は、自然乾燥で維持されます。熱風乾燥炉で水分を奪い、細胞を痛めつけて含水率バランスの歪みやダメージを与え、活きてはいない。人工乾燥材では抗体は失われ、生物材料本来の特質は損なわれてしまう。
元口・末口 木口割り ダラ挽き 30mm / 芯 60mmT
コブシ原木(道材)2003年冬期伐採 三本口 樹芯割れ 3m L x A:元口径 360mm B: 元口径 32cm C: 元口径 28cm
元木・根元からの腐れ周縁抗菌バリアー 芯部からの抗体色素出動
「紫、紅、蒼、緑、黄、銅」色素の尖出・滲み、バリアの複合多重色変
芯央部からのセルフキュアー 異変ダメージ部分への色素移動 ハブシ、微細潜虫侵入分への抗体取り囲み
活節からの色素放出
芯割れが起きやすい無地芯央逆肥大の例外的な樹体構造 自然乾燥13年後の材質変化
樹体の揺振耐抗は、微細ながら内皮から水平逆放射向芯組織が入り込むのが確認できます。天然実生樹の常識とは違い、樹芯の成長幅は肥大しており、堅く締まり目詰みしない。
年輪幅が粗く芯持ち構造ではないので、倒れまいとすると樹芯に応力集中がおき、さらに脂分が少なく無地のプレーン材質ではネバリ吸収できる限界があるのでクラックが入りやすい。芯にクラックが入り、抗体のタンニン色素が拡がる樹種にトネリコの事例があります。
いろいろな色相が発現する芯央 辺材部境界色素バリア、ハブシへの攻撃と見られる飛び出しも出ています。
芯央の色素伝達エリアをよく見ると、水平・斜め縦と拡散して繊維細胞を貫通しています。外部から染料を圧入しても、横方向からは表面に薄くしか入りません。抗体色素移動は縦横斜めフリー、押し出し装置もないのに自律伝達配送できるその仕組みもミステリアスです。
風雨雪にも曝して13年間の林縁自然乾燥 黴菌の耐性や虫喰い寄りつき、色素移動・材質変化を観る。
抗菌性能を確かめるため樹皮・両耳付きで長期自然乾燥、木口・耳に柿渋塗布割れ止め。
樹皮・白太辺材に黴変色も虫喰いなく安定。13年間の林縁野外桟木積みでも黴菌類、木喰い虫、小蜂は寄り付かない。強い嫌忌避、防疫サニタリー性があります。
劣化・腐蝕をチェックして見ると、木端・木裏木表の汚れ変色は中に入らず、軽くプレーナーをかけると腐蝕はなくクリーンな材面でした。意図的に屋根庇を短く置き、風雨・日光に曝した部分の材表面に少し劣化変色はありますが、深くは入りません。
原木製材時の樹皮・辺材白太 自然乾燥13年間 樹皮層健在 黴びなし
抗菌性能を確かめるため樹皮・両耳付きで長期自然乾燥
一寸厚板のNS気乾含水率:13.8% — 18.5% (MERLIN 測定 / 20171125 現在 )
コブシ原木樹皮・元口(岩手県産出・盛岡木材流通センター2007.11.15 )
胴打ち、虫入り、芯割れなどのダメージがない順調な生育樹は無地の素木地。
素性の良い材質は、やや軟質で暴れない素性の良さを感じさせる緻密でしっかりした材組織です。刃物アタリ、加工性がよい。材質感・芯央部の色調は淡鶯色で朴の木に似ています。
朴材より年輪密度は粗く軽い。樹脂分やネバリがすくない樹体では、揺振、捩れは芯割れを引き起こすので抗菌抗体が集出、色変が顕れます。油気のすくない、淡泊な素木地ですが斜行木理、色変は激しい。欠点材とされてきましたが、抗菌成分を蓄積しています。
用途:箱・漆木地、AASCF保存額装、収納保存用具、バイオ・サニタリーグッズ等
辛夷の結実(白馬村北城 コブシ・ハシドイ群生保存林)
ⓒ2017- 2018 , Kurayuki Abe
All Rights Reserved. No Business Uses.
複製・変形・模造・転載作り変え・画像転用・ロボット、Ai無用、業務利用を禁じます。
木の総合学研究 2017 「コブシ芯応部から拡がる自律活性抗体・バリアー紫色素」「黴・菌類抗体成分を造り出す漢方の樹」
▼ お気軽に一言コメントをどうぞ
次の記事:シナの木・赤 樹齢390・310年 江戸初期より時空を超えて存立してきた巨樹の抗体防衛材質 未見の生命維持の形・美質 別格稀少広葉樹原木の一期一切 Insight 木の内科-37 →