「木」と産業「木」の文化伝統文化工芸木工

茶道具轆轤・刳り物の卓越別格の手仕事は消えて 宮島の小木工芸絶頂期から半世紀余り 木のクラフツミュージアムクラス作品記録-1.

阿部蔵之|木とジョイントの専門家

平盆・器・箱の「尺五 ・ 尺二・八寸・五寸・四寸・三寸・二寸五分・一寸五分」身体尺ベスト寸法列は、タイムレス ディメンション。正調は然ずと動作にフィットし、使い易く、美しく仕舞い易い。

島で一番腕のよいベテラン工人の作は、細部にまで微妙な造り込み。単純な形にも反り抑え、底抉り、縁の幅・面取り流れや合わせ締まりなど、使わないと気が付かない上質のスキルが潜みます。見た目の品質や価格では判らない品格や素性が感じられる凄みも、別格本物の味わい。

巡り会った良材は、木取り荒取り後ストック。木守りして。長い月日を寝かせ、削り出す作業にも、まだゆったりした愉悦の時間が流れていました。「手技」を魅せるには、塗装しない木地仕上げのまま。仕事の判る眼のある客を唸らせていたのです。連れ合いの視線を気にしながら、島一番の手練れと店主が自慢したトップレベルの作品をそっくり購入。現在の切り貼り機械木工の世界とはだいぶ様子が違います。

見ることも使ってもいない「伝統之的工芸品」は消滅へ向かう

江戸期から厳島見学の手土産で盛んとなった「お杓文字、飯篦」は、近年の工業デザインの影響で台所用クラフト量産物へシフトしました。

2018年、この春訪れた木のモノ工芸店はわずか一軒。嘗ての上質な値段の高い工芸品店は消えて、世界遺産認定後はさらに売れるものが激変しています。

樺、朴、脂松・南天・本桜・欅の良質材は無くなり、木の生活用品は姿を消し、茶道・香道具もまた世紀末には制作者が減りました。素材・加工技術の知識や実際の生活体験がないと「使い勝手・品質・価値」本物の魅力は伝わりにくいのです。

 

① 欅中杢長盆 455 x 360 x 3.5 mmT  930g   木裏使い(反り・木目の賑わいをだすため)手加工・木地仕上げ  90.000-

② 茶匙「南天」 31.5x 139 x 17.5 Hmm   23g      太い「南天」は稀少材   半割中刳り : 硬い材質で放射組織髄線の木目と樹皮のコントラストを活かした風雅な逸品   10.000-

③ 脂松の茶匙 35 x 198.5 x 15.8 mmH    13g       脂松の銘材を薄溝に削り出し、枝柄を彫った茶道具 9,000-

 

④ 香合(面取り)本桜 山波杢 直径 :71.5 x 23,6 x 15.8mmH   中くり深さ:13mm 35g  印籠蓋回し締まり・底ムクリ削り 木地仕上げ水蝋磨き   端正なスタイル 24..000-

⑤ 香合(平貝丸)マカロン型  本桜 筍杢 直径:72x 22.4 mm H     印籠蓋回し締まり・底抉り32mm  木地水蝋磨き  20.000- 柔和な雰囲気

⑥ 香合(平貝丸)マカロン型  本桜 波頭杢 直径 : 72.8x 22.2mm H   27g   印籠蓋・底抉り32mm    木地水蝋磨き  20.000-

⑦ 香合(平貝丸)マカロン型  本桜 磯岩杢 直径:72x 22.4 mm H   28g   印籠蓋回し締まり・底抉り32mm   木地水蝋磨き20.000-

*価格は、昭和52年当時でも高価でした。美術品ではなく普段使いのクラフトとして後学のために技術記録作品として収蔵。

ⓒ2018 , Kurayuki Abe

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木の総合学 2018   「小木工芸品 刳り物・轆轤挽き物」「工芸品のベスト寸法・身体尺」「20世紀後期の宮島伝統木工芸品記録」

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